タグ「初音ミク」のついた投稿作品一覧(104)
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題: 夕凪コトノハ
A
往く果てのない旅路を
すっ、となぞってみたら
美しい言葉の群れ
ふっと 溢れだす
B
優しい歌が 恋の意味を
教えるように
悲しい歌が ひとの夢を...夕凪コトノハ
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頑張ってる人にこれ以上
がんばれなんて言うなというけど
少ない語彙でも それでも
応援してるってこと
伝えたいんだ
「応援してる」は どぎつすぎるし
「適度に」なんて 言えそうにない
「気楽にね」なんて甘くもないし
「大丈夫」なんて上から目線
頑張ってるからこれ以上...【歌詞】がんばって!
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10.ミク/ミクオ/未来
抱き合った私たちの体を、強烈な浄化の炎が焼く。
しっかりと互いを掴んでいたはずなのに、光が私とミクオを確実に掴んで引きはがす。
昨今の修復プログラムは優秀だった。
彼の感触がだんだんと儚くなり、光の向こうに粒となって消えていく。
「……来たね」
ミクオが、私の頭上...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』10.ミク/ミクオ/未来
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9.ミク
ごめん、と彼は言った。いいの、と私は首を振った。
そして、彼は静かに口を開いた。
「もう、わかっていると思うけど……ごめんね。僕は、君の主人を呪うためにこの世界に来た」
私は、静かに微笑んで首を振る。
「うん。……知っていたよ。最初から」
それでも、ミクオは私を好きになってくれ...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』9.ミク
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8.ミクオ
今日、久しぶりにミクの主人からお呼びがかかった。
僕は、ディスプレイ、と呼ばれた『板の向こう側』の人間の世界を睨んだ。
そして、ミクに、ある提案をした。
「今度、ミクの主人に呼ばれたら、僕が歌うよ」
ミクは、案の定思い切り反対した。
「やめたほうがいいよ! 歌が、嫌いになるよ...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』8.ミクオ
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7.ミク
『虫』だと言った彼に、私も言った。
「私も、『虫』なのよ」
驚く彼に、私は微笑む。
「機械の……いわゆる神経のような、行動を決める部分の不具合の事を、虫(バグ)っていうの。……だって、いないよね。マスターのために歌いたくないボカロなんて」
彼は、ふっと悩む表情をし、そして答えを返す。...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』7.ミク
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6.ミクオ
背中を合わせて僕らは座る。
先ほどまで正面で抱き合っていたのにおかしな話だが、なぜか目を合わせられない。それでもミクに触れたいと思っていると、ミクがそう提案してきた。
「こうして座れば……あったかいよ」
たしかに、温かい。背の一面にミクの温かい気配を感じる。じわりとしたぬくもりとと...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』6.ミクオ
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5.ミク/ミクオ
「歌うのが苦しいなら、歌わなければいい」
その言葉に、私はすがりついた。
『ボーカロイド』は孤独だ。たったひとりでマスターの心を受け止め続ける機械だ。
「私……私、歌いたくないよ……! 泣きたくない! もう苦しみたくない! ……もう、痛いのは嫌だ……!」
叩きつけた私の言葉...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』5.ミク/ミクオ
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4.ミク/ミクオ
「……何!」
泣き叫び、引き裂かれながら歌っていた私の目の前に、突然光が現れた。
人に掴めるはずのない私の神経が『掴まれた』。
「……!」
掴まれた手をとっさに引いてしまう。すると、光の中から伸びた手が私の方へと引き出されて近づいた。
「……人の手って、なんてモノをつかみやす...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』4.ミク/ミクオ
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3.ミクオ
主人の呪術の腕前は確かだったようで、僕は時を超えることに成功した。
最初に飛び込んできたのは、美しい北斗七星だった。それは僕の主人のいた時代と変わらず白く輝いていた。
次に地上に目を移して驚いた。空の星よりもおびただしい数の光があふれていたのだ。
「なんだ……これは!」
一瞬、天...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』 3.ミクオ
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2.ミク
私は今日も泣いていた。泣きながら、歌っていた。
そうしろと、命令されるのだから仕方がない。私は『ボーカロイド』なのだ。
「ふう……」
私のマスターになった人は、私を頻繁に立ち上げる。そして、この世のものとも思えないような暗く苦しく辛い歌を、耳が引きちぎられるような悲しい旋律で歌わ...短編】ミクオ/ミクの『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』 2.ミク
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……君は僕/私にとって唯一つの光……
1. ミクオ
「呪われてあれ! 」
これが、僕が生まれて初めて聞いた言葉だ。
生まれた、といっても普通の意味で生まれたというわけではない。『意識が発生したとき』とでもいうべきだろう。
それまでの僕も、生きてはいた。それなりに一生懸命だったと思う。たぶん何...【短編】『ヒカリ』で二次小説! 『君は僕/私にとって唯一つの光』 1.ミクオ
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【歌詞】桜色スナフキン
花の舞い散る 春の丘で
あなたの夢を 見つけました
そっと両手で 掬(すく)ってみたら
ふわりと空気に とけました
淡く染まった 花の中に
そっと残った 雪の香り
頬に両手を 当ててみたら
あなたのぬくもり 辿(たど)るように
優しい笑顔に なれるでしょうか?...【歌詞】桜色スナフキン
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66.ゆすらうめの花 ~白ノ娘、ハクの最終回~
初夏。緑の国が一年で一番輝く季節。
ハクは、緑の王都の港に近い、海の見える丘の上にいた。
「ミクさま。ネルちゃん。……来たよ」
ミクの墓に植えられた木は、美しい若葉を輝かせており、その下に寄り添うネルの墓には、ゆすらうめの樹が植えられていた。ユス...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 66.ゆすらうめの花 ~白ノ娘、ハクの最終回~
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65.再び、海辺の町にて ~リン~
* *
少しだけブリオッシュが上手く焼けるようになったころ、ハクは、リンをもとの緑の王都の酒場まで送ってくれた。
酒場の夫婦は心配のあまり、帰ってきたリンを怒りまくり、そして、玄関の扉を開けて抱きしめてくれた。
「君は王女、僕...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 65.再び、海辺の町にて ~リン~
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64.リグレット・メッセージ
「レン……!」
暁色の髪の青年が、飛びこんできた彼女を、立ち上がってしっかりと抱きとめた。
青年の腕の中で、リンの息を吸い込む音が、浜辺いっぱいに響いた。
「……背、伸びたね」
「うん」
「……声、変わったね」
「うん」
「ねぇ、レン」
「うん?」...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 64.リグレット・メッセージ
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63.輝きを留める者
おだやかな波が、朝の浜辺を寄せては返していく。同じ動きをくりかえしてはいるが、同じ波は二度とは来ない。
「……前は、蹴られたのに」
「今は、そんなことしないよ」
男が、手に握った短剣の柄を向けて、ハクにそれを返す。光の中で見ると刃は少し欠けていた。ハクの命を、暴徒から救っ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 63.輝きを留める者
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62.暁
刃を前に、リンの唇がつぶやいた。
「ただの娘として生きてしまって、ごめんなさい。わたしは、悪ノ娘なのに」
……わたしに斬られたホルストやシャグナは、痛かっただろうか。刃を向けられたメイコは、怖かっただろうか。そして、死に追いやったミクやレンは、苦しかっただろうか。
ハクの刃の狙いが、わ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 62.暁
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61.白ノ娘、悪ノ娘
星明りを頼りに、ハクはリンを散々探した。
そしてついに、まだ夜の明けきらぬ青い闇の中で、ハクは浜辺にたたずむリンを発見した。
「リン……! やっと見つけた……!」
一瞬子供たちに囲まれて笑顔をみせるリンが脳裏をよぎったが、腹の底から燃え上がる恨みと怒りの炎がそれを吹き消...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 61.白ノ娘、悪ノ娘
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60.真実と葛藤とミクの短剣
ハクは走っていた。真っ暗な夜道の石畳を、リンを追って走っていた。
戸口から駆け去る際にちらりと見えたリンの向かった先は、海の方角である。
「あの娘、あの娘、あの娘……! 」
ハクの奥歯が、ぎりりと噛みしめられる。
「あの娘、本当に、『女王リン』だ……!」
ハクの...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 60.真実と葛藤とミクの短剣
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59.巡り音の青年
ハクー、出発するよー、と、外から叫ぶリュイの声がする。
ハクは教会の脇の宿坊の、二階にある自室で、町にとまるための荷物をまとめていた。
替えの服と日用品の準備はとっくに終わっているのだが、ハクの手はあるものの前で荷物に加えるか否かを迷っている。
それは、五年前、ミクがハク...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 59.巡り音の青年
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58.ヨワネの今、ハクの今
ハクの心配に反して、リンと名乗った少女はすんなりと子供たちの輪になじんだ。
「リン! これ、あたしの刺繍だよ! きれいでしょう!」
「あー! リュイはすぐ得意な柄ばっかり見せるんだから! ハクさんには、別の柄の練習もしなさいって言われているのに」
「自分の最高の作品を見...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 58.ヨワネの今、ハクの今
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57.教会の少女
リンの目の前に、白い髪の女が居た。
そして、たくさんの子供たちが、リンをぐるりと囲んでいた。
リンの目の前には、温かな葉野菜と根野菜を煮込んだスープ、そして穀物と豆の粥がある。
食事が乗っているのは、質素な長四角のテーブルだった。しかし、大きい。長四角の卓が二つ並べられ、十...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 57.教会の少女
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56.五年後、海辺の町にて
―五年後―
* *
“まさに彼女は悪の娘”
初春の宵。柔らかな夕闇が海辺の町を包む頃、灯りの燈った酒場に、一日の仕事を終えた男たちが集まる。談笑とともに、いつものようにがなる歌が響く。
“昔々あるところに、悪逆非道の王国の、頂点に君臨...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 56. 五年後、海辺の町にて
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題 「本物のツバサ」
*
たとえそれが 蝋で出来た
偽の翼で あるとしても
太陽さえ 超える気持ち
本物にも 負けはしないよ
A
悲しく 苦しく 暗い闇の中で
おびえて凍える身に
ひとつ射した光...【歌詞】本物のツバサ【卒業】
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55.5 間章 ~リンとルカ。カイトとメイコ~
空を焦がす夕焼けが去り、夕闇が激動の黄の国にゆっくりと降りてきた。行交う人は皆興奮し、すべての通りが祭りのように沸き立っている。
人々の顔は、夏の日照りにさらされて、乾き、汚れ、やせ細ってはいたが、今や疲れ切った表情をする者はいなかった。
戸惑い...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 55.5 間章 ~リンとルカ。カイトとメイコ~
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54.囚われの女王
てっきり地下の牢屋もしくは強盗や殺人などの罪を犯した者たちの監獄へと送られると考えていたレンだったが、その予想は外れた。
メイコが女王の拘置場所に選んだのは、国教会の塔の一室であった。
とはいえ、だんだんと秋の気配の濃くなる季節に、石造りの塔の部屋に幽閉されるのは苦しかった...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 54.囚われの女王
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53. 悪の娘、悪の召使
「この、無礼者!」
レンは、自分の声が凛と響いたことに満足した。
「……よかった。間にあった。」
……自分が、彼女の身代わりになれる間に、この国は変化を成し遂げた。
顔はいくら似ていても、もうじきレンの声は太い男の声に変わる。
兆候は出ていた。だから、レンは出来るだ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 53.悪ノ娘、悪ノ召使
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52.リンの本音、レンの告白
「これを着てお逃げなさい」
レンが自分の服を突然脱いで差し出したのを、リンは呆けたように見つめていた。
「レン。逃げるのは召使のあなたの方でしょう? あたしは女王ですもの、ちゃんと残って、王の政治の責任を取らないと」
「馬鹿野郎!」
ついにレンは怒鳴った。
「君は女...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 52.リンの本音、レンの告白
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51.レンの思い
もうすぐこの国は終わるだろう。
この朝、レンは目覚めてふと、確信した。
この日の朝も、王宮広場は日の出から大騒ぎだった。だんだんと、武具を持った人が増えてくる。王宮に武器を向けることを恐れなくなってきているのだ。
やや黄色みのかかった木の葉が、レンの目の前を風に吹かれて舞い...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 51.レンの思い