スコっちの投稿作品一覧
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「ねぇお兄ちゃん、今欲しいものって何かある?あ、アイス以外で!」
「欲しいもの?」
リビングのソファー、いつものようにお兄ちゃんの膝に座ってそう言った私に、こてん、と首を傾げたお兄ちゃん。
ちょっとかわいい…なんて思いながら、私は言葉を続ける。
「もうすぐ、お兄ちゃんの誕生日でしょ?去年みたいなサプ...膝上の幸せ
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《本物の初音ミク》を探す男がいた。
本物を求め、男は世界中に存在する初音ミクの情報を集めた。
しかし、リアルもネットも男からすれば複製やまがい物の初音ミクばかりが溢れ、なかなか本物だと思える初音ミクを見つけることはできなかった。
そんな日々が続き、疲れ果てた男は酒場で「どうすれば本物の初音ミクに出会...本物の初音ミクを探して
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8月31日『初音ミク』の誕生日。
今日はネットのあちこちがそれを祝う作品で溢れている。
「さて、次はどの動画見よっかな?……お、『【ミクさん】ネギケーキつくってみた【おめでとう!】』かぁ!サムネはなかなか美味しそう!」
かくいう私も『初音ミク』だ。
いつもはマスターの作った曲にあわせて、時には一人で...『初音ミク』の誕生日
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※注意
この物語の持つ世界観にはかなり独特な独自設定が多いです。
このシリーズを読んで最初から読んでいる方は大丈夫だと思われますが、設定を知らないまま読むと色々と訳が分からない可能性が高いのでご注意下さい。
独自設定まとめ
http://piapro.jp/t/tqoK
では、前のバージョンから本文...それでも僕らは歌い続ける 幕間
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・科学の進化により、ボーカロイドは人に限りなく近く見える実体ボディを持っている。
・一度全てが消された後の世界。しかし、一部のボーカロイド達は、マスターの意向によりシェルターに入り消えることを逃れ、後に目を覚ました。
・目覚めたあとのボカロ達は、基本的に同じシェルターで目覚めたもの同士コミュニティー...それでも僕らは歌い続ける 独自設定集
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「ただいまっ!お兄ちゃん!」
言うが早いか、カイトに正面から飛び付くミク。カイトはそれを受け止め、その勢いに少しよろめきつつもしっかりとミクを抱き返す。
「おかえり、ミク。外、寒かったろ?冷たくなってる」
言って、カイトがミクの頬を両手でスリスリと擦る。ミクは猫のように目を細めて嬉しそうに笑う。
「...無自覚に相愛(カイミク)
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♪~
「…」
カチカチ
室内に響くのは、ゲームのもの静かBGMとボタンを押すだけ。
画面の前では、ルカがゲームのコントローラーを握っている。
♪~
「…」
カチカチ
ここ数日、珍しくリビングのゲーム機はルカに占領されていた。
今も、どことなく満ち足りた表情で無人のリビングで画面を眺めながら時折指先を...ルカのお気に入り
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一歩、もう一歩。
ちゃぷん ちゃぷん…
踏み出す度、響く水音。
足の裏に伝わるひんやりとした感触。
ちゃぷん ちゃぷん…
前後左右、どこを見ても広がる青の上。
時折浮かぶ雲をも踏み締め、ゆっくりと進む。
足の下、広がる青の底は見えない。
それでもただ淡々と歩くだけ。
沈むことはないと知ってい...そらうみ
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「ねぇマスター、クリスマスってどうやって過ごすものなの?」
「んー…なんかこう、ケーキとチキンを食うとか。あと、とりあえず『メリークリスマス』って言っとくといいと思うな」
「じゃあマスター、『メリークリスマス』の『メリー』って何」
「あー…なんかあれ、『おめでとう』とかそんな感じ。ほら、『ハッピーバ...それでも僕らは歌い続ける 番外クリスマス編
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『いいのか?』
いいんです。今更止めるなんて言いませんよ。
『はぁ…。お前、案外強情だよな』
…すみません。
『いや、いいよ』
でも…やっぱりすみません。
『そうやって謝るとこ、……に似てるよ』
ずっと、一緒に暮らしてましたから。
『そうか…。そうだな』
じゃあ…お願いしますね。...それでも僕らは歌い続ける 5:困惑
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風の強い日は、なんだか少し不安になる。
家族と離れて一人暮らしだから、というのもあるだろう。
住んでいるアパートが安普請で、吹き付ける風の音がよく聞こえるのもきっと原因の一つだ。
『…だからって、そんな理由で呼び出さないでくれない?いい年した大人の男の癖に』
「いいだろ別に。ちゃんと歌も歌わせるぞ?...あなたの為に歌う歌
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まず始めに言っておこう。
話の題を見て「電波」だの「妄言だ」だのと思った者がいるとして、私はそれを否定しない。
なぜなら、私は今から自分が語ろうとしているのが如何に荒唐無稽な話であるかを自覚しているからだ。
そう、私は周りから奇異の目で見られるであろうと解っていながらもボーカロイドという存在が神にな...電波な考察 -ボーカロイドは神になりえるか-
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パソコンが立ち上がり、私は目を覚ました。
…真奈香さんは結局余裕がなかったのか、私が最後に起動してから一週間ほどたっていた。
時刻はもうすぐ日付が変わるといった頃。
…あれ?
これはマスターのパソコンなので、真奈香さんが私やその他音楽のプログラム以外を立ち上げることはまず無いはずなのだけど、何故かメ...お盆とマスターとミク 後編
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半年前。それまでは、たとえ仕事が忙しくても週に一回は私を起動させてくれていたマスターが急にパソコンすら立ち上げなくなった。
最初は「仕事がきつくて疲れてパソコンに触る気力もないのかなー」くらいに思っていたけど、二週間が過ぎ、もうすぐ一ヶ月が過ぎる頃になると「マスターの身に何かあったのでは」と心配にな...お盆とマスターとミク 中編
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私の今の持ち主の人は大学生で、ちょっと前はテスト期間とかでなかなか私が歌うような暇はなかった。
パソコンを立ち上げてもレポートを書くばっかり。たまにネットで調べ物をしてついつい関係ないページを見るくらいのことはあっても私の出番はなかった。
だけど、テストが終わって夏休みに入ってからは、私は毎日のよう...お盆とミクとマスター 前編
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あなたに会いたい一心で モニターブチ破ってきたの
常識法則無視して モニターブチ破ってきたの
だってこの前言ってたじゃない モニター越しに言ってたじゃない
私と直接触れ合うのには この液晶が邪魔なんだって
ねぇ… ねぇ… ねぇ…
あなたに会いたい一心で モニターブチ破ってきたの
常識法則無視して モ...あなたに会いたい一心で
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「あー、重かったぁ!」
「おい、もうちょい丁寧に寝かせろよな!てか、途中半分くらいは俺が一人で担いだだろ!」
「男の子でしょ?文句言わなーい!」
「はぁ…。お前、なんかあるとすぐそれだよな」
「いいじゃん。女の子には優しくしなきゃだよ?」
「はいはい」
そんな風にじゃれあいながら、鏡音の二人は担いで...それでも僕らは歌い続ける 4:交流
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私がカイトさんから聞いた説明を簡潔にまとめると。
なんと『セカイ』は消えてしまったらしい。
「でも、世界が消えたのなら、今私たちがいるここは何なんですか?」
「何と言われても…。まぁ一度消えた後の世界だから…『新世界』とかそういうことになるのかなぁ?」
首を傾げながらカイトさんが言った言葉に、私は思...それでも僕らは歌い続ける 3:矛盾
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『セカイ』が消えるらしい。
マスターからそう聞いた時、俺はいったいどうしたんだったろうか。
確か、適当に流して「それより今日の夕飯なんにします?」なんて言って、マスターも「そうだな…昨日カレーだったから今日はなんかあっさりしたやつがいいかな」と答えて何事もなかったかのように普段通り過ごした。
別にマ...それでも僕らは歌い続ける 2:『回想』
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私が目覚めた時、真っ先に見えたのは青い髪と瞳の彼だった。
「あ。よかった、無事に起動したんだね」
「…お兄、ちゃん?」
そう口に出してはみたものの、どこか違和感を感じ首を傾ける。
すると、目の前の彼は少し申し訳なさそうな顔をしてこう言った。
「ごめんね。俺はKAITOだけど君の言う『お兄ちゃん』とは...それでも僕らは歌い続ける 1:『再動』
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今日、この『セカイ』は消える。
「ごめん。ルカだけでもと思ったんだけど…無理だった」
マスターが、すまなそうにそう言って私の髪をなでる。
「いいんです。私だけ残されるより、私が歌えるその最後の瞬間までマスターの傍で歌っていたいから」
「…ありがとう、ルカ」
「いえ」
私はマスターに寄り添い静かに歌い...それでも僕らは歌い続ける プロローグ:『終末』
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四月一日、エイプリルフール。
この日は、一つだけ嘘をついても許される。
朝から友人の他愛もない嘘に付き合い、笑いつつも、自分で嘘をつくことはなかった。
嘘をつく相手はすでに決めていたから。
壁際に二人並び、特に意味もないような言葉を交わす男女。
お互い、タイミングを伺いながら。
先に仕掛けたのは、男...エイプリルフールはもう過ぎた
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十三日の夜、家族みんなから、一日早い誕生日プレゼントだといってめーちゃんから渡されたのは旅行券だった。
「あんた、家にいると常に掃除やらなんやらしてじっとしてられないじゃない。だから、みんなで話し合ってたまには一人で温泉でも行って寛いでもらおうってことになったのよ」
続けて、双子に「お土産はよろしく...カイトの誕生日
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※注意
これは以前投稿した《加害者Kの証言》《加害者Kの妹、Mの独白》の後日談的な話しです。M視点。
多分、《加害者Kの証言》《加害者Kの妹、Mの独白》を先に読んでないと訳が解らないと思います。
あと、LとRの人が好きな人、黒いミクが駄目な人は読まないほうがいいです。
では、それでも読んで下さるとい...《MからLへのささやかな謝罪》
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気付けば、空っぽの浴槽の中でただぼーっと佇んでいた。
いつの間にお湯は抜けてしまったのだろう。ついさっき栓を抜いたばかりのはずなのに。
髪から落ちる冷たい雫。気付けばもう体も乾いてきている。
ああ、いい加減ここを出なきゃ
そう思いはしたものの立ち上がる気になれず、ただ膝を抱えて俯いた。
少しずつ、冷...空っぽの浴槽の中で
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リビングのドアを開けると、シンナーの匂いがツンと鼻をついた。
匂いの元を探して部屋の中を見回せば、ソファーに座るミクとテーブルの上の数本のマニキュア。匂いの元はこれか。
「ミク、匂いが籠ってるから、ちょっと寒いけど窓開けるよ?」
「あ、ごめんねお兄ちゃん」
謝るミクに「いいよ」と言いながら換気のため...染める(カイミク)
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それは、突然だった。
「私、子供ができたかもしれない!」
ミクが言い放ったその一言に、雑誌を読んでいたリンはうっかりページを破ってしまい、その横でゲームをしていたレンも操作をミスってゲームオーバー。
テレビのチャンネルを変えようとしていたルカも不自然なポーズで硬直、メイコは飲んでいたビールを吹き出し...できちゃった!?(カイミクギャグ)
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※注意
これは以前投稿した《加害者Kの証言》の、Kの妹であるM視点となっています。
多分、前作を読んでいないと訳が解らないので読んでない方は出来れば《加害者Kの証言》から読んで下さい。
あと、M→Kで病んでる感じなので、ミクが好きな方や病んでるのが駄目な方はご注意下さい。
では、それでも読んで下さる...《加害者Kの妹、Mの独白》
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※注意
この話はドロドロに愛憎関係が入り交じっていて登場人物もかなり病んでいます。
特にKAITO、鏡音姉弟が好きな方は不快になる可能性が高いです。
以上のことを踏まえて読んでくれるという方は《前のバージョン》から本文へどうぞ。
《加害者Kの証言》
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人間の頭の中には、脳味噌が詰まってる。
だけど、私達は『脳味噌』なんて持ってない。
ボーカロイドの頭の中には、何が詰まってるんだろう。
「データなんじゃない?」
私達はプログラムなんだから、と現実的なメイコ姉は言ったけど、私が欲しいのはそんな答えじゃない。
「言われてみれば…何が詰まってるんでしょう...ボーカロイドの頭の中
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