タグ「KAITO」のついた投稿作品一覧(66)
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第十一章 リグレットメッセージ パート1
リン女王の処刑が終わると、群衆は興奮の中で大喝采の声を上げ始めた。悪ノ娘は滅びた。悪ノ娘に対する鬱憤を発散させた民衆達は、次々とカイト王とメイコを称える声を上げ始めたのである。その声に応える様に立ち上がったカイト王は右手を大きく掲げた。その仕草に、群衆達が...ハルジオン64 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート10
カイト皇帝。
近い将来にそう呼ばれることになるカイト王の功績を、後の歴史学者達は歴史上初めてのミルドガルド大陸の統一を成し遂げた人物として好意的に評価する傾向があった。だが、その為に流れた血の多さを歴史学者達はどうしても軽視する傾向にある。その最後の血を求めてカ...ハルジオン62 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート8
初めに意識を取り戻したのはアレクだった。自らがまだ生きていることに不信感を覚えながら立ち上がったアレクは、近い距離で気を失っているメイコに駆け寄るとすぐにメイコを抱き起こし、少し焦る様な声でメイコに向かってこう声をかけた。
「メイコ隊長。」
まさか、もうこと切れ...ハルジオン60 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート4
カルロビッツの戦い。
ミルドガルド中世史における最大規模の戦いの一つと呼ばれることになったその戦いは、ミルドガルド中世史における最後の覇権戦争であったと後の世に評価されることが多い。その戦いの火ぶたがが開かれる直前、ロックバード伯爵はガクポと共に最後の軍議を行うこ...ハルジオン56 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート3
魔術の気配がするわ。
十名ほどの兵士達と共にメイコの自宅を取り囲んだルカは、自宅に向けて声をかけた直後に魔術の波動を感じ、喉が枯れるような感覚に陥った。そのまま、右手を扉に向けて翳す。この気配はワープの魔術の波動であるはず。だとすれば、この場所にはもう人間は存在し...ハルジオン55 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート1
「グミ殿から報告です。『反乱の準備は全て整った。』とのことです。」
シューマッハ将軍がカイト王にその報告をもたらしたのは秋も深まる十一月に入ってからのことであった。割合北方に位置する青の国の王宮周辺では北風が吹き荒れ、後は初雪がいつになるか、というタイミングを待つ...ハルジオン53 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第九章 陰謀 パート2
「よく来てくれた、グミ殿。」
グミがアクに案内されてカイト王の執務室へと入室したとき、カイト王はグミに向かってそう告げた。普段通り、優しげな微笑を保ったままである。そのカイト王に敬礼を行いながら、グミは室内をざっと観察した。相変わらず殺風景な室内にいる人物はカイト王の他に...ハルジオン46 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第九章 陰謀 パート1
カイト王の野望は一体何だったのか。後の歴史学者の必須のテーマとして残されたその疑問に対しての返答は大きく分けて二つ上げることが出来るだろう。一つは政治的な要素、即ちミルドガルド大陸の統一、もう一つは一人の人間としての要素、それがミク女王との婚姻である。しかしこの段階でミク女...ハルジオン45 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第八章 残された者達 パート2
この時代、最も時代を動かした人物は誰か。
後の歴史学者はその様な問いをすることがある。最も一般的に、青の国のカイト王という返答を用意する学者が多い中で、一部の学者は強い調子でこう評価する傾向があった。即ち、歴史の早い段階でその役目を終えたはずのミク女王こそが最もこ...ハルジオン41 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第七章 戦争 パート11
ネル率いる緑の国最精鋭部隊である緑騎士団が全滅の憂き目にあった頃、距離にして数百キロ北方に位置する青の国の王宮から、カイト王自らが率いる緑の国の救援軍が総勢二万の兵士を連れての進軍を開始していた。青の国から緑の国へと移動するには、ただひたすら南へと延びるリンツ街道を...ハルジオン35 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第七章 戦争 パート8
ロックバード伯爵が緑の国の王宮への進軍行程を決議したころ、緑の国から遥か北方、青の国の王宮に到達した一人の女性が存在した。緑の国の魔術師かつ参謀であるグミである。グミは緑の国の王宮から正に飛ぶように駆け続け、そしてたった五日で数百キロの行程を制覇したのである。その為に活用...ハルジオン32 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第七章 戦争 パート7
緑の国の軍勢がミルドガルド山地から撤退したのはそれから三十分程経過した後の事であった。乱戦不利とみたネルが早々に軍を引いたのである。敵将ながら天晴と感じたのはおそらくメイコだけではなかったであろう。引き際のタイミングも撤退方法も完璧と表現するべきものであり、赤騎士団を始め...ハルジオン30 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第七章 戦争 パート5
黄の国の軍勢が来襲。
その報告が緑の国のミク女王に届けられたのはそれから三日後のことであった。私室でいつもの様にハクが淹れた紅茶を嗜んでいたミク女王は、ミク女王直属の親衛隊であるウェッジからもたらされた報告に思わずティーカップを手から滑り落とし、床に落下した白磁のそれ...ハルジオン28 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第七章 戦争 パート4
「内務大臣が来たの?」
リンがアキテーヌ伯爵の来訪を女官から告げられた時、リンは自身の私室で普段と同じように城下町の様子を眺めている時分のことであった。急用だと言っている様子だが、一体何事だろうか。煩わしい、とリンは考えたが、内務大臣の直々の来訪を蔑ろにする訳にもいかない...ハルジオン27 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第七章 戦争 パート2
どれくらいの時間が過ぎたのだろう。時間の感覚は既にリンの身体から失われていた。どうやら今あたしは黄の国の王宮、自分の私室の寝台に横たわっているらしいという認識だけはあったが、一体パール湖からどのようにしてここまで帰還したのか、皆目見当がつかない。あの時パール湖湖畔で最後に許...ハルジオン25 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第六章 遊覧会 パート7
細波の声と、木々を揺らす風の音だけが耳を打つ。周囲に人はいない。いるのは一人、カイト王だけであった。闇夜の為に湖畔を見通すことは出来なかったが、湖に映る月明かりを見ながら暫くの間カイト王は余った時間を過ごすことにしたのである。そろそろ、ミク女王が来てもおかしくない時間では...ハルジオン23 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第六章 遊覧会 パート6
その後晩餐会はつつがなく進行した。ミク女王も単なる一時的な離席だったらしく、騒ぎが起こってから数十分後には再びその姿を晩餐会会場へと現しており、僅かに不安を感じていた一同を大いに安堵させた。一体何をしていたのかをミクは一切話さなかったが、その件に関しては大した話題にもなら...ハルジオン22 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第六章 遊覧会 パート6
「アク殿、どちらまで向かわれる。」
リン達と離れ、一番巨大な王族専用の別荘から抜け出したガクポは、前をひたすらに歩むアクの背中に向けてそう声をかけた。近場で会話をするのかと考えていたが、アクは湖の湖畔までひたすらに歩くと、そこで方角を変えて湖畔に沿って歩き出したのである...ハルジオン21 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第六章 遊覧会 パート5
翌日、午前中の時間を使ってリン女王以下の黄の国の一行はオデッサ街道の支線であるパール湖街道を行進することになった。風光明媚なパール湖に到達する為に緑の国がパール湖周辺を覆う森を切り開いて造った街道であるから、その周りは深い森に覆われている。さんさんとその枝葉を伸ばす木々の...ハルジオン⑳ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第四章 青の国 パート2
さて、どんな動きを見せてくれるのか。
丘陵の上に到達したカイトは、部下が用意した折りたたみ式の椅子に腰かけると、眼下に広がる自らの軍勢を眺めながらその様な思考を巡らせた。隣にはルカがカイトに同じように用意された椅子に腰を落としている。ルカが着用している黒一色の外套を目の...ハルジオン⑫ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第四章 青の国 パート1
ミク女王の失踪事件が解決した翌日、緑の国の遥か北方、ミルドガルド大陸東部に位置する青の国の王宮では国王であるカイト王が一人の客人を迎え入れているところであった。客人の名はルカ。黄の国を飛び出して一直線に青の国の王宮へと向かったルカがようやく目的の場所へと到達したのである。...ハルジオン⑪ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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ハルジオン③ 【小説版悪ノ娘・白ノ娘】
第一章 黄の国の暴君 パート2
剣の訓練を終えたレンは汗に汚れた訓練着を脱ぐと、普段召使として使用している、少年の身には少し威厳がありすぎる執事服に着替えを済ませた。そして、時刻を見る。
「もうこんな時間だ。」
時計の針は午後二時半。そろそろリン女王のお...ハルジオン③ 【小説版悪ノ娘・白ノ娘】
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エピローグ
「失礼します。」
扉をノックして国王と妃の前に姿を現したルカは、小ぶりのベットに寝かされている、昨晩生まれたばかりの双子の姿を見て僅かに瞳を落とした。
「待っていたぞ、ルカ。今丁度ルカの話をしていたところだ。この子達の名前はもう考えてくれたか?」
国王がそう言ってルカを手招きした...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) 28【最終話】
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第十三章 悪ノ娘 パート2
「まもなくカイト王がご到着されます。」
間もなく正午になるというころ、グミはメイコに向かってそう告げた。
「分かりました。では、お出迎えに向かいましょう。」
メイコはそう言うと、グミを連れて王宮の正門へと向かうことにした。
今日、リン女王が処刑される。
王宮の...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) 27
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第十三章 悪ノ娘 パート1
「メイコ様、リン女王を捕えました!」
興奮した様子の兵士がメイコの元にその様な報告を告げたのは午後も三時を回ったころであった。
「わかった。身柄はどこだ?」
「リン女王の私室にて拘束しております。」
「すぐに行く。」
メイコはそう言うと、グミを促して王宮の階段...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) 26
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第十一章 反乱 パート1
「メイコはまだ見つからないの?」
僅かに口調を強くしたルカがガクポにそう告げたのは、メイコを見失ってから二日後の日中であった。
「はい。残っている兵力の半分を投入しての捜索を続けておりますが、未だ・・。」
微かな疲労を見せたガクポは力なくそう言った。
まずいわ。
...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) 23
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第九章 進軍
グミとメイコの密談から二週間ほど経ったある日、青の国の王宮で必死に彼の呪いを解く方法を探し求めていたルカは、青の国の王宮が妙に慌ただしいことに気が付いた。
一体何事だろう。
そう考えたルカは、私室から身を乗り出すと、ルカの目の前を大急ぎという様子で歩いていた一人の兵士を呼びとめて...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) ⑳
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第八章 決意 パート2
「あんた、また来たのか。」
レンが略奪を行ってから数日後のことになる。メイコが行きつけとなっている酒屋に顔を出すと、酒屋の主人は呆れたようにメイコに向かってそう言った。除隊してからというもの毎日のように訪れていたものだから、いい加減顔を覚えられたらしい。僅かに苦笑しながら...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) ⑲
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第七章 赤い騎士の除隊
間に合ってくれ。
カイトは祈るような気持ちで、ただひたすらに緑の国に向かって進軍を続けていた。グミが急報を告げてから三日が過ぎている。カイト率いる青の国の精鋭部隊は、強行軍の甲斐あって僅か三日で国境付近の砦まで到達していたのである。
明日にも緑の国に侵入できる。そうすれ...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) ⑰
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第六章 消失 パート4
「かなりの被害が出たようだな。」
夜襲を受けた翌日、苦虫を噛み潰したような表情でロックバード伯爵はメイコに向かってそう言った。被害報告は黄の国の死者が二千名に対して、緑の国の死者は数十名に過ぎない。
完敗と言っていい被害であった。
「本日中に敵軍を打ち破る必要がありま...悪ノ娘 小説版 (VOCALOID楽曲二次創作) ⑭