周雷文吾の投稿作品一覧
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4-3.
結局、愛が乱入してきたせいで海斗さんに「好き」と伝えられなかった。
塾は十分遅刻してしまったし、しかも愛は塾が終わってからも一緒に帰ると言って、しっかりと家までついてきた……というか、まだいる。
「今日は未来ん家に泊まります!」
また、宣言された。
しかもまた、私のことはお構い...ロミオとシンデレラ 19 ※2次創作
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4-2.
「へぇ、そんなことがあったんだ?」
「わ、笑い事じゃなかったんですよ!」
「ごめんごめん。俺も軽率だったね。気をつけなきゃ」
「あ、いえ。そういうつもりで言ったんじゃ……」
放課後の図書館。塾が始まるまでの、少しだけ空いた時間に、海斗さんはなんとか時間を作って会いにきてくれた。
そ...ロミオとシンデレラ 18 ※2次創作
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Meno mosso
4-1.
翌日。
昨日のことをぼんやりと思い出してるうちに、いつのまにか昼休みになっていた。
今日は、海斗さんのお弁当は作ってない。海斗さんの休憩時間と高校の休み時間が合わなくて、渡せそうになかったからだ。
代わりに――といったら怒られるかもしれないけど、今日は...ロミオとシンデレラ 17 ※2次創作
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3-6.
「や、ごめん。待たせちゃったね」
「ひゃっ」
突然、後ろからポンと肩を叩かれた。びっくりしてふりかえると、そこにはいつの間にか海斗さんがいた。
ぜ、全然気付かなかった……。
「すごい真剣な顔して読んでたから、声かけるのためらっちゃったよ」
そう言って笑う海斗さんは、今までと違って...ロミオとシンデレラ 16 ※2次創作
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3-5.
ちょっと早く着きすぎたから、私は図書館で時間をつぶすことにした。
海斗さんからのメールによると、実験の最中だからあと一時間は手が離せないらしい。
長くも感じるけど、でも、昨日とか一昨日なんかにくらべたら、一時間なんてほんの少しだ。
広い図書館の中を、のんびりと歩く。
ここは高...ロミオとシンデレラ 15 ※2次創作
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3-4.
神崚高校までは、いつも登校するときと変わらない。でも、学校に近付く度に、心臓のドキドキは激しくなっていった。
制服じゃないからっていうのもあるかもしれない。私服で行くっていうのはなんだが慣れないけれど、だからって制服でいくのは、それはそれで恥ずかしい気がする。
高校の校門から入っ...ロミオとシンデレラ 14 ※2次創作
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3-3.
翌朝、私はあくびを噛み殺しながら、お弁当を作っていた。
学園祭の翌日ということもあり、学校は休みだ。しかも、学園祭は日曜日だったから今日は月曜日。平日だから、塾も夕方からしかない。作ってるお弁当はパパとママの分。それと、パパとママには内緒だけど、実は海斗さんの分もある。
昨日……...ロミオとシンデレラ 13 ※2次創作
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3-2.
[ごめんね、実験で手が離せなくってさ。今日……もう昨日かな。……とりあえず学園祭の仕事お疲れ様!]
海斗さんから、そんなメールが返ってきたのは、深夜の三時を過ぎた頃だった。
いつもなら目も覚めない時間で、ケータイもバイブレーションにしていたのに、私は着信がきた瞬間、すぐに目が覚めた...ロミオとシンデレラ 12 ※2次創作
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Spiritoso
3-1.
結局、最後までステージにつきっきりになった挙句、後片付けまでやっていたら、家に帰り着いた頃には夜の十一時をまわっていた。
「……ただいま」
つぶやいてみても、返事は返ってこない。パパとママはまだ帰ってきていないらしい。どこか心地よかったはずの疲労感も、家に着...ロミオとシンデレラ 11 ※2次創作
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2-6.
結局、たこ焼き一つと焼きそば二つをおごってもらってしまった。量が多いのは、愛の分も買ってくれたからだ。
「実行委員なら、結構忙しいんじゃない?」
「それは、まぁ……」
私がつけている腕章を見てそう聞いて来るその人に、どう答えればいいか分からず、私は言葉を濁す。すると、私たちのことな...ロミオとシンデレラ 10 ※2次創作
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2-5.
「あ、あのっ!」
息を切らせて、半ば叫ぶようにしてかけた私の声に、目の前の三人はびっくりしたようにこっちを見た。
その人は、二人の男の人と一緒だった。たぶん、友人なんだろう。三人とも制服は着てないから、神崚の生徒じゃない。
三人の視線に一瞬だけ恥ずかしくなる。でも、本当に一瞬だけ...ロミオとシンデレラ 9 ※2次創作
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2-4.
翌日、神崚大学附属神崚高校学園祭当日。
一応、学園祭実行委員と生徒会は別ものということになっているけど、実際にやってることは実行委員と全然変わらなかった。今日つけている腕章だって、生徒会じゃなくて実行委員って書いてあるし。こっちの仕事のおかげで、クラスの仕事はしなくてもいいことにな...ロミオとシンデレラ 8 ※2次創作
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2-3.
「そんなことがあったんだ……」
午後の図書館。明日にせまった学園祭の準備を少しだけ抜け出して、私は愛に昨日の夜のことを話した。
見知らぬ三人組に襲われかけたところまで話すと、愛は隣りに座る私に手を伸ばして、抱き締めてくれた。私の頭を抱えるようにして、いたわるように、とても優しく...ロミオとシンデレラ 7 ※2次創作
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2-2.
教室を逃げ出して、生徒会室にやってきた。
……のに。
愛が私を追いかけてきた。そして、背後から私に抱き付いてくる。愛が興奮したように「うふふふふ」と笑うのが、すごく怖い。
「つぅーかぁーまぁーえぇーたぁー!」
「ひ、ひぃぃぃっ!」
悲鳴をあげる私に、愛は頬をふくらませる。そ...ロミオとシンデレラ 6 ※2次創作
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Allegro con brio
2-1.
失敗した。
とんでもない大失敗だ。
自分の馬鹿さ加減に呆れ果ててしまう。
なんで、そんな当たり前のことすら忘れていたんだろう。
……本当に、信じられない。
その失敗に気付いたのは、あの人と別れたあと、電車に乗ってしまってからだった。それ...ロミオとシンデレラ 5 ※2次創作
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1-4.
「その子がやめてって言ってるの聞こえてるんだろ?」
その人が通りがかるのが五分早くてもダメだっただろうし、五分遅くてもダメだっただろう。その偶然に、私はこれまで信じてもいなかった神様に、初めて感謝した。
「あ? 何言ってんだテメェはよ。かんけーねーヤツは引っ込んでろよ」
金髪がそう...ロミオとシンデレラ 4 ※2次創作
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1-3.
私が通っている塾は、最寄り駅から少しだけ離れている。
駅から塾まで徒歩でだいたい十五分。行きも帰りも、いつも独りだ。
暗い夜道を、女子高生が独りだなんて、危ないことくらい私にだってわかる。でも、パパとママの塾の基準は塾生の志望校合格率、ただそれだけだった。「危ないから気をつけて」...ロミオとシンデレラ 3 ※2次創作
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1-2.
私は神崚大学附属神崚高校の二年生。生徒会に所属している。
神崚高校はこの辺りではわりとレベルの高い公立校だ。神、なんて仰々しい漢字がついているけれど、別に宗教なんてちっとも関係ない、普通の進学校だったりする。
男子は紺色の詰め襟の学生服で、女子は同色のブレザーに白のブラウス、それ...ロミオとシンデレラ 2 ※2次創作
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intro Andante
1-1.
『私の恋を悲劇のジュリエットにしないで
ここから連れ出して……
そんな気分よ 』
私はふと思い付いたそんな言葉を、声には出さずにつぶやいて、自嘲気味に笑った。
――くだらないわね。
きまぐれに読んでいた戯曲、シェイクスピアの「ロミオとジュリエッ...ロミオとシンデレラ 1 ※2次創作
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そして彼は、錆付き歪んだ剣を振りかざす
そんなつもりは無かった
そんな言い訳はもう遅い
それはいつか先の出来事……
彼はいつも独りきりで
狂気に満ちたほほ笑みを
全身を染める血溜まりの中
まるで泣いているようなほほ笑みを
激痛・無情・絶望・快楽
そんな思いにつき動かされてきた日々か...罪を清める碧の刀身
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そして彼女は、鈍く輝く銃身をこちらへ向ける
起きる撃鉄
響く銃声
それはいつか先の出来事……
彼女はいつも独りきりで
淋しげなほほ笑みを
しとしとと降り続く雨の中
まるで泣いているようなほほ笑みを
失意・絶望・怨嗟・後悔
そんな思いにつき動かされてきた日々も...全てを断切る紅の弾丸
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僕が創ったこの世界
しばらくほったらかしにしておいた
僕が世話を焼くほどに
彼らはつけ上がってくから
モノを造って
ルールを決めて
自分の世界を僕は創った
でもどうしてかな
この世界の住人は
何度も何度もルールを破る...カミサマ FP ver.
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そこに見つけた思いの果てに
僕は何を見るだろう
悠久の平和?
ささやかな幸せ?
そんなもの
そんなもの、どこにもありはしないんだ
日曜日の昼下がり
行き交う人の
表情なんて読めなくて
不意に胸を刺す痛みに...ツイオク
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しらないひとと
かくれんぼ
とおまでかぞえて
もういいかい?
かくれてないから
まあだだよ
こかげにかくれて
もういいよ
あっちいって
そっちいって...かみかくし
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なんてことしてくれるの?
あたしを虜にしておいて
それはちょっとないんじゃないの
あたしには、もうそれしか残されていないのに
あたしから歌を奪うって、いったいどういうつもりなの
あたしは今も覚えてる
初めてここに来たときを
何にもなかったあたしに教えてくれた
それがあたしの全てになっ...歌姫