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共に振り上げ、渾身の力を込めて繰り出された拳は空中で衝突し、俺とメイトの体は反動で大きく仰け反った。
「ぐっ!」
次にメイトは足を鞭のようにしならせ俺を薙ぎ払うが、俺はその瞬間に跳躍し、メイトの頭上を飛び越え背後に貼りつき、首根っこを捕まえて後頭部に一発の打撃を与えた。
脳に強烈な振動が加...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十八話「soldier」
FOX2
薄暗い照明の下に、細長いコンテナを手にしたミクオの姿が照らし出された。
「この中に、あなたの装備が全て入っています。」
ミクオはコンテナを足元で開き、中から俺の着ていたス二―キングスーツを取り出した。
「さ、早く着て下さい。」
「ああ。」
振り向くと、ワラはこちらに背を向け、しゃがみこん...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十七話「皮肉」
FOX2
思い返してみると、この任務も終局に向かっていることに気がついた。
いや、向かっているというより目前なのだ。
俺が既にピアシステムを制御不能にするワームをマザーコンピューターに挿入したことで、あとどれくらいかは分らないが、時間が経てばシステムは完全に分解され、停止し、テロリストの兵器は一切使い物...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十六話「ストリーキング・ミッション」
FOX2
鋼鉄の咆哮。深紅の雷鳴。黒き銃声。
このコロシアムに耳を劈き天地を揺るがす轟音が響き渡った。
そして、網走智樹の乗るアシュラが、一瞬で眼前に映っていた。
「ッ!!」
装甲をパージする前とは桁違いのスピードを前に、俺はただレバーのトリガーを引くことしか出来なかった。
即座に40mmバルカン...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十四話「最期の笑顔」
FOX2
ただ茫然と、俺は目の前のモニターに映し出された光景を眺めているだけだった。
そこには、レーザーの直撃を受け、黒煙を上げながら沈黙している、ソラの機体。
そして俺と同じく、茫然とこの光景を目の当たりにしながら沈黙を始めた、四機の戦闘機とそのパイロット。
誰もかもが、一言も声をあげず、ただ茫然と...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十三話「役立たず」
FOX2
三人で細長い通路を駆け抜けていく。
これからどうするか、そう脳内で模索を続けながら。
「ワラ、ヤミ。で、脱出の目処は立っているか。」
「ええ。ちょっと大げさな方法かもしれませんが。」
「大げさっていうか、大胆な感じ?」
足を止めず、ワラとヤミが答える。
「ほう、どうするんだ。」
「こ...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十一話「光射す先へ」
FOX2
今まで行動を共にしていたはずの二人が、突如として、俺に刃の矛先を向けていた。
「おい!どうしたんだ二人とも!」
呼びかけても二人から返事はなく、次の瞬間、俺はワラの放った大蛇の如き草日から身を翻していた。
「ミクオ!!どういうことだ!」
振り向くとミクオのいた場所に巨大な光の円が飛び去り...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十話「Indulge in TWO」
FOX2
ハンガーを出てコンピュータールームに向かう途中、無線機に通信が入った。
相手側の周波数は分らない。セリカやタイトではないだろう。
「誰だ。」
『僕です。』
無線に応答すると、ミクオの声が返ってきた。
「何の用だ?」
『僕はコンピュータールームに居ます。今、貴方がワームをインストールしや...SUCCESSOR's OF JIHAD第六十九話「処刑」
FOX2
ブリーフィングルームで俺達を出迎えたのは、海軍将校の制服を纏った、威厳のある顔をした初老の男性だった。
「ようこそ。我が雪峰へ。私は本艦の艦長である、壮河凪だ。諸君らとは、あの戦闘以来だな・・・・・・。」
そう言い、彼は俺達に向け敬礼した。
彼の襟を見ると、大佐の階級を示す三ツ星が輝いている...SUCCESSOR's OFJIHAD第五十八話「『す』から始まる言葉」
FOX2
第二回目の出撃。
その任務開始から既に十時間ほど経過したところだろうか。
そしてこのVTOLの操縦桿を握り締めて三時間が経つ。
自体は思わぬ方向に発展したものの、俺とタイトは任務を遂行することができた。
が、現在の状況が絶望的であることに変わりはない。
Piaシステムの作動により、日本...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十七話「着艦」
FOX2
「ようやくお出ましか・・・・・・。」
無意識にそんな言葉が漏れたが、それも頭上に群がる鋼鉄の巨鳥達、VTOLが轟かせるエンジンの爆音でかき消された。
無線にパイロットの通信が入る。
『遅れてすまない。そいつのほかに敵勢力は。』
そいつ。つい今まで俺と激戦を繰り広げた重音テッドは空中のVTO...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十四話「緊急離脱!」
FOX2
ノートPCを片手に自動扉を開けると、案の定、思っていた通りの光景が目に入った。
「ミクぅ~~~!今日凄かったねぇアレ!!あのビリビリッてヤツ!!」
「黒奏刀のことか?今日はちょっと本気を出してみたんだ。」
少佐の報告が終わった後、ワラは部屋に戻るなりミクに飛びつき、一人用の狭いベッドに引きず...SUCCESSORs OF JIHAD 第四十二話「その笑顔だけは」
FOX2
アクリルのキャノピーから見下ろす景色は何時からか、黄色から朱に、緑から青に変わっていた。
午後から夕刻となり、樹林を抜け海へとたどり着いた。
俺は方角を見失わぬよう、レーダーのナビゲーションを注視しながら、今尚ブラックホークの操縦桿を握っている。
レーダーの液晶画面に記されたラインの先には、...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十九話「夕日の水面基地」
FOX2
目前に迫る絶望を打ち破るため、俺は親指のスイッチを押し込んだ。
その瞬間凄まじい振動が俺の腕を体後と揺るがし、前方で眩いマズルフラッシュが巻き起こった。
ミニガンから打ち出された弾丸がレーザーのように光線を連ね、ガンシップに吸い込まれていく。
俺はひたすらスイッチを押し続け、次の瞬間、光線...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十八話「一日の終わり」
FOX2
一瞬にして、鋼鉄の絶望が群れを成し、蒼天の空を覆い隠した。
俺達は、タイト達が乗るブラックホークごと完全に包囲されたのだ。
この絶望は、一体どこから?
「これで逃げられはせん。ゆっくりと話をしよう。」
奇妙なヘルメット越しでも、目の前に立つ男の余裕の表情が見て取れる。
「あなたが・・・・...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十七話「戦い」
FOX2
ミクが驚異的な力で群がる敵性アンドロイドを全て破壊しつくしたことを確認した博士が、ヘリを大きく揺るがせた。
「うお!」
シートなどに腰掛けていない俺はその衝撃で簡単にヘリの内部を転がる。
俺はどうにか座席に腰を下ろすと、ヘリの中を見回した。
ワラともう一人の部下、そして傷ついたタイトに寄り...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十六話「再び会えて」
FOX2
乾いた衝撃音が、ヘリポートから雲ひとつない蒼天の空へと響き渡った。
鉛の9ミリ拳銃弾が真空を切り裂き、音速で着きついた先で火花を散らした。
そうして一体のアンドロイドが、弱点である頭部センサーを撃ち抜かれコンクリートへ沈んだ。
それが、激戦の火蓋を落とした。
「ヴォォオオウゥ!!!」
残...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十五話「雷神降臨」
FOX2
思えば今まで予想外のことが起こりすぎた。
施設に侵入するなり倉庫連が爆破され、倉庫連から技術研究連に逃げ込んだと思えば正体不明の味方、シックスに遭遇し、成り行きのまま敵部隊と死闘を繰り広げた。
ようやく地下一階にたどり着き、人質が捕らわれている電子演算室に向かおうとすれば失神した兵士達が累々と...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十五話「予想と暗示」
FOX2
ふと振り向くと、小部屋の扉が開け放たれ、そこには黒い人影が立っていた。
「動かないでよ!」
その人影は、まだ幼い少女の声で言った。
構わず俺は銃のライトで人影を照らすと、その人影が幾つかの光を反射した。
そこには前にも見た黒い戦闘服を着た何者かが、俺にアサルトライフルの銃口を突きつけている...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十四話「意志を持って」
FOX2
どうして・・・・・・。
どうして、わたしだけが生き残ったんだろう。
キクも、ワラも、ヤミも、タイトも、ミクオも・・・・・・。
誰も自分から死にたいなんて、思うわけがない。
ミクオだって、本当は、死にたくなかったはずなのに・・・・・・。
...Sky of Black Angel 第四十九話「別かれの前に」
FOX2
「終わった・・・・・・のか?・・・・・・おい、円。生きてるか?」
「うるせーな飛鳥・・・・・・俺ぁここにいるよ。」
「なんだ、生きてたのか。」
「お前こそな。」
「当然だ。周りの連中みたいにグロい死に方だけは勘弁だぜ。」
「にしてもすげぇな。どれくらい死んでんだコレ。」
「こっから見え...Sky of Black Angel 第四十五話「再び会えると信じて」
FOX2
腕を一振りすると、目の前の黒い敵が真っ二つに切り裂かれる。
切れ目から透明な液体を撒き散らして爆発する。
弱い。こんなやつら、どうせ何匹いたって同じ。
それなのに、基地のみんなはてこずってる。
無線を聞く限り、もう何人も死んでる。馬鹿なやつ。
まったく、めんどくさいことになった。
あの...Sky of Black Angel 第四十四話「翠の銃槍」
FOX2
総合司令室にいる者全てが、モニターに映し出されたミクオの姿を見て愕然とした。
『久しぶりですねぇ世刻司令。』
『ミクオ君・・・・・・何故ですか。』
ストラトスフィアの司令であるミクオと、今までに耳にしたことのない、世刻司令の困惑した声がスピーカーから響いた。
この向こう側のモニターは司令...Sky of Black Angel 第四十二話「決戦へ」
FOX2
今わたしは隊長たちと空を飛んでいる。
「しょうかい任務」という。
わたしは飛ぶのが大好きで、こんなに天気のいい日に空を飛べて、本当ならうれしいはずなのに。
今日は、あまりうれしくなかった。
みんな静かだ。いつもいろいろ話してくれる武哉も、舞太も、
みんな黙ってしまって。
昨日、司令の部...Sky of Black Angel 第三十九話「凶の兆し再び」
FOX2
任務を終え、雪峰から帰った俺達を出迎えたのは、少佐と司令だった。
タイトがこの世を去ったことは、二人とも既に知っていた。
「タイトさんという英雄のために、黙祷を、捧げましょう・・・・・・。」
司令は、静かに言った。
「・・・・・・。」
目を閉じた俺の頭の中に、昨日、夕日を見ながら...Sky of Black Angel 第三十八話「唖然、戸惑い、怒り」
FOX2
「ソード隊、発進準備を開始せよ。」
無線に管制官の声が聞こえてきた。
深夜00:00時、遂に運命の刻はやって来た。
整備員から敬礼と激励の言葉を受け、俺は機体のコックピットに乗り込んだ。
計器類を操作し、アビオニクス灯が灯る。
命を吹き込まれたエンジンから猛獣の咆哮のような作動音が鳴り響...Sky of Black Angel 第三十七話「価値無き真実」
FOX2
興国の軍事力が、何者かによって見る見るうちに削ぎ落とされていく。
いや、誰かなんて想像はついてる。
なぜそうなったのかも。
経緯がどうあれ興国は国として形骸化を始めている。
もうあの国は長くない。
でも、あの国が消えたら、この基地はどうなるのだろうか。
あの国から差し向けられる領空侵犯...Sky of Black Angel 第三十二話「過去、そして、その後」
FOX2
僕がメンテナンスを続けている間、彼は、一言も喋らなかった。
パソコンのモニターには、彼のマザーコンピューターと身体の情報が表示されていた。
一通り終わり、彼の背中から情報伝達用ケーブルを抜き取った。
「はい。終わったよ。とりあえず、コンピューターには異常はなし。バッテリーの容量も不凍液も十分...Sky of Black Angel 第二十六話「ゲノムパイロット」
FOX2
海は本当に静かだった。
ときどき、チャプン、と音を立てるだけ。わたし以外は誰もいない。
ゆらゆらと波が揺れるのが大きな月の光でよく見えた。
月・・・・・・。
この前にもこんな大きな月を、ひろきと一緒に見たっけ・・・・・・。
「今夜は月が大きく見えるよ」って・・・・・・。
あれから、...Sky of Black Angel 第二十四話「互いの想い」
FOX2
この時点で、俺の頭の中に様々な疑問が渦巻いていた。
だが、どうやらゆっくり考えるのは生きて帰った後のようだ。
《こちら雪峰所属、ロンチ隊。配置についた!!AWACS、指示を請う。》
《こちら水面基地所属警戒管制機ゴッドアイだ。これより各味方航空機に指示を出す。既に百マイルのC-42エリアに...Sky of Black Angel 第二十二話「大空中戦」
FOX2
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