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無数に広がる、吸い込まれそうなぐらい深々と続く、暗い暗い竹藪。そこへ、程好い涼しさを運んでいた風も、夜が更けるにつれて、徐々に冷たく感じられるようになってきた。体の芯まで、すぐに冷えてしまいそうなほどだ。妙な寒気が体に走る。そしてそれは何かーー更に『おぞましいもの』の到来を、予感させるようでもあっ...
「VOCALOID HEARTS」~第31話・陰忍部隊~
オレアリア
「今宵の月は、少し陰りが見えるな…」
神威がくぽ、神威道場の師範。彼はいつもの厳しい稽古を和音マコに施した後、夜も更けた竹藪の入口の石に腰を下ろして休んでいた。僅かな夜風が、草木の葉を飛ばしてくる。そんな空気の中、がくぽは一人涼んでいた。彼は酒も飲まなければ、煙草も吸わない。口にするのは、一汁三菜...「VOCALOID HEARTS」~第30話・陽忍部隊~
オレアリア
もしも亞北ネルという女が、世界のモデル界を魅了するプロポーション抜群の超絶金髪美少女アンドロイドアイドル、なんて存在だったら、どれだけ良かったか…想像していたら、アホらしくなってくる。
そんな妄想じみたことを考える私は、毎日のように街の警備や要人警護とかの仕事をしている。でも、それは普通の警察活...「VOCALOID HEARTS」~第29話・電撃無双~
オレアリア
(…どうしたもんかなぁ)
家族どうしで職業が違うってのは、別に珍しくとも何ともない。だけど俺は無名の新聞記者、妹は世間で話題のアイドル。こうも差があると、何だか自分が平凡で惨めに感じられる。
俺は今、リニアに乗って博多から東京に戻っている。この乗り物は、まるで疾風のような速さで走っている。到着に...「VOCALOID HEARTS」~第28話・東奔西走する記者~
オレアリア
人間とアンドロイドとの平和を作り上げることを目的にした、アンドロイド平和統括理事会。カイトたちのMARTとは、互いが持つ裏側の面で対立しあう、相容れない関係である。
その直属の査察部隊、AAA(Android・Assessment・Agent)。通称はトリプルエーと呼ばれる。長らく、重音テト・波...「VOCALOID HEARTS」~番外編・テトの手記~
オレアリア
男の名はアル・トーテンコップ。ある人物からの依頼を受け、連邦捜査官の立場と職権を利用しながら、巡音ルカを消すために命を狙う。ルカはいわれのない冤罪で、追われの身となる。対するは恩人を守るために戦う、結月ゆかりと側用人の瑞希。ルカと共に逃走を図り、アルの襲撃を受けるも何とか難を逃れた。だが、これで終...
「VOCALOID HEARTS」~第27話・君に幸あれ~
オレアリア
国連会議への出席で訪れたニューヨークで、友人である結月ゆかりと再会した巡音ルカ。その後、彼女はアルと名乗る捜査官に狙われ、命の危険に晒されたが、ゆかりたちの助けによって事無きを得る。しかしアルは、自分の立場を利用して国家権力を行使し、再び彼女を消そうと企む。逃げ場が無くなったルカたちは、ゆかりの友...
「VOCALOID HEARTS」~第26話・夢を紡ぐ者たち~
オレアリア
皐月の某日、アメリカのニューヨーク。巡音ルカは国連総会の出席後、海岸に面したとある公園を訪れていた。結月ゆかりとの再会もあり、心の和んだルカだったが、そこへアルと名乗る捜査官がやってきた。アルはルカを犯罪者集団から護衛するためにやってきたと言うが、ルカは気にかかっていた数々の不審な点を指摘し、アル...
「VOCALOID HEARTS」~第25話・希望を繋げる者たち~
オレアリア
「お待たせ、ゆかりちゃん」
「あっ、ルカさん。お待ちしてました」
「隣に座っていいかしら?」
「どうぞ掛けて下さい」
MARTの一員として活動を続ける巡音ルカは、ニューヨーク湾に面した公園を訪れていた。彼女を待っていたのは、結月ゆかり。おしとやかでミステリアスな雰囲気のアンドロイドだ。2人は自由の...「VOCALOID HEARTS」~第24話・海の向こう側で~
オレアリア
唄音ウタ。愛称はデフォ子と呼ばれる、15歳の少女。カイトからの支援で就職した広告会社で、いつもと変わらない退屈な日々を過ごしていた彼女に、突然「アンリ」と名乗る謎の女性から警告の電話がくる。その直後、アンドロイド平和統括理事会の査察部隊・トリプルエーの議長¨健音テイ¨が現れる。ウタは部屋を変えて息...
「VOCALOID HEARTS」~第23話・闇の兆し~
オレアリア
「連続暗殺事件…物騒な世の中」
唄音ウタことデフォ子。MARTで支援を受けて社会復帰を果たしたウタは、小さな広告店でうだつの上がらない毎日を送っていた。基本的にやることといえば、街中で昼前から夕方まで延々とティッシュ配り。彼女は正直、そんな仕事に満足はしていなかった。クールで無気力、それでいて人前...「VOCALOID HEARTS」~第22話・狙われた少女~
オレアリア
僕は鏡音レン。
ここ暫くの間、毎日が驚く事の連続で何だか気持ちが落ち着かない。
今日もルナさんから告白されて…と言っても勿論¨愛の告白¨じゃないからね!
その後、僕は数年前にMARTへやってきたルナさんに初めて出会った時の事を思い出した。
…今でも覚えてるよ。
メイコ「…嫌よ!!」
カイト「めーちゃ...「VOCALOID HEARTS」~第21話・革命の胎動~
オレアリア
4月上旬の夜、フランス。パリの高級レストランに、2人のアンドロイドがVIPで来店した。1人は、アンドロイド平和統括理事会の査察部隊、トリプルエーの副執行長・波音リツ。もう1人は、リツと何らかの取り引きをするためにやってきた、金髪の男・レオン。店の洒落た雰囲気、静かに奏でられる弦楽器の演奏、紳士淑女...
「VOCALOID HEARTS」~番外編・バトルウェーブ~
オレアリア
モモ「ふ…ふぇくしょいっ!!」
TVキャスター¨…続いて花粉情報です。今月から日本各地で大規模な花粉の飛散が予想されそうです。お出かけの際にはマスクを着用されると良いでしょう。¨
モモ「だ…誰かティッシュ下さ~い!!」
カイト「…うおっ!?何だその鼻水は!?」
いろは「モモさん、ティッシュだにゃ!」...「VOCALOID HEARTS」~第20話・花粉襲来前線~
オレアリア
私たちの街に積もった雪も溶けはじめ、ようやく春の訪れが感じられるようになってきた。長かった冬も、いよいよ終わりを告げる。そんな時期に私たちがやってきたのは、まだ雪が降りしきる北の大地・北海道。一緒についてきたモモが観光気分になってしまっているけど、今回の目的はそうじゃない。リンちゃんの里帰りも含め...
「VOCALOID HEARTS」~第19話・巡音を訪ねて遥々と~
オレアリア
(…今しかない!)
そう考えた私は、廊下の角で身を潜めている。呼吸を殺し、腰の拳銃に手をあてる。暗がりに包まれた廊下の奥から徐々に近づいてくるのは、健音テイ。こうして敵どうしとして再会するなんて、想像もしなった。私の数少ない友達と…
テイとの出会いは、いつだったか。そうだ、私がいつものように、ま...「VOCALOID HEARTS」~第17話・真紅に染まる記憶~
オレアリア
緊迫した状況のNLI社では、警官隊の壊滅に代わって突入したトリプルエーにより、警察は何もできず膠着状態に陥っていた。皆はキヨテルの次の指示を待っている。
「氷山課長、命令を…!」
「…理事会の方々に通達して下さい。これより、特殊部隊を突入させる手はずを整えると」
「分かりました、今すぐに準備を…あ...「VOCALOID HEARTS」~第16話・昨日の友は明日の敵~
オレアリア
とある日の午前10時…
MARTの主要メンバーであるいつもの6人が、とあるツインドリルの人物に呼び出されました。
その前日に届いた手紙にはこう書かれてあったのです。「何気ない日常を、笑いの絶えない時間に変える企画!MARTのメンバーの皆さん、嫌でもご参加下さいねっ!」と。
疑いを感じる事も無く東京駅...「VOCALOID HEARTS」~番外編・絶対に笑ってはいけないMART観光旅行~
オレアリア
警官「…この部屋の中だ。突入するぞ。」
警官「…行け!突入!」
警官「警察だ、動くな!両手を上げてゆっくり立つんだ!」
ハク「………」
3月の終わりごろ。世間を震撼させた、1つの大きな事件が起こった。
イノセンスクリエーション社に続いて、アンドロイド開発の権威を持つ、もう1つの会社が存在した。ニュー...「VOCALOID HEARTS」~第15話・白銀の狙撃手~
オレアリア
クウ「…どうか、私と付き合って下さい!」
ソラ「ごめんよ、それは無理だ。」
クウ「…ガビーン!!」
ソラ「俺のことを好きになってくれたのは嬉しいんだけど、クウさんのことは全然知らないし、とてもじゃないけど無理かな。だから…うん。」
クウ「そんなぁ…くすんくすん……もう穂波君の事しか考えられないのに…...「VOCALOID HEARTS」~第14話・夢で覚めた思い~
オレアリア
ミキ「…答えなさい!」
ソラ「…………」
ミキ「穂波君、どうしてキミはいつも勤務時間中にデートするの!?」
ソラ「まあまあ、そうカッカしないで下さいよ。こうやって毎日大声で説教してると、疲労でシワだらけのオバサンみたいになっちゃいますよ?」
ミキ「ハァ!?」
ソラ「というわけで、今川刑事の美貌を損な...「VOCALOID HEARTS」~第13話・空を仰ぐ正義~
オレアリア
モモ「アッー!?」
カイト「な…何だ?」
モモ「キャーッ!!イ…イヤッー!!」
カイト「モモ、何があった!?」
モモ「¨G¨が出たんですよ¨G¨が!!」
カイト「…G?一体何なんだそれは?」
ルナ「¨ゴリラ¨の事ではなくて?」
カイト「ここ動物園じゃねーぞ!?」
メイコ「¨ジャイアン¨の事じゃないか...「VOCALOID HEARTS」~第12話・イエローカード
オレアリア
「どこを見ているでござるか?」
「…かはっ!?」
「勝負あり…まったくこの程度では師範代も務まらないでござるな。赤子の方が歯応えあるのではなかろうか?」
「…くっ!もう一度お願いします!!」
「残念だが、今のお前に拙者と手合わせする資格はない。出直して来るがよかろう」
「な…なぜですか!?」
「それ...「VOCALOID HEARTS」~第11話・神威旋響流~
オレアリア
3月11日、午前4時半。
アイドルスターのグミは、しばらくぶりに仕事の休みが取れたため、かつての恩人・カイトの勧めでMARTの本部に泊まっていくこととなった。
だがその夜、悪夢にうなされて眠りから覚めてしまった。グミはルナの言葉で再び眠りにつこうとしたが、それでもなかなか寝れない。
とりあえず喉の渇...「VOCALOID HEARTS」~第10話・夜明けの決意~
オレアリア
3月12日、午前5時。MARTと敵対する組織が、ある緊急会議を開こうとしていた。クイーンニードル、そんな名前がつけられた、全体が鋭く尖った大型ヘリコプターが、アンドロイド平和統括理事会の屋上に着陸した。ヘリポートには、数十人余りの親衛隊員が中心を開けて一列並んでおり、ただならぬ雰囲気が立ち込めてい...
「VOCALOID HEARTS」~第9話・女王の金蜜弾~
オレアリア
「…何ですって?今後の予定をしばらくキャンセルする!?」
「もう私、こんな休む暇もない仕事は限界です。今だって3日間の間に仮眠しか取れてないんですよ? 少しだけでいいんです、どうか羽をのばす時間を…」
「ダメよ!アイドルスターになったこの時期のアナタはどんどんアピールして、もっと自分を売り込んで、更...「VOCALOID HEARTS」~第8話・夢見る歌姫~
オレアリア
「ユフお姉さん、またいつでも来て下さいね!」
「ユフちゃん、頑張ってね。私、これからもずっと応援してるから!」
「またいつでも来てね。今度はユフちゃんの大好きな、白雪プリン作りましょ!」
「ユフ、お前のことだから、仕事も何でも我慢して心の中に溜め込んでしまうだろう。疲れた時はいつでも帰ってこい。ここ...「VOCALOID HEARTS」~第7話・アイドルは突然に~
オレアリア
3月11日、午後9時。ここはアンドロイド平和統括理事会の会議室。ここに数名のトリプルエーの主要メンバーが集まろうとしていた。
20席余りの椅子に囲まれて、非常に大きな円卓の机があり、中心の床にはトリプルエーの紋章が描かれている。三つ星が特徴的であり、それぞれの星に¨聖者・正義・制裁¨という意味が...「VOCALOID HEARTS」~第6話・雪歌の使命~
オレアリア
草木も眠る丑三つ時、ピアプロセントラルビル内部。非常灯の頼りない緑の光に照らされた廊下の上に、怪しげな三つの影が浮かび上がる。
「こちら実行A班。現在地七階、3-Fです。指示を」
『こちら指令班。周囲に生体反応なし、そのまま予定通りのルートで3-Dまで向かって。その後、連絡があるまで待機』
「了解し...小説【とある科学者の陰謀】第八話~悪の組織、始動~その2
瓶底眼鏡
誰かに後をつけられている。誰かが俺たちを狙っている。誰かがずっとこちらを見ている。
気のせいか…
いや、違う。目的は分からないが、確実に俺たちを狙っている。どうして後をつける? どうして隠れている? 用があるなら、正面から出てこい。怖じ気づいたのか? 人目を気にして、出てくる度胸も無いのか?
...「VOCALOID HEARTS」~第5話・漆黒の制裁者~
オレアリア
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