タグ:呪音キク
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忽然と、暗黒の渦中から目覚めようとしていることに気がついた。
鼓膜より伝わる音が、海の静かに波打つ音だと確認し、眼は蒼くなりつつある夜空を像として映し出していた。
無論、体が目覚めていくうちに、傷からの痛みも信号となって脳に伝わる。
それの殆どが火傷である。
とりあえず感覚器官及び神経は無事...Sky of Black Angel 第四十八話「何者か」
FOX2
XX年X月X日 晴れ
アンドロイドというものを作ってみることにした
と、言うわけで部下に頼んで世界中から材料を集めてもらうことにした
材料メモ
鉄、シリコン、銀、硝酸→沢山
人間→十代が望ましい、男女各50人
スイスに行く者→ハイジが食べてたチーズとパン
ドイツに行く者→ソーセージとビール
日...アンドロイドの作り方
晴れ猫
「終わった・・・・・・のか?・・・・・・おい、円。生きてるか?」
「うるせーな飛鳥・・・・・・俺ぁここにいるよ。」
「なんだ、生きてたのか。」
「お前こそな。」
「当然だ。周りの連中みたいにグロい死に方だけは勘弁だぜ。」
「にしてもすげぇな。どれくらい死んでんだコレ。」
「こっから見え...Sky of Black Angel 第四十五話「再び会えると信じて」
FOX2
腕を一振りすると、目の前の黒い敵が真っ二つに切り裂かれる。
切れ目から透明な液体を撒き散らして爆発する。
弱い。こんなやつら、どうせ何匹いたって同じ。
それなのに、基地のみんなはてこずってる。
無線を聞く限り、もう何人も死んでる。馬鹿なやつ。
まったく、めんどくさいことになった。
あの...Sky of Black Angel 第四十四話「翠の銃槍」
FOX2
総合司令室にいる者全てが、モニターに映し出されたミクオの姿を見て愕然とした。
『久しぶりですねぇ世刻司令。』
『ミクオ君・・・・・・何故ですか。』
ストラトスフィアの司令であるミクオと、今までに耳にしたことのない、世刻司令の困惑した声がスピーカーから響いた。
この向こう側のモニターは司令...Sky of Black Angel 第四十二話「決戦へ」
FOX2
任務を終え、雪峰から帰った俺達を出迎えたのは、少佐と司令だった。
タイトがこの世を去ったことは、二人とも既に知っていた。
「タイトさんという英雄のために、黙祷を、捧げましょう・・・・・・。」
司令は、静かに言った。
「・・・・・・。」
目を閉じた俺の頭の中に、昨日、夕日を見ながら...Sky of Black Angel 第三十八話「唖然、戸惑い、怒り」
FOX2
「ソード隊、発進準備を開始せよ。」
無線に管制官の声が聞こえてきた。
深夜00:00時、遂に運命の刻はやって来た。
整備員から敬礼と激励の言葉を受け、俺は機体のコックピットに乗り込んだ。
計器類を操作し、アビオニクス灯が灯る。
命を吹き込まれたエンジンから猛獣の咆哮のような作動音が鳴り響...Sky of Black Angel 第三十七話「価値無き真実」
FOX2
興国の軍事力が、何者かによって見る見るうちに削ぎ落とされていく。
いや、誰かなんて想像はついてる。
なぜそうなったのかも。
経緯がどうあれ興国は国として形骸化を始めている。
もうあの国は長くない。
でも、あの国が消えたら、この基地はどうなるのだろうか。
あの国から差し向けられる領空侵犯...Sky of Black Angel 第三十二話「過去、そして、その後」
FOX2
僕がメンテナンスを続けている間、彼は、一言も喋らなかった。
パソコンのモニターには、彼のマザーコンピューターと身体の情報が表示されていた。
一通り終わり、彼の背中から情報伝達用ケーブルを抜き取った。
「はい。終わったよ。とりあえず、コンピューターには異常はなし。バッテリーの容量も不凍液も十分...Sky of Black Angel 第二十六話「ゲノムパイロット」
FOX2
朝、俺達を含む雪峰の全隊員がフライトデッキに集結していた。
隊員達は毎朝ここで徒手格闘訓練などをするらしく、俺達も参加することになった。勿論、ミクやタイト達も参加している。
「うわっ!」
そして今、隊員の一人を軽くあしらったところだ。
「さすが・・・・・・強いですね。」
「年季の違いさ。...Sky of Black Angel 第二十五話「つかの間の安息」
FOX2
海は本当に静かだった。
ときどき、チャプン、と音を立てるだけ。わたし以外は誰もいない。
ゆらゆらと波が揺れるのが大きな月の光でよく見えた。
月・・・・・・。
この前にもこんな大きな月を、ひろきと一緒に見たっけ・・・・・・。
「今夜は月が大きく見えるよ」って・・・・・・。
あれから、...Sky of Black Angel 第二十四話「互いの想い」
FOX2
この時点で、俺の頭の中に様々な疑問が渦巻いていた。
だが、どうやらゆっくり考えるのは生きて帰った後のようだ。
《こちら雪峰所属、ロンチ隊。配置についた!!AWACS、指示を請う。》
《こちら水面基地所属警戒管制機ゴッドアイだ。これより各味方航空機に指示を出す。既に百マイルのC-42エリアに...Sky of Black Angel 第二十二話「大空中戦」
FOX2
開いた非常口。
帯人に抱き上げられた雪子は、キクの袖を掴む。
「行こうよ。キクちゃん」
キクはまた泣いていた。
「雪子ちゃん。ありがとう」
「え?」
きょとんとする雪子。その表情はとても可愛かった。
「雪子ちゃんと会えて、本当によかった」
「なに言ってるの…? ほら、早く行かないとッ!!」
「ごめん...優しい傷跡 第20話「もっと はやく あなたに」
アイクル
本当はね。
最初から、わかってたの。
自分のやってることの異常性と、無意味さが―。
でも、自分でもこの思いを制御できなくて
殺人衝動だけが増幅されていって
どうしようもなくて
止まらなくて
――泣きたかったの。
斬りつけ合うなかで、キクの動きが鈍くなった。
その一瞬を帯人は見逃さなかった。...優しい傷跡 第19話「なみだ」
アイクル
予想以上に火の勢いが強い。
煙が充満してきて、酸素がどんどん奪われていく。
息苦しい―。
ちらりと帯人を見た。
彼は苦しそうな顔をいていたけれど、息苦しいという感じではなさそうだ。
ボーカロイドには、どうやら酸素は必要ないらしい。
気づかれないようにしよう。
気を遣ってくれたら、なんか、情けないから...優しい傷跡 第18話「僕らの意志と交差する願い」
アイクル
目の前に立ちはだかる黒い物体・・・・・・。
それは2本の恐竜のような足で直立し、水中潜航が可能な戦闘用アンドロイドだった。
水中潜航のための特異なフォルムに鱗のような光沢をもつ装甲に覆われたボディ。
その全長はざっと5メートル。まるで海洋生物、いや、西洋の伝説に登場しそうな、水に棲む怪物か。...Sky of Black Angel 第二十話「白い鉈」
FOX2
キクの記憶の断片が、メイコの脳に流れ込む。
それはあまりにも悲しくて―。
「どいてッ!」
キクが力一杯メイコを蹴り飛ばした。
もろにくらったメイコは痛みのあまり、うずくまった。
キクはゆっくりと立ち上がる。
「さよなら」
「ま、待ちな、さい…ッ!」
「…」
メイコの言葉を返さず、キクは静かに窓辺に近...優しい傷跡 第17話「今度は私が護ってあげる」
アイクル
マスターは、私に優しくしてくれた。
キクという可愛い名前をくれた。
大好きだった。
寝付けない私のために、彼はいつもホットミルクを作ってくれた。
コップに注がれた暖かなホットミルクはとてもおいしかった。
彼は喜ぶ私を見て、よく笑っていた。
その笑顔が大好きだった。
歌を上手く歌えない私を責めることな...優しい傷跡 第16話「記憶」
アイクル
ベランダから飛び降りた帯人と雪子を見届けて、メイコはゆっくりと
立ち上がった。
キクはベランダを見つめたまま、じっとしている。
その口だけは動き続けていて、まるでなにかを唱えているようだった。
「残念だったわね。……あんたの相手でもしてあげる」
そう言うと、ぼんやりとした瞳をこちらにむけるキク。
「...優しい傷跡 第15話「本音が知りたいから」
アイクル
「動くなッ!」
銃声とともに、振り上げられていた斧は弾かれて、
部屋の隅に転がっていった。
声の主は、メイコ姉さんだった。
銃を構えたまま、キクをにらみつける。
「次は腕が吹っ飛ぶわよ」
「ふっふふっふっふふ。脅しのつもりですかー?」
キクはメイコを見て笑う。
メイコはいらだちのあまり顔を歪ませる。...優しい傷跡 第14話「僕が必ず、護りますから」
アイクル
「危ないッ!」
帯人はとっさに私をコートで包み込む。
そのおかげで私は降り注ぐガラス片で怪我をすることはなかった。
でも、コートの隙間からたたずむ少女の姿がしっかりと見えた。
「なんで?なんでよ」
彼女自身、ガラス片によって腕を切っていた。
不凍液がまるで血のように腕を伝っている。
「ありえないでし...優しい傷跡 第13話「わたしの決意」
アイクル
「ぼくは、あなたのことを愛しています」
そう言った、彼の瞳は虚ろだった。
けれど温もりのある声だった。
だから、私はそっと手を伸ばして彼の頬をなでた。
私の行為に彼は驚いているみたいだったけど。
「帯人」
「……」
帯人の頬は暖かい。
ボーカロイドと人の境目なんて、ずっと昔から、ないのかもしれないね...優しい傷跡 第12話「家族」
アイクル
その後、数分メイコ姉さんと話した後、彼女は呼び出されて行ってしまった。
彼女は「元気な顔が見れて安心したわ」って言ってこの場を後にした。
私は彼女の後ろ姿を見送った後、
別室に押し込んでいた帯人のもとへむかおうとした。
そのはずだった。
別室への扉のドアノブを握ったとき、すごく不安な気持ちになった。...優しい傷跡 第09話「壊れ出す」
アイクル
(二時間前)
「お呼びでしょうか。世刻司令。」
「ええ。あなたにお話しておくことがあります。かなり重要なことです。ですが機密情報のため、声に出して話すのはやめましょう。いくらこの部屋が防音でも、一応ね。」
「では、筆談……ですか。」
「そんなものではありません。」
「では……。」
「あ...Sky of BlackAngel 第十二話「虚」
FOX2
ひとりぼっちで残されて。
すごく寂しくて。
昨日、抱きしめた温もりが忘れられなくて。
人肌ってあんなに優しいんだと、やっと気づいた。
ねえ、マスター。
僕は、僕は、僕は、僕は。
あなたがここにいないと、息ができなくなりそうなんだ。
今にも泣いてしまいそうで、
苦しくて傷が疼いて。
僕は何度何度も、傷...優しい傷跡 第05話「赤い少女」
アイクル
珍しく、夕食の直後俺達はブリーフィングルームに集められた。
何でも、至急隊員達に伝えることがあるそうだ。
「隊長。」
「……何だ。」
「なーんか今日調子悪くねぇか。今日出撃できなかったのがそんなに悔しいか?」
「……違う。」
麻田が俺の心境を無視したような発言を連発してくれる。たのむか...Sky of BlackAngel 第十話「スクランブル」
FOX2
「……という訳さ。」
話し終えるとたいとは席に背もたれた。
話はだいたいわかった。たいとたちはあの船で敵を倒したあと、私と一緒にヘリでそのまま基地に来て、そのまま仲間になるらしい。しかしまだ納得いかないことがある。
「あの、たいと?」
「なんだい。」
「なんで君達が水面基地にくるんだ?」
...Sky of BlackAngel 第九話「兵器?」
FOX2
ヘリという乗り物の中は意外と広い。中には私とパイロットだけだ。足元を見ると、そこには黒く細長い鉄の箱がある。何が入っているかは分かる。これで敵を倒す。するとスピーカーからパイロットの声がした。
私はヘリの窓から海を見下ろした。司令の部屋のテレビで見た船が少しずつ近づいてきた。
◆◇◆◇◆◇...Sky of BlackAngel 第八話「黒い刀」
FOX2
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