タグ「ロミオとシンデレラ」のついた投稿作品一覧(274)
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何とか電車には間に合い、遅刻もせずに済んだ。ああ良かったと思いながら教室に入る。……あ。
巡音さん、今日は来ているんだ。自分の席で、今日も本を読んでいる。もう大丈夫なんだろうか。
「おはよう、巡音さん」
声をかけると、向こうは驚いた表情でこっちを見た。弾みでぱたんと本が机の上に落ちる。……ガル...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十二話【雪の中で咲こうとする花】
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お母さんはまだ心配そうだったけれど、わたしはもう大丈夫と何度も言って、この日は学校に行った。
学校に着いて教室に入ると、わたしはいつものように持ってきた本を広げた。そう言えば、この本は何だったっけ……。思わず本の表紙を確認してしまう。ガルシンの短編集だった。……なんでこんな本、持って来ちゃったん...ロミオとシンデレラ 第十五話【その耳に届くただ一つの調べがあれば】
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「……何だこりゃ」
俺は思わず呟いていた。目の前にあるのは、巨大な茨の藪。そして、道はその茨の中に消えている。
「この先に行けってか?」
目の前の茨には、鋭い棘がびっしり生えている。こんなのに触ったら手がズタズタになりそうだ……そう思いながらも、俺は手で茨に触れてみた。……あれ。
茨はあっさり...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十一話【目覚める必要】
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夢の中で、わたしはタイスになっていた。場所はタイスの部屋。中央に大きなベッドが置いてあって、わたしはそこに座っている。
どうしてわたしは、ここにいるのだろう? 考えてもわからない。わたしは立ち上がって、部屋の中を歩き回った。がらんとしていて、ほとんど何もない。壁際に、大きな鏡がかかっているぐらい...ロミオとシンデレラ 第十四話【鏡よ、答えて】
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの継母である、カエ(オリジナルキャラ)の視点で、第十一話【冷たくもなく、熱くもない】のサイドエピソードとなっています。
したがって、『ロミオとシンデレラ』を第十一話まで読み進めてから、読むことを推奨します。
【母の苦悩】
月曜...ロミオとシンデレラ 外伝その六【母の苦悩】
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火曜日。めまいは治まったので、学校に行こうとしたのだけれど、お母さんに止められてしまった。
「昨日倒れたのよ。リン、大事を取って今日も休みなさい」
「……もう平気よ」
「いいから、今日は家にいなさい。学校には連絡しておくから」
結局、わたしは休むことになってしまった。何だかちょっと後ろめたい。朝...ロミオとシンデレラ 第十三話【わたしの魂は空虚で】
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注意書き
これは、拙作「ロミオとシンデレラ」の外伝です。
オープニングはミクが高一の時で、そこから子供のころを回想するストーリーとなっています。
【ミクの思い出】
日曜日。わたしは、ふと思い立って、部屋の片づけをすることにした。わたしの家では定期的にお手伝いさんが掃除をしてくれるのだけれど...ロミオとシンデレラ 外伝その五【ミクの思い出】
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
クオとミクが中学三年の時のエピソードで、クオがミクの家に預けられたばかりの頃を書いています。
【クオの決意】
「クオはどこを受験するんだ?」
俺が伯父さんの家に預けられて数日後、伯父さんは俺にそんなことを訊いてきた。
「実はちょっと...ロミオとシンデレラ 外伝その四【クオの決意】
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月曜日、登校してきたわたしは、リンちゃんの席が空なのに気がついた。……いつも、わたしより早く来るのになあ。お手洗いにでも行っているのかな。
自分の席に座って、わたしはぼんやりしていた。普段はリンちゃんとお喋りしている時間。ちょっと手もちぶさた。
結局、始業のベルが鳴る時間になっても、リンちゃん...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十話【ミクの苛立ち】
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その日の昼、ミクからメールの着信があった。見ると、「今日のお昼、一緒に食べない?」と書かれている。ミクからお昼のお誘いか……。
ミクは大体いつも、昼飯は巡音さんと一緒に自分の教室で食べている。故に、俺に声がかかったということは、向こうに何か用事が入ったんだろう。……俺っていざという時のためのキー...ロミオとシンデレラ 第十二話【クオの当惑】
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月曜の朝、登校してきた俺は、学校の校門のところに、見覚えのある車が止まっているのに気づいた。あれは巡音さんのところのだ。
見ていると、運転手さんが車から降りて後部座席のドアを開けた。車の中から巡音さんが出てくる。運転手さんは一礼して車に戻り、そのまま発進して行った。巡音さんは、校舎に向けて歩き出...アナザー:ロミオとシンデレラ 第九話【凍るか、燃え上がるか】
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結局、日曜日は一日ぼんやりとして過ごしてしまった。そして、次の日。月曜になっても、気分は晴れない。
「リン、ちゃんと食べないと駄目よ。昨日もろくに食べてないでしょう?」
お母さんにそう言われたけれど、わたしは食が進まなかった。お父さんがいないのをいいことに、わたしは朝食を半分以上残して、席を立っ...ロミオとシンデレラ 第十一話【冷たくもなく、熱くもない】
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
外伝その二『ママ、かえってきて』から、三年後のハクを書いたもので、こちらもハク視点となっています。
三年生になったので、少し漢字が増えました。
【やさしいうそと、むごいうそ】
あたしたちの、新しいママだという、カエさんという人が来て...ロミオとシンデレラ 外伝その三【やさしいうそと、むごいうそ】
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日曜日がやって来た。今日は外出の予定はない。家で本でも読むか、オペラのDVDでも見てようかな……そんなことを考えながら、わたしは階下に降りて行こうとして、凍りついた。食堂から、お父さんとお母さんの話し声が聞こえてくる。ううん、これは、話しているんじゃない。
……喧嘩、しているんだ。
「朝からそん...ロミオとシンデレラ 第十話【嵐】
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その次の日の昼休み。俺は購買部でサンドイッチとおにぎりを買うと、校庭でそれを食べながら音楽を聞いていた。ちなみに今日も聞いているのは『RENT』のサントラだったりする。何度聞いても『RENT』の曲はいい。
食べ終わった後も、俺はずっと『RENT』を聞いていた。……あれ、誰か来たぞ。
顔を上げる...アナザー:ロミオとシンデレラ 第八話【芸術家の暮らし】
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帰宅すると、家庭教師の先生はもう来ていた。制服を脱いで私服に着替え、勉強道具を持って学習室に移動する。
学習室はそこそこの広さがある。何年か前までは、姉妹三人でここで揃って勉強していた。今は、ここで勉強するのはわたし一人だけ。ルカ姉さんはもう社会人だし、ハク姉さんは部屋から出てこない。
……だ...ロミオとシンデレラ 第九話【ロウソクに火をください】
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わたしは現在、クオと喫茶店で作戦会議の真っ最中。作戦というのは当然、リンちゃんと鏡音君の仲を親密なものにするためのものだ。
同じクラスとはいえ、基本的に二人は全くといっていいほど話す機会がない。というより、リンちゃんはわたし以外と喋ることがほとんどないのよね。だから何としてでも、二人っきりにして...アナザー:ロミオとシンデレラ 第七話【作戦会議中のミク】
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俺は、喫茶店でミクと向かい合っていた。言わずもがな、ミクに「作戦会議よ!」と引っ張り出されたわけなんだが。というか、何で喫茶店なんだ?
ちなみに、作戦というのは言わずもがな、この前失敗した「レンと巡音さんをくっつけよう作戦」のことである。理由はさっぱりわからないが、ミクは未だに燃えているのだ。
...ロミオとシンデレラ 第八話【作戦会議中のクオ】
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クオの家で映画を見てから、数日が経過したある日。俺は学校の図書室で『RENT』のサントラを聞きながら、歌詞をチェックしていた。この前見た舞台は字幕がいいかげんで、話の意味を取りづらかったんだよな。そんなわけでネット通販でサントラを購入したんだが、歌詞カードがついていなかった。幸い、歌詞を全部載せて...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第六話【檻の虎に太陽を見せて】
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登校して、ミクちゃんとお喋りして、授業を受ける。授業が終わったら、部活のある日は部活動。それが無い場合、大抵は真っ直ぐ家に帰る。帰宅後は家庭教師の先生について勉強。それが、わたしの日常。何事もなく、日は過ぎていく。
そんな、ある日の放課後。授業が終わって帰り支度をしていると、携帯にメールが届いた...ロミオとシンデレラ 第七話【わたしが街を歩くと】
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの次姉、ハクの視点で、彼女の実母が出て行く前~出て行った後のエピソードです。
年齢を考えてひらがなばかりにしたので、読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。
【ママ、かえってきて】
さいきん、ママがなにかおかしい。ぜんぜん...ロミオとシンデレラ 外伝その二【ママ、かえってきて】
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの長姉、ルカ視点の短編で、彼女がまだ子供の時の話です。
ちなみに……ルカが相当アレですので、そういうのでも構わない、という方だけ読んでください。
【わたしはいい子】
ある日のことだった。わたしがお部屋でお勉強をしていると、パパが...ロミオとシンデレラ 外伝その一【わたしはいい子】
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その日の夜、俺は晩飯の後で、姉貴に訊いてみた。
「今日、クオから映画のDVD借りてきたんだけど、姉貴も見る?」
「何借りたの?」
「『ブレインデッド』ゾンビ映画。ピーター・ジャクソン監督」
ちなみに、姉貴は変な映画が結構好きだったりする。弟の俺でも、姉貴の映画の趣味をはっきりとは把握していない。...アナザー:ロミオとシンデレラ 第五話【ブレインデッド】
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わたしが立てた作戦は完璧だった。まず、わたしがリンちゃんを「映画でも見ない?」と言って家に呼ぶ。そして同じ日に、クオがやっぱり映画を口実にして、鏡音君を連れてくる。後はわたしとクオが喧嘩をする振りをして、二人だけ部屋に残して出て行ってしまうのだ。これで、リンちゃんと鏡音君が部屋の中で二人っきり、と...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第四話【ミクの不満】
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「いやああああっ!」
びっくりしてそっちを見る。初音さんが悲鳴をあげていた。あれれ。巡音さんも画面を見るどころじゃなく、初音さんを見ている。
こんな反応するってことは、初音さんってホラーが全くダメなタイプ? クオ、お前、何考えてんだ。俺と巡音さんはどっちも唖然として、悲鳴をあげる初音さんを見てい...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三話【何故ならそれこそが恐怖だから】後編
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土曜日の夕方。俺が自分の部屋で課題を片付けていると、携帯が鳴った。かけてきたのは……クオか。
「もしもし」
「よう」
「どうした?」
「ああ……えっと、お前、明日暇か?」
なんか歯切れ悪いな。いつもならもっと立て板に水みたいに話すのに。
「暇だよ。晩飯作らないといけないから、それまでだけど」
...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三話【何故ならそれこそが恐怖だから】前編
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その日の朝、登校したわたしの目に入ったのは、信じられないような光景だった。何かって? リンちゃんが、同じクラスの鏡音君と話をしていたのっ! これが驚かずにいられますか!
……と言うと、大抵の人は「それのどこが信じられないわけ? 同じクラスなんだから話ぐらいするでしょ?」って思うかもしれない。けれ...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二話【ミクの興奮】
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注意書き
この作品は、doriko様の「ロミオとシンデレラ」を題材に、黒刃愛様が作成したPVにインスピレーションを受けて、私が書いた小説『ロミオとシンデレラ』の、レン視点バージョンです。レン以外に、ミクなどの視点が入ります。
もともとは頭の中を整理するために書いていたのですが、割とまとまって一...アナザー:ロミオとシンデレラ 第一話【大丈夫?】
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あれこれあった上映会から帰ると、玄関の前に見覚えのある高級車が止まっていた。……神威さんが来てるのね。
家の中に入ると、応接室の方からお父さんの機嫌の良さそうな声と、それに相槌を打っている神威さんの声が聞こえてきた。神威さんは、ルカ姉さんの婚約者。お見合いをしたのは二年前。話はあっという間にまと...ロミオとシンデレラ 第六話【ガラスの覆い】
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ミクが立てた「レンと巡音さんをくっつけよう大作戦」というのは、二人を同時にミクの家に呼び出して、話す機会を作ってあげよう、というものだった。
「そんなんでうまく行くのか?」
「絶対うまくいくわよ!」
俺にはちっともうまくいくとは思えないんだが、協力を約束した手前、仕方が無い。
というわけで、俺...ロミオとシンデレラ 第五話【クオの受難】