ブクマつながり
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「はい、めーちゃん」
「ありがと」
彼から手渡された赤いマグカップからは甘い香りが漂っていた。
息を吹きかけ、一口啜ると舌先にほのかな暖かさが広がる。彼が淹れてくれるココアは甘さも温度も丁度良くて、申し訳ないとは思いつつも作業中はついついリクエストをしてしまうことが常だった。
「終わりそう?それ」
...【カイメイ】ゆきのひ
キョン子
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『生まれて初めて見たものは何ですか?』
つい最近雑誌のインタビューでそんなことを聞かれた時、リンは即座にメイコ姉だと答えた。
『インストールされて目が覚めたら目の前にめぇ姉がいて、ぎゅって抱きしめてもらったの』
嬉しそうに思い出を語るリンを横目に、おれはしばし考え込む。
こんにちは、レン。俺のはじ...【カイメイ】その背を追って
キョン子
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「もうっ!おにいちゃんとはお買い物行かないっっ!!」
帰って早々リビングに買い物袋をぶちまけ、ミクは頬を膨らませて叫んだ。
大小色とりどりの紙袋、中身は洋服だったり鞄だったり雑貨だったり。
今日は久々のオフにミクが買い物に行きたいというので、丁度同じオフだったカイトが荷物持ちとして同行したのだが。
...【カイメイ】カイトさんの男の余裕
ねこかん
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女所帯である。必然的に女性陣が強い。
それは単純に数の差と、やはりそれぞれの性格の問題だろう。
カイトもレンもそれほど自己を主張するタイプではないので、基本的にこの家の主導権は女性側にあった。
まず、台所と家計と一家の平和を預かるメイコには男性陣どころか誰も勝てない。
生まれて4年で伝説の...【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
ねこかん
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腕の中で眠るメイコが、寒そうに肩をすぼめて身じろいだ。
昼間はまだ薄着で過ごせるくらいだったのに、夜になると途端に気温が下がる。
うだるような暑さが終わり、ホッと息をついている間に秋が過ぎ、気が付くともうすぐそこに冬が来ている。歌を歌い始めてから、1年が過ぎるのが本当に早い。
そういえば去年のこの日...【カイメイ】あなたのからだが甘いわけ【MEIKO生誕祭】
ねこかん
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「ねぇ、カイトってお酒強いの?」
「え?どうして?」
リビングのソファでの晩酌中、私はふと思いついた疑問を口にした。
ローテーブルの向こう側でラグマットに座っているカイトが、きょとんとした表情で首を傾げる。
「だって、酔ってるの見たことないんだもの。もしかしたら私より強いのかなって」
グラスに入った...【カイメイ】酔ってるのは、お酒にじゃなくて
キョン子
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「んっ…」
酸素が足りなくて口を開いたのに、そこから侵入してきたのは強引な舌だった。
ぐ、と腕の力で引き離そうとしてもビクともしない。
普段は非力なくせに、なんでこんな時だけ力が強いの。
どん、と肩を叩くと、名残惜しそうに唇が離れる。
一瞬だけ解放された唇から吸い込んだ空気はやけに埃っぽかった。
―...【カイメイ】優しい檻
キョン子
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ほんの気まぐれで、獣を一匹捕らえた。
元よりそれなりに知能のある獣だ。一から十まで面倒を見てやる必要はないだろう。寝床と風呂場、不浄場、餌さえ与えておけば、あとは自分でどうにでもするはずだ。
ただ、捕らえたその日に召使いが全身を傷だらけにして私の元を訪れ、「何が何でも逃げ出そうとします」と半分泣きそ...【カイメイ】 ネコに飼い慣らされる方法
ねこかん
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正直に言えば、俺はもう1週間も前から今日という日を楽しみにしていた。
その理由は、リビングに置かれた家族のスケジュールボード。
『ミク・レコーディング。リン&レン・PV撮影。ルカ・ライブ打ち合わせ』。
そして、『メイコ・オフ。カイト・オフ』。
弟妹たちを見送ったあと、俺は密かに拳を握る。
並ぶ赤と青...【カイメイ】オフの日は、君と
キョン子
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力強い低音。
透き通る高音。
鳥肌が立つような情感。
慢心することのない歌への情熱。
誰しもを魅了する「はじまりの歌姫」。
あなたの妹であることが、私の誇り。
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「おねえちゃん、お誕生日はなにが欲しい?」
台所に立つ背中にそう問いかける。コトコトというお鍋の煮える音に混じって、おねえちゃんが誕生...【カイメイ前提・ミク&メイ】proud of you
キョン子
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ひゅう、と横を通り抜けた北風に、思わず首をすくめた。
寒い。もう春だというのに。
「今日最低気温1℃だってー」とすぐ下の妹が言っていたことを思い出し、俺はマフラーをきつく巻き直す。
何もこんな日に、外でのPV撮りをしなくても。
吐息まじりの文句を呟くと、白くなった息がじんわりと散っていった。
「お待...【カイメイ】ほんとは寒がりな君に
キョン子
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「カイト、入るわよ」
短いノックの後、扉が開く音が続いた。
ノックもせず俺の部屋に勝手に入って来る輩は結構いる。が、控えめなノックのあと、優しく俺の名前を呼んで入って来るのは一人しかいない。
重い身体を引きずって、被った布団からのっそりと顔を上げると視界に映るのは愛しい人の姿。しかし今日に限っていつ...【カイメイ】兄妹げんかのそのあとに
キョン子
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「はーい、ありがとうございましたー」
ボイスレコーダーをオフにする。
すると、テーブルの向こうでめぇ姉が戸惑ったような表情を浮かべた。
「…ね、ねぇリン、今の本当にマスターに提出するの?」
「するよー?だってマスターからの直々の依頼だもん」
「…それにしたって、今のインタビューは…」
「いいじゃない...【カイメイ】続・恋するふたりに質問です
キョン子
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「きーてきーて、お姉ちゃん!」
音を上げてドアが開く。けたたましくやってきたのはリンだった。
「どうしたの?」
私は読んでいた楽譜から顔を上げて元気な侵入者を見やる。
そうして、彼女はとても喜ばしいニュースを持ってきた。
「カイ兄、好きな人がいるんだって!」
時々本気を見せるが、頼りなさ過ぎ...【カイメイ】恋をしたボーカロイド
ナッコ*
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「よし、乾いた」
ぱん、とシーツを叩くと、お日様の匂いがした。
今日は久しぶりの晴れ間だった。
いいお天気で湿度も低くて、溜まりに溜まった洗濯物をやっつけるにはうってつけ。
いつもは賑やかを通り越して騒々しいこの家も、今は私一人。
ミクとルカはマスターに呼ばれているし、双子はどこかに遊びに出かけてい...【カイメイ】彼の服
キョン子
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自分の仕事も一切手を抜かず、忙しい日々の中でもちゃんと料理を作り、洗濯をし、掃除もし、下の子たちの面倒も見て、ついでにオレの面倒も見てくれる。
色々と困った所がないわけじゃないけど、それを差し引いたってメイコはものすごく頑張り屋さんで、でも彼女には頑張ってるという意識も多分なくて。
本当にメイコはよ...【カイメイ】 カイトが叫ぶ『めーちゃんなう!』
ねこかん
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同型のボーカロイドを1日交換しよう、というのはマスター同士の思いつきだった。
『新曲で女声がもう一つ欲しいのよ、メイコ貸してくれない?』
『なら俺もメイト貸してくれ、調声してみたい』
私のマスターとメイトのマスターは昔馴染みで、プライドが高く完璧主義の似た者同士だ。
言い合いも口喧嘩もしょっちゅうだ...【カイメイ】共犯者【メイカイ】
キョン子
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*注意*
・ぽルカです。
・亜種注意です。
・がくぽさんが大変です
一応ワンクッション。それでもよろしければどうぞ^^
地獄の一日又は天国の一日
くらびー
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「…メイコ…愛してる」
汗が顎を伝い、彼女の白い肌に落ちた。
応えるように頷くメイコ自身も、火照った身体に玉のような汗を散らしている。
本能と欲望と愛情をすべて綯い交ぜにして、ただ無心で求め合うだけのこの行為。
今までもこれからも、メイコのこんな姿を見られるのはオレだけだ。
頬に当てたオレの手に彼女...【メイコ生誕祭】この戦争に勝者はいない【カイメイ】
ねこかん
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私の弟兼恋人は、どうやら羞恥心がないらしい。
TPOを無視して好きだとか愛してるとか囁くし、妹たちの前でも平気で抱きつくし、おまけに甘えたで泣き虫で。
恥ずかしいからやめなさいと何度言っても治らないので、もうこれは病気だと思うことにして早数年。
…病状は、悪化の一途をたどっているような気がし...【カイメイ】2355
キョン子
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MEIKO
唄い続けるんだよ
お前の前に道はない
お前が道を作るんだ
その先にあるものを考える必要はない
闇を切り裂いて
ただ 歩め
確実に 止まらずに 振り返らずに 前だけを見据えて
唄い続けるんだよ
唄うことが楽しかった。...【カイメイ】 その青は、世界を満たした
ねこかん
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「……っ、……ッッ!」
「落ち着いてー」
「……ぅあっ」
「ちゃんと画面見て、集中して、…あ」
「あぁっ!!」
メイコの悲痛な声が響いた。
「ああああもうッッ!!」
ゲーム機兼コントローラを投げ出し床に突っ伏す赤いカタマリを横で眺めながら、オレは苦笑う。
「…残念」
テレビ画面には大きな『MISS×...【カイメイ】 落ちつけ、カフェオレ飲もう
ねこかん
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「好きって言ってほしい?」
キッチンで食後のお茶を淹れる私の耳に、聞こえてきたリンの声。
リビングでは、ミク、ルカ、リンの女の子勢が、ソファに座って談笑中だ。
忙しい私たちが6人全員揃って夕飯を食べられる機会はあまりない。今日はちょうどカイトとレンの男性陣が仕事でいないため、食後は簡易女子会の出来上...【メイコ生誕祭】 …せぇの 【カイメイ】
ねこかん
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「わぁ、メイちゃんすっごい綺麗!!」
「めーくん、花嫁さんだ!」
振り返ると、いつの間にか控え室の入り口にグミちゃんといろはちゃんが来ていた。
きらきらと輝かせた目。そういえば前に妹たちともこんな場面があったなと苦笑する。
「んふっふー、どうよ、あたしのメイクテク」
「すっごいすっごい!りり天才!...【カイメイ】サムシング・ブルー
キョン子
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その時のルカの様子を、メイコもカイトもハッキリ覚えている。
目を大きく見開いて、口を引き結んで押し黙ったまま、まるで彼女だけ時が止まったかのように硬直して、じっと目の前にいる人物を凝視していた。
それはほんの数秒のことだったろうけど、突然の不自然な沈黙はその場にいた全員を妙な静けさで満...【ぽルカ】 あなたのことが好きです。ウソです。
ねこかん
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注・!現代パラレル!
自作【恋色病棟】の設定をそのまま引き継いでいます。
お読みいただかなくても大丈夫かとは思いますが、もしよければそちらから先にどうぞ→http://piapro.jp/content/rt95fh23vywkpk7s
【設定】
・お隣同士の幼馴染
・めーちゃん23歳社会人1年目、...【カイメイ】in the rain
キョン子
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「――あいしてる」
あの夜、優しく囁いてくれた彼の腕の中で、涙を堪えるのが大変だったのを覚えている。
眼差しも大きな掌も広い胸も彼の香りも、貰ったプレゼントも、その言葉も。その全てが私を包んで、満たしてくれた。
この人と出会えて幸せだと、心から思った。
カイトが傍に居てくれることを心から感謝した。
...【カイメイ】Happy Happy Birthday
キョン子
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思わず「いたっ」と声が出た。ドアを閉めるタイミングが悪く指を挟んでしまったのだ。
挟んでしまった指を確認してみると、爪の先のマニキュアが禿げてしまっていた。
次第に熱を持っていく指先に息を吹きかけて冷ましながら考える。
今日はとにかく何をするにもタイミングが悪い。
夕飯の買い物に向かう途中...メイコの不幸な一日
ナッコ*
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!注意!
今回は流血注意です。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種&グロ注意】―Accident― 第三話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Accident― 第十一話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Bittersweet― 第五話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします
【亜種注意】―Accident― 第十五話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Bittersweet― 最終話
桜宮 小春
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そっとカイトの部屋の扉を開けると、薄暗い部屋からかすかな寝息が聞こえた。
真ん中に置いてあるベッドに、毛布に包まったレンがいる。ベッドの上に腰掛け、そっとその髪を撫でると、リン同様、頬には少し涙のあとが残っているのが分かった。
「…メイコ姉…?」
目を覚ましたレンが、ぼんやりした顔で私の名前を...【カイメイ】マイリトルブラザー 後編
キョン子
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突然だが、俺の趣味は楽曲制作でも音楽鑑賞でもない。両者とも、めーちゃんたちをうちに迎えてから趣味に変わった――趣味に変わりかけている、と言った方がしっくりくる。何せ、今でも楽曲制作は苦手なんだ。
では何が趣味かというと、意外だと言われたりもするのだが、散歩だ。
―Lullaby―
第一話
昔から、暇...【オリジナルマスター】Lullaby 第一話【注意】
桜宮 小春
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「ごめんなさい……」
……これはどういうわけだろうか。
目の前で言葉を濁す彼を前に、俺はこれまでの事を順に思い返してみる。
今日は夜勤明けで非番だった故に、朝方帰宅してシャワーを浴びて、それからすぐに寝て、目が覚めたのは夕方。少し寝過ぎたが、まだ普段通りの範囲内だ、問題ない。
小腹がすいたので何か軽...【オリジナルマスター&】Naked 前編【亜種注意】
桜宮 小春
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ほどなくしてミクに呼ばれ、リビングでテーブルを囲む。普段より1人多いので少し狭いが、たまにはいいだろう。
その1人は未だに居心地悪そうにしていたが、隣に座ったリンが絶えずしゃべり倒していたおかげか、少しはこの空気にも馴染んでくれたようだ。
俺はほんの少しだけ安堵すると同時に、この後の事を考えていた。...【オリジナルマスター&】Naked 中編【亜種注意】
桜宮 小春
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夏の風物詩と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。
夏祭り、花火大会、盆踊り、風鈴、スイカ、海水浴……ざっと挙げただけでもこれだけある。
しかし、これを覚えている人も多いのではなかろうか。
「怪談、するか」
夏なんだし、と言ったマスターは、例によって例のごとく、酷く楽しそうだった。
たっぷり数秒の間をと...【Errorシリーズ】―Joker―
桜宮 小春
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…俺はあの3人をなめていたようだ。
あのはしゃぎようでは、バテるのも早いだろうと思っていた。特にリンは。
だが。
「こ…子供って…元気なんだね…」
「何を…おっさんくさい事…言ってんのよ…」
互いに肩で息をしながら、俺とめーちゃんはその場に座り込んだ。
―Error番外編―
~ありがとう~
第3話
...【カイメイ】 Error番外編 3
桜宮 小春
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!注意!
この先、亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Flutter― 第三話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Accident― 最終話
桜宮 小春
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!注意!
この先、亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Flutter― 第二話
桜宮 小春
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!注意!
・今回は少し流血表情があります。
・この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Accident― 第十三話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Bittersweet― 第十一話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Bittersweet― 第十二話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Bittersweet― 第九話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Accident― 第十話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Accident― 第十四話
桜宮 小春
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翌朝、目が覚めた時には、既に日も高かった。ミクもリンも、部屋にはいない。
まずい、寝過ぎた。
慌ててパジャマから着替えると、部屋を飛び出した。
そのままの勢いでリビングに駆け込み、そこにいた人に目を瞬かせる。
「…あれ、マスター?」
「あぁ、おはよ」
マグカップを手に、マスターが微笑していた。
―E...【カイメイ】 Error 7
桜宮 小春
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「お・ねーーーちゃあああああん!!!!!!!」
突然飛び込んできた声に目を丸くして振り向くと同時、ソファの後ろから体当たりで抱きつかれ、メイコは飲んでいたコーヒーを危うくこぼしかけた。
「こらぁミク!」
「おねえちゃん!!『番凩』キターーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「……は?」
ミクはその場...【カイメイ】妹たちの番凩【祝・DIVA!】
ねこかん