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58件
今日は建国記念日により、街ではアイス祭りが開催されていた。
でも、そんな日だというのに、兄は部屋から出てこようとしない。
「お兄様、ミントアイスをお持ちしましたわ」
小さな不安を感じた私は、失礼だけれど返事もないのに部屋に入る。
すると、そこにはソファーの上で膝を抱えて暗い表情をしている兄の姿が。
...悪ノ物語 23
君僕
昔々海達には影がありました。
その名前の事を海影と呼びました。
けれど、海の影はいつしかわすれられてゆき
世界で一人だけぽつりと只待っていた
ああ!!
意味もなく叫んでも
誰も気づかない
自分は只一人だけ
ひとりぼっちで‥‥‥
ー間奏ー...海影
ミスティア
彼女に告白してからというものの顔を合わせ辛くなってしまって自己嫌悪。
ああ、もう、こんな状態になるぐらいなら告白なんてしなければよかったなぁ…。
「カイト」
「あ、メイ…ど、どうしたの!?」
いつも明るい笑顔を浮かべるメイコちゃんが、その時に限って怒りに燃えた表情をしていて、まるで戦場に立つ兵士のよ...悪ノ物語 22
君僕
それから度々リンとレンは入れ替わり、リンは城下町へと足を向けるようになった。入れ替わるタイミングは三時。合言葉をリンが言うと、レンはそれに答える。もしもレンの答えが違えば、レンに用事があり二人は入れ替わることが出来ない事を意味する。
「"あら、おやつの時間だわ"」
リンからの合言葉に、レンは了承の答...悪ノ物語 21
君僕
女王陛下としての生活は、息苦しいという言葉だけでは終わらせることなど出来ないものだった。こんな生活を毎日続けていたなんて思うと、リンが表情を出さない理由が分かった気がした。
妹は"人形"になるしかなかったのだ。そうでもしなければ、この生活に耐えられず、自ら死を選んでしまっていたかもしれないから、だか...悪ノ物語 20
君僕
色のついた過去は
振り返らずに
これから色づけてく未来だけ
見据えて歩き続けて!
空が青くなくてもいい
樹が緑じゃなくてもいい
君の思った色でいい
どんな色でもいいんだ
君の色で塗りつぶしてしまえ
ほら 真っ白な世界...無彩キャンパス。
rabbitAlice
レンに頼み、私と彼は入れ替わった。
幸い顔は瓜二つ。入れ替わっても誰も気付かない。問題は、彼の演技力。でも、それも心配はなかった。元々彼はそのために仕込まれていたのか、まるで私のように・・・王座で無表情で座っていた。
フードを被り、城下町を歩き出す。
ふと、目に付いたのは綺麗な花だった。でも、どこか...悪ノ物語 19
君僕
リンを連れて森へ向かう途中に、何者かの襲撃を受け、リンの命が狙われた。
だが、代わりにメイトが命を落としてしまう。リンの目の前で、メイトの胸に矢が突き刺さる。正確なまでに心臓の位置へ突き刺さった矢に驚きながら、すぐ周囲を見回すが、すでに逃げ去った後だった。
倒れて二度と動くことのなくなったメイトの姿...悪ノ物語 18
君僕
今回のターゲットは身内。そして殺してはいけない人物。
でも殺さなければ、リンを守れなくなる。それだけは避けたい。殺した振りをしたい。きっと本人は隠れない。隠し事が嫌いな性格をしているから。
「ごめんね、メイト」
手に入れた情報場所から離れた茂みの中で、弓を構えてターゲットが来るまで待機する。姿が見え...悪ノ物語 17
君僕
ある日、大臣に呼び出された。
何か悪い事でもしたかな。それとも、リンから離されるのではないか。と色々考えながら、大臣の部屋へと足を踏み入れる。
「女王陛下側仕え使用人、鏡音レンです」
「入りたまえ」
いつもいつも思うけど、カムイ大臣って本当に態度が大きい。まるで自分が王様のようだ。リンが女王陛下だと...悪ノ物語 16
君僕
「姉貴!」
「わひゃっ!?」
耳元で、しかも大声で叫ばれて驚く。
てゆーか考え事してる時に驚かさないでよ!
「さっきから呼んでんのに何だよー?」
「ご、ごめん・・・」
「なーんだ、まーだ返事迷ってんの?」
「だって・・・もうこんなチャンスないかもしれないし・・・」
「はーあー」
大きな溜め息を吐く弟...悪ノ物語 15
君僕
最近、メイトの様子がおかしい。
挙動不審・・・とまでは言わないけれど、明らかに以前よりも態度が変だ。何だろう・・・予感がする。何の予感、とは言わないけれど、何かの予感を感じる。
「何かあったの、メイト?」
「なんでだ?」
「だってさ、ずっと僕のこと避けてるじゃないか」
「レンを? 避けてなんかない」...悪ノ物語 14
君僕
いつものように、酒場でブランデーを飲みながら情報収集をしていた。すると突然、酒場のドアが勢いよく開いたと思えば、私の無防備な背中に抱きついてくる男。
「カイト・・・いつまで抱きついてる訳?」
「メイコちゃーん!」
ほんのり頬が赤いカイトが酔っ払っていることが目に見えて分かる。
「メイコちゃーん!聞い...悪ノ物語 13
君僕
綺麗な花が沢山咲いたので、お花屋さんとして花を売っていたら、常連客である青髪の青年に大きな花束をもらって、その上プロポーズまでされてしまった・・・。お互いよく知らない者同士なのに、どうしてあんなに真剣な目で告白できるのかしら。思い出すだけで赤面してしまう・・・!
「ミク~?」
「ミクオ!?」
「顔が...悪ノ物語 12
君僕
部屋に戻ったあと、私は着替えて窓から抜け出した。カーテンを使って庭まで降りて、誰にも見つからないよう静かに行動する。どうやら側仕えの使用人レンの服と間違えて部屋に置かれていた服だったようで、鏡で少年のような格好になった自分を見て、レンのように髪を結んだ。すると、鏡の中にはレンが立っていた。・・・ただ...
悪ノ物語 11
君僕
レンから殴られた後、俺は暗い廊下を歩いて訓練所へと向かっていた。
その間、女王陛下の泣き顔が浮かんでは消え、浮かんでは消え、ずっと繰り返していた。まさかとは思うが、俺・・・女王陛下に惚れちまったのか?、なんて馬鹿げた事を考えていた。
「団長!」
「おっ、どうした?」
「暗殺部隊リーダーのルカ様がお話...悪ノ物語 10
君僕
リンの部屋を綺麗に片付けて・・・といっても、ホコリを払う程度だから、そんなに時間はかからなかった。
今日は、父と母と、僕が・・・死んだ日だ。
家族四人で、旅人を招いた歓迎会をしていた。楽しい歓迎会の途中、リンの姿が見えなくなって、不安になって探しに行った。裏庭で泣いているリンを見つけて戻ってくると、...悪ノ物語 09
君僕
由々しき事態だと、年老いた大臣達が口々に叫んでいる。
どうせ私には関係ない。また勝手に、カムイ大臣が決めて、それで会議は終わるのだから。早く終わってほしい。特に今日とゆう日が。
「静粛に願います、皆様!」
カムイ大臣が叫ぶだけで、みな口を閉じる。
ここはまるでカムイ大臣のお城みたい。
私という人形は...悪ノ物語 08
君僕
黒い布で顔を隠し、暗闇の中で生きる。それが今の生活。
若い頃は他国で暗殺部隊に入っていた。しかし暗殺を繰り返すのが嫌になり、部隊を抜けて、この国へ旅人としてやってきた。様々な知識がある私を、前国王陛下は王女であるリンの家庭教師へと迎え入れてくれた。それなのに、前国王陛下と前女王陛下は亡くなり、リンは...悪ノ物語 07
君僕
3人は町に着くと、メイトの家へと向かった。正確にいうと、メイトの妹であるメイコの家へ向かった。
「メイコ」
「あら、メイト」
声をかけると振り向いた彼女は、とても美人だった。
「まーた胸でっかくなったか?」
「あんたはデリカシーがなくなったわね」
二人のやりとりを見ていた、黄髪の二人の少年少女に気付...悪ノ物語 06
君僕
リンの身なりをメイドが整えていると、カムイがノックと共に部屋に入る。しかし、着替えを手伝うメイドも、廊下に立つ兵士も、特に注意をしない。まるで見ていないかのようだ。
「リン女王陛下、本日は城下町へ偵察に行く初めての日でございます」
「・・・」
「いつものドレスでは目立ちますので」
カムイがドレスの代...悪ノ物語 05
君僕
桜色の髪を隠すように、いつもの黒装束についているフードを被る。
「女王陛下」
「・・・」
「これはこれは、暗殺部隊リーダーのルカ殿」
「・・・カムイ大臣殿、お久しぶりです」
頭を下げて挨拶をすると、彼はニッコリと微笑む。その妖しい微笑みの裏では、何を考えているのか分からない。私はそれが恐ろしい。
「...悪ノ物語 04
君僕
新人兵士の訓練をしていると、女王陛下の守備兵が息を切らして、訓練所のドアを乱暴に開ける。
「おいっ!訓練中だぞっ!!」
訓練中の俺は気が荒くなることを、部下の兵士はよく理解してる。それを承知の上での開け方だと思い、怒声を浴びせた。
「団長、女王陛下が、毒を・・・!」
「毒ぐらいでガタガタ抜かすな!!...悪ノ物語 03
君僕
私の前に跪き、何かを話す紫髪の大臣。
でも私の耳に声が聞こえ、話の内容を理解していても、私の発言は許されない。だって私は只の責任者。『国』の責任を取るだけの、一つの人形。私は、国のためだけに生き、国のためだけに死ぬ。それが、私の人生。
「・・・こちらが、今年の予算案ですが・・・」
そう言いながらも、...悪ノ物語 02
君僕
「お初にお目にかかります、女王様」
「・・・」
「今日より、お傍で仕えさせていただきます、レンと申します」
「・・・」
「あの、女王様?」
「・・・」
返事をしない女王様。
薄いカーテンの向こう側にいるために、顔の見えない女王様。
それでも知っている。女王様の顔。
小さい頃に覚えている、僕の妹リン。...悪ノ物語 01
君僕
「おろかな」
まだ暗いわ もうやめたの
よしてよおよし 私は違う
「お前を想ふ」 貴方は愚かね
私飛んでしまうわ
高笑い聞こえる 窓際ロマンス
私知ってる 「この世の終焉」
教えてあげる 貴方にだけは
取ってきてよ コスモス「2」本
これでおあいこ 海は見えない...「庭園コスモス」 2:おろかな
CiderPop
1「のぞみは」
見つめてた あの日のこと
真っ白な部屋 ピンクのコスモス
後悔はもう、 やめたはずなのに
教えてロザンヌ 海は見えたはずなの
君に会えた ホットケーキ
焼いたのは 私の友達
空の下 手を出して
望めば降るかな 夢を待っている...「庭園コスモス」 1:のぞみは
CiderPop
いたずら彼女と白い箱
猫が飛び込み消えていった
ほほえみ彼女の白い指
箱の底へと手を伸ばす
いつしかそこは海の底
七色の嘘と流星群
それでも彼女は夢の中
箱の果てへ泳いでいった
まっしろな真珠は月が食べてしまったから
そこにあるのは なあに?...彼女と白い箱
i ri
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