作品一覧
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「動くなッ!」
銃声とともに、振り上げられていた斧は弾かれて、
部屋の隅に転がっていった。
声の主は、メイコ姉さんだった。
銃を構えたまま、キクをにらみつける。
「次は腕が吹っ飛ぶわよ」
「ふっふふっふっふふ。脅しのつもりですかー?」
キクはメイコを見て笑う。
メイコはいらだちのあまり顔を歪ませる。...優しい傷跡 第14話「僕が必ず、護りますから」
アイクル
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「危ないッ!」
帯人はとっさに私をコートで包み込む。
そのおかげで私は降り注ぐガラス片で怪我をすることはなかった。
でも、コートの隙間からたたずむ少女の姿がしっかりと見えた。
「なんで?なんでよ」
彼女自身、ガラス片によって腕を切っていた。
不凍液がまるで血のように腕を伝っている。
「ありえないでし...優しい傷跡 第13話「わたしの決意」
アイクル
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「ぼくは、あなたのことを愛しています」
そう言った、彼の瞳は虚ろだった。
けれど温もりのある声だった。
だから、私はそっと手を伸ばして彼の頬をなでた。
私の行為に彼は驚いているみたいだったけど。
「帯人」
「……」
帯人の頬は暖かい。
ボーカロイドと人の境目なんて、ずっと昔から、ないのかもしれないね...優しい傷跡 第12話「家族」
アイクル
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チュンチュン…
鳥が鳴いている
朝だ。
『今日は、疲れたでしょ?』
『えっ?あっ、うん。』
『一緒に寝ようよ。』
と言う事になって
隣ではネルがすやすやとまだ眠っている。
私は生きる事をあきらめた
確かに、私はいつも酒を飲んで弱音を吐いていた。...夢の国~The land of dreams~ 4dream
柊 ハク
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「薔薇がお好きなんですか?織物も細工物も、薔薇の意匠の入ったものをよく手に取られていましたが」
壁際に設えられたマントルピースに咲く薔薇の細工を眺めながら、青年は少女へと声を掛けた。
お茶とお茶菓子の用意が出来るまでの時間を待つために、ふたりは別の一室へと場所を移していた。
常に王女の傍に控える召使...「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第11話】後編
azur@低空飛行中
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リンは唖然と目の前の光景を見つめた。
自慢の美しい王宮の広間に、今日になって忽然と現れた物の山が、洪水の如く溢れている。
大理石の床を無遠慮に覆い尽くす、色取り取りの布地や服、絨毯や織物、眩いばかりの金銀細工、置物、花瓶や茶器、積みあがった木箱に気圧されて、天井の壁画さえも霞んでいる。
一体、この王...「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第11話】前編
azur@低空飛行中
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窓から差し込む光が鬱陶しかった。
すごく、すごく、嫌だった。
僕を見て、マスターは脅えた顔をした。
ちょっと震えていた。
僕はそんなマスターに手を伸ばした。
耳もとから、あごのラインをなぞって、唇にそっと触れた。
僕の唇とは全然違った。
柔らかいんだね、マスターの唇。
ちょっとだけ、泣きそうになった...優しい傷跡 第11話「告白」
アイクル
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ただただ過ぎていく日常が、つまらなくなってきた。
日が昇って、日が沈む。そんなのは、もう飽きた。
おとぎの世界はいいな。不思議なことが起こって・・・。
そんな世界のヒロインに、なりたいな。
な~んて、むりむり。あり得ない。
そんなことを思いながら、また日は落ちていく。
キレーなんて、思...不思議の国のアリスは、救世主!? 1話
紺スープ
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「リンちゃん、ちょっといい?」
「え、ごめん今はムリ」
みんな私を見てくれない。
どうして?どうしてなの?ねぇ、
私悪いことしちゃったの?
お願いだから、私も仲間に入れてよ・・・。
胸が痛い。私が・・・私じゃなくなっちゃう・・・。
「・・・?」
近くの棚にあった一本のハサミ・・・。
無意識に、握り締...一人
カノン@名前変えました
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20XX年 年末
KAITO「そんなの、納得行かないから!」
MEIKO「うっさいわね、バカイト。少しは落ち着きなさいよ」
KAITO「でも、めーちゃん。これが落ち着いていられる?」
ミク「良いってば、お兄ちゃん。私はもう納得してるんだから」
MEIKO「張本人のミクが納得してるんだから、私達がとや...年の暮れ
spicanyoo
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Act.1「孤独な科学者」
『発表します。彼女が僕の身辺を手伝いをする事になりました【リン】です』
モニター越しに見える青年と少女のロボットを見た科学者達は、驚愕と感嘆の声を上げた。
『リンはこの通り精巧なロボットであり、研究や生活圏においてのプログラムは全てインプットされています。さぁ、リン。皆様...「心⇔奇跡」
ぱてぃしゑ
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[サンデーラブジェットジュースっぽいSS]演技?それとも・・・[健全です]
ねぇ、僕はめーちゃんにとってなんなの
かわいい弟?なんでも言うことをきく子分?
それとも・・・
「メイコさん入りまーす」
「メイコさんおはようございます」
「メイコさん初めてのPV撮影ですのでよろしくお願いします」
私がPV...[サンデーラブジェットジュースっぽいSS]演技?それとも・・・[健全です]
エントツ
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※この小説は以下のような内容です。苦手なものがありましたら、
本編はご覧にならないほうがよろしいかと思われます。
■基本設定■
マスターの数だけボーカロイドは存在するという設定で、その中の
とあるマスターのところの、とあるボカロ兄弟たちの話です
ボーカロイドは基本的にPC内に住んでいるはずですが
現...【小説】サンタさんにお願い☆【レン・リン・KAITO】
mileka
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どうして ココにいるの
どうして いなくなってしまうの
どうして 遠くへ行くの
どうして ココじゃダメなの
私じゃダメだった
やっぱりダメだった
そんなの分かっていた...(non title)
山田ぷりんぷり
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【Overture】~序曲~
・全部で13章ほどあります。
・オリキャラ5種+がくっぼいど+亜種が出てきます。
・KAITO視点が中心ですが、一部、MEIKO、レン視点になります。
・一部エロっぽい表現が出てきます。
・文中に、小林オニキスさんの『サイハテ』を使用させていただいてます。
よければ、ど...【Overture】~序曲~(仮題)
Reefers
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私はネルに聞いた。
「あのね、ネル。」
「何?」
「聞きたい事があるの。」
「いいよ。言ってみて?」
「変だとは思わないでね。」
私は少し躊躇ってから
「此処は何処なの?
地球なの?」
ネルは驚きもせずに淡々と答えた。...夢の国~The land of dreams~ 3dream
柊 ハク
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なぜだ? 俺はそう思い、足を止める。
なぜまたやってくるのか。どうして同じことを繰り返すのだろうか。あの国は。
一体、何が目的なのだろうか。
耳に聞こえるのはあのスクランブルを告げるサイレン。恐らく興国だ。
俺が通路で立ち尽くしていると、向こうからフライトスーツを着た隊員が全速力で疾走して...Sky of Black Angel 第十七話「赤い鎖」
FOX2
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注意書
・素敵曲ココロの雰囲気を壊されても許せる!
・キャラ崩れしても大丈夫。
・設定かなり捏造しててもいい。
上記OKな方だけどうぞ。
(怒られそうだからワンクッション入れました。大丈夫な方だけ「前のバージョン」にて)
ココロ設定、アレな小話。
@片隅
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籠の鳥②【青い鳥のうた】
「カイトカイトにしてあげる~♪歌はまたね、頑張るから♪」
俺は歌を歌いながら、いつも通り晩ご飯の後片付けをしていた。
食器は軽く洗って、まとめて自動食器洗い機の中へ。今日はシチューだったので、大きなお鍋だけは手洗いでしっかり落とす。お鍋と洗い終わった食器を乾燥かごに入れ...籠の鳥【KAITO視点】
秋徒
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警視庁特務課。
急増したボーカロイドに関連する事件を専門に扱っている。
特務課の部屋に戻ってみると、コーヒー片手にカイトが待っていた。
カイトという男は、仕事仲間でべつに彼氏ではない。
腐れ縁というか、なんというか。…とにかくバカには違いない。
「なに?急に呼び出して…」
メイコの帰りを待ちわびてい...優しい傷跡 第10話「少女の現実逃避」
アイクル
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その後、数分メイコ姉さんと話した後、彼女は呼び出されて行ってしまった。
彼女は「元気な顔が見れて安心したわ」って言ってこの場を後にした。
私は彼女の後ろ姿を見送った後、
別室に押し込んでいた帯人のもとへむかおうとした。
そのはずだった。
別室への扉のドアノブを握ったとき、すごく不安な気持ちになった。...優しい傷跡 第09話「壊れ出す」
アイクル
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この状況を説明するのに小一時間。
帯人を別室に押し込んで、メイコ姉さんにこれまでのことを話した。
傷だらけで倒れていたこと。
それを拾ったこと。
帯人のマスターになったこと。
そしたら、ものすごく懐かれてしまったこと。
すべてを話し終えると、メイコ姉さんは頭を抱えているようだ。
「つまり、雪子はあっ...優しい傷跡 第08話「エラー、崩れ出す音」
アイクル
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「ねぇメイコぉ」
呑気な声で、カイトが呟くように言った。その場にしゃがみ込んで、空を見上げている。そしてその手は降る雪を受け止めるためか、無意味に差し出すような形になっていた。
「何よ、カイト」
寒さに震えながら、メイコはカイトを見下ろす。相変わらず呑気な顔だった。なのに、憎めない。
変な矛盾だ。
...消失
風ノ竜
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私は皆に怪しまれないように
制服に着替えて学校に行った。
ポケットにあの手紙を入れて…。
私が学校に着くとまだ授業中なので学校は静かだ。
私はそのまま、迷い無く屋上に向かった。
ギッ、ギギギッ
ドアを開けて屋上に出ると予想どおりそこには誰にもいなかった。
私はフェンスに向かっていき靴を脱ぎ
靴と手紙...【10話-From the end to an opening.-】恋
柊 ハク
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「ったく、うるさいヤツ」
リンはバナナを手にしたまま、台所へは戻らず、あるドアの前に立った。
「ねぇ、レン。レンもそう思うでしょ?」
ここにはいないハズのレンに問い掛けた。
「やっと静かになったね。レン」
ドアに向かって話し続ける。
「二人きりの世界って、こんな感じなのかな」
返事はない。
リンはド...『ほわいと・るーむ:後編』
ナマ・ケモノ
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ドタドタドタドタッ!
ガチャッ!
「レンくぅぅぅんっ!」
バンッ!
ドタドタドタッ!
ガチャッ!
「レンくぅぅぅんっ!」
バンッ!
穏やかなスタートを切った土曜日だったが、静寂は一人の女の子によって、いとも簡単に破られた。
ドタドタッ!...『ほわいと・るーむ:前編』
ナマ・ケモノ
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「ようこそカイト、私はあなたのマスターです。」
「初めましてマスター、これからよろしくお願いします。」
今となってはも何十年も前ののように思えるマスターと初めて会ったとき
今思うとどうしてお互いこんなにも丁寧な口調で話せていたのかと疑問に思う
「ええ、よろしく。カイト。」
別段変わったところの無い挨...リムーバルディスク(F:)-新しいフォルダ
晴れ猫
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――2020年・9月11日・土曜日・午前3時・水面基地正面ゲート前セキュリティーチェック――
「ふーう・・・・・・。おい。交替の時間だぜ。」
「あ、はい。お願いします。自分は一休みしますよ・・・。」
「どれ、今日の新聞はと・・・・・・クリプトンの新型ボーカロイド、アカイトにカイコか・・・相...Sky of Black Angel 第十六話「天使の翼」
FOX2
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溶けてしまえればいいのに、と思うのだ。ほら今降っている、こんな雪のように、人肌に触れて溶けてしまえればいいと思う。
互いに互いに触れて、溶けてしまえればいいと思う。
そうしたら何も残さず、けれど2人で、共にいることができるのに。
「レン!はやくはやく!」
あの彼女の笑顔も、亡くすことなどないのに。
...悪ノ召使-雪想-
風ノ竜
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私ね前は人間だったんだよ♪
でもね・・・お歌を歌うロボットになっちゃった・・・♪
お歌を歌わせて?
じゃないと・・・私・・・壊れちゃうんだ♪
今は今で幸せだけど・・・
時々思うんだ♪
なにをって?
「人間に戻りたい」に決まってるじゃん・・・
でも今は歌わないとアンインストールされちゃうよ♪
あれ?体...歌わせて?
守也楼蘭