魔熊の投稿作品一覧
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「ごめん。」
そう言って、泣きそうな顔で私を見つめている。
「もう、キミとは一緒にいられない。」
待って、待ってよ。
どうしてなの?
そう思っているのに、口が動いてくれない。
「俺もキミも、もう子供じゃないんだ。昔みたいに笑うことなんてできないよ。」
“もう子供じゃない”。
そう聞いた瞬間ズキリ、と...glow
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「あ……乗り遅れた…」
最悪だ。今の電車を逃したら、また少し待つようになる。
今日は運が悪いみたいだ。
溜め息が出そうになった瞬間、内側から何かが刺してくるような頭痛がした。
思わず頭に手を当てると、
『明日は雨が降るよ。』
急に耳元で声のような音が聞こえた。
「誰…?」
呟いて周りを見渡す。
誰も...イカサマライフゲイム
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「あ、あの…私――君のこと好きです!」
「そう。」
「あ、えっと…」
「それだけ?……じゃあ、僕は帰るから。」
後ろから泣き声が聞こえる。
僕は関わらないで欲しいだけなのに。
勝手に傷付いて、僕を恨んで。
途中で忘れ物をしていることに気付いた。
思わず溜め息が出る。
めんどくさいけど、それが無いと宿...心臓デモクラシー
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希望なんて無い、ただあるだけの世界。
間違いだらけの正しくない世界。
こんなものもう必要ないだろ?
久しぶりに“箱庭”を歩く。
上では大きな画面の中偉い政治家か何かが必死で話している。
周りの人は何も知らずに忙しなく歩いていく。
口論しているのか、怒鳴り声も聞こえる。
「うるさいな……」
周りの雑音...メカクシコード
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―私は非現実を愛する狂った科学者に造られた。
「うん。やっぱり『お前』は素晴らしいよ。」
私を造った彼女は、目を輝かせながら画面に触れる。
「こんな夢のない毎日を繰り返す汚れた奴らと違って。」
そう言って、彼女は蔑んだ冷たい目を窓の外に向けた。
興味がないモノに向ける目。
私はこの目が嫌いだ。
もし...人造エネミー
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―僕には叶えたいことがあったのに…
「お前には無理だよ。」
「お前なんて嫌いだ。」
周りの人が僕を見て笑う。
チクリ、と何処かが痛んだ気がした。
―やっぱり、僕には叶えられないんだ。
そう思うと泣きたくなってきた。
一人になりたくて、家に帰ることにした。
家の扉を開けると、靴を脱ぎ捨てて部屋まで走っ...ヒステリ
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「私は別の世界から来たの。だから、私はアナタ逹みたいなただの人間じゃないの。私は特別なの。」
目の前の少女はいきなり電波的なことを口に出した。
遠くから転校してきたという彼女は、自分は人間じゃないと言い出した。
見た目は美人で、さっきまでは周りの人が、「お人形さんみたい」、「仲良くなりたい」とか、好...俺と君の居場所
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8月15日。
今日は朝から天気がいい。
むしろ良すぎるくらいだ。
太陽がギラギラと僕の身体を照らす。
汗が頬を伝う。
今日は今年一番の暑さだか何だか知らないが、勘弁して欲しい。
病気になりそうなほど眩しい日差しに呟いた。
そんな汗だくの僕と違って彼女はそんなに汗をかいてない。
それどころか、黒猫の頭...カゲロウデイズ
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「レンきゅん、足!足をもっと動かして!!」
「……………。」
「ちょっ、動き止めたら意味無いじゃん!!」
「…ダンスやるなんて聞いてない。」
「あれ?言ってなかったけ?…それよりさっきの動きは、もっとこう…」
「うるさい!!」
「れ、レンきゅん……?」
「何でこんなことやんなきゃいけないんだよ!!勝...仕事③
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―もう戻れないのかな?
「僕がずっと前から思ってる事を話そうか。」
『君』に向ける言葉を語る。
『君』には届かないけど…
「友達に戻りたいんだ。」
こんなことになるなら、友達のままでいたかった。
特別な関係なんて望まなければよかったんだ。
…そうすれば、まだ君と一緒にいられたのに。
「今日はこっちの...天ノ弱
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「………眠い……」
激しく扉を叩く音で目が覚めた。
外はまだ真っ暗だ。
時計を見ると、1時になったばかりだ。
一体こんな夜中になんの用なの?
「おはよ、ミク。」
「…………」
何のんびり挨拶なんてしてるのよ。
…って、私の今の格好見せたくなかったんだけど。
髪ボサボサだし…...【ミク誕生祭】
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「髪伸びたんじゃない?」
「………。」
「おい。」
めーちゃんが持っていた雑誌で頭を叩いた。
「痛っ!!…めーちゃん何するの?」
「返事しないアンタが悪いの。」
「え~…」
反論しようと思ったけど、睨まれたからやめた。
怖いし。
「…で、めーちゃん何?」...髪 ver.魔熊
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最近暑い日が続いている。これはチャンスだと思った。
「あのさ、“二人”で海に行かない?」
隣に座っていたグミが目をキラキラさせてこっちを見る。
「海?」
「そう、海。」
「行く!絶対行く!!」
グミと海に行くことが決まった。
やった!!
……何で?
俺の目の前にはグミの兄弟がいる。...海 ver.魔熊
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君は何に悩んでいるの?
私には分からないよ。
だから教えて。
「ねぇ、最近私歌ってないんだけど。」
「………。」
「だから、私歌いたいの。」
「………。」
彼は何も言わない。
私の話を聞いているのか分からない。
「ねぇ、聞いてる?」...My little hart
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―好きだよ、ハニー
夢を見た。
とても楽しい夢だった。
触れられるはずのない君の夢。
「夢なら覚めないままで良かったのに…」
溜め息が出た。
無性に君に会いたくなった。
パソコンの電源を入れる。
ただ、それだけの行為にドキドキする。
画面に君が現れる。...惨事のハニー
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「ぐふっ!!」
お腹に物凄い衝撃を感じて飛び起きた。
「お兄ちゃん、おめでとう!」
痛くて上手く息が出来ない。
怒りを感じていたけど、笑顔で言われたら、許すしかない。
可愛いし。
「…あぁ、グミ。おはよう。」
「おはようじゃなくて、おめでとうって言ったの。」
?おめでとう?
「グミ、よく分からんが…...【がくぽ誕生祭】おめでとう!!
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―何時からだろう。
本当の僕が『僕』の中に沈んでいるのは。
嫌われるのが怖くて、みんなに愛されたくて、理想的な『僕』が出来た。
君が好きになった。
君を好きになったのは、最近かもしれないし、ずっと前かもしれない。
「おはよ!!」
「おはよう。」
君から声をかけてくれただけで、嬉しくなる。
でも、どん...心壊サミット
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「レン、大好き。付き合って!」
これで何回目になるだろう。
キミは毎日のように僕に告白する。
飽きないのだろうか?
「レン、聞いてるの?」
「聞いてる。僕はキミのこと嫌いだから、無理。」
「…諦めないから。」
そう言って、キミは立ち去った。
キミは何を勘違いしているんだ?
ノートを貸したのは、キミが...ツンデ恋歌
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「あぁ…また、失敗。」
これで8回目。
「兄ちゃん下手くそだな!!」
ぐふっ!!
小さい子にまで馬鹿にされるとは…
でも、諦めるわけにはいかない。
約束しちゃったし。
―本当は一人で夏祭りに行くつもりじゃなかった。
彼女と二人で行くはずだったんだけど…
彼女が風邪をひいた。...夏祭り ver.魔熊
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「私、紫陽花好きなんだよね。」
「そうなの?俺は、あんまり好きじゃないんだけど。」
「何で?」
「だって、枯れてんのにいつまでも形残ってるじゃん。なんか、汚くない?」
彼のその言葉にドキッとする。
私も紫陽花と同じだから。
病気になって、彼が「綺麗」と褒めてくれた髪の色が白っぽくなった。
昔は何かあ...紫陽花 ver.魔熊
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「――じゃあ、学級委員はカイト君とグミさんね。一年間お願いね。」
…最悪。
何で、こんな面倒なことをやらなきゃいけないの?
しかも、一緒に仕事やるのは、カイト。
彼とは幼馴染み。
「早速だけど、今日の放課後――」
面倒だなぁ…
「よし!頑張ろう!!」
「はいはい。私、早く帰りたいんだけど。」
「そん...グミカイ ver.魔熊
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「なぁ、蛍見に行こうぜ!!」
予想していた言葉。
昨日テレビの夏の特集みたいなので、蛍を紹介していたから。
「僕はいい。」
「何で?」
だって…山奥に行くんだろ?
色々出そうじゃん。
でも、本当のこと言ったら、馬鹿にされるんだろうな…
「虫に刺されたくないし、宿題やらないといけないし。」
「そのぐら...蛍 ver.魔熊
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―会いたい。
彼が仕事で遠くに行くことになった。
最初は彼の力が認められたから、嬉しくて、応援するって、喜んでいた。
でも、彼と会えなくなって寂しくなった。
彼が忙しいことは分かってる。
それでも「会いたい」と思うのは、私の我が儘。
電話で君の声を聞いて、手紙で君の言葉を受け取って…それだけじゃ、足...七夕 ver.魔熊
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―感情を全部殺すの
「ミクは私の親友だよ。」
そう言って、笑う君。
私を『親友』として認めてくれたのは、君が初めてでとても嬉しかった。
だから、君が私を嫌っていたなんて考えてもいなかった。
「ルカって、ミクと仲良いよね。」
「やめてよ。私、あの子が可哀想だから仲良くしてる‘フリ’してるだけなんだから...戯言スピーカー
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―はじまりは遠い子供の頃の記憶
僕は道端で泣いている。
大きな声で助けを求めるように。
「うるさいガキだな。」
目の前には咥え煙草の男。
男は僕を見下ろし、踏みつけた。
「―――――」
泣き声がひどくなる。
男は苛ついたように、僕を何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も―――
「大人...進化論 code:variant
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―朝からみんながおかしい。
挨拶しようと思ったら、みんな隠れて私から逃げるし。
でも、朝ごはんを食べてると、私のお皿に「お腹一杯だから」って、ニンジンを渡してきた。
いつもは、ちゃんと食べるのに。
…リンちゃんはいつもだけど。
なんか騒がしい感じで落ち着かない。
「あの、マスター。今日は歌わなくてい...【GUMI誕生祭】Happy Birthday
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何年ぶりだろう。
久しぶりに帰ってきた私の住んでいた場所。
君と会えなくなって、嫌われるのが嫌で君には何も言わないまま引っ越した。
「あれ?ここにあったのに…」
君と遊んでいた大きな木。
高くて、木の上から見た景色はとても綺麗だったのに…
私がいない間に何もかも変わっている気がする。
君に会いたい、...星 ver.魔熊
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*グミヤ*
おかしい。
彼女に会ってから、ずっと彼女のことを考えている。
「グミヤ?どうした、朝からボーッとして。また、花のことでも考えてるのか?」
話しかけてきたのは、幼馴染みの『鏡音リント』。
悪い人ではないんだけど、毎回僕をからかってくる。
「ん~。花のことじゃないよ。」
「え!?グミヤが花の...花 ㊦ ver.魔熊
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*グミヤ*
「…何で?」
いつものように、花に水をあげようとしたら……女の子が寝ていた。
しかも、その女の子は……僕の学校の『生徒会長』。
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―生徒会長、巡音ルカ
眉目秀麗、頭脳明晰、運動神経抜群。
男女問わずに人気があるから、当たり前のように生徒会長になった。
ただ、彼女...花 ㊤ ver.魔熊
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―ドコハココナノ
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―僕は君がいれば生きていける。
「レン君って、すごいよね。」
「ほんとだよね。リント君と二人そろって、頭良いし、かっこいいし。」
聞こえてる。
みんなが僕をどんな目で見ているかなんてわかっている。
…でもね、『そいつ』は僕だけど、僕じゃないんだ。
●●●...飴か夢
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