ブクマつながり
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「危ないッ!」
帯人はとっさに私をコートで包み込む。
そのおかげで私は降り注ぐガラス片で怪我をすることはなかった。
でも、コートの隙間からたたずむ少女の姿がしっかりと見えた。
「なんで?なんでよ」
彼女自身、ガラス片によって腕を切っていた。
不凍液がまるで血のように腕を伝っている。
「ありえないでし...優しい傷跡 第13話「わたしの決意」
アイクル
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ひとりぼっちで残されて。
すごく寂しくて。
昨日、抱きしめた温もりが忘れられなくて。
人肌ってあんなに優しいんだと、やっと気づいた。
ねえ、マスター。
僕は、僕は、僕は、僕は。
あなたがここにいないと、息ができなくなりそうなんだ。
今にも泣いてしまいそうで、
苦しくて傷が疼いて。
僕は何度何度も、傷...優しい傷跡 第05話「赤い少女」
アイクル
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私はコンビニによってアイスを買った。
なにが好きなのか、わからなかった。
だから、ちょっと高めのバニラアイスを買ってみた。
喜んでくれるかな…。
その日、私はいつもより歩幅を広げて歩いた。
でも、それだけじゃあ足りない気がした。
もっと早く帰りたい。
もっと、もっと、もーっと早く。
だから、私はルー...優しい傷跡 第06話「アイスクリーム」
アイクル
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この状況を説明するのに小一時間。
帯人を別室に押し込んで、メイコ姉さんにこれまでのことを話した。
傷だらけで倒れていたこと。
それを拾ったこと。
帯人のマスターになったこと。
そしたら、ものすごく懐かれてしまったこと。
すべてを話し終えると、メイコ姉さんは頭を抱えているようだ。
「つまり、雪子はあっ...優しい傷跡 第08話「エラー、崩れ出す音」
アイクル
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ベランダから飛び降りた帯人と雪子を見届けて、メイコはゆっくりと
立ち上がった。
キクはベランダを見つめたまま、じっとしている。
その口だけは動き続けていて、まるでなにかを唱えているようだった。
「残念だったわね。……あんたの相手でもしてあげる」
そう言うと、ぼんやりとした瞳をこちらにむけるキク。
「...優しい傷跡 第15話「本音が知りたいから」
アイクル
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今日は日曜日。
だから目覚ましだって黙り込んでいるし、
朝日だって、無視しても怒りはしない。
いつまでも寝ていられる♪
最高だね!
…って、はずなのに。
…………めちゃくちゃ寝苦しい。
私は重いまぶたをゆっくりと開いた。
「んぅ~…」
ぼやけた視界。...優しい傷跡 第07話「おはようございます」
アイクル
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「ぼくは、あなたのことを愛しています」
そう言った、彼の瞳は虚ろだった。
けれど温もりのある声だった。
だから、私はそっと手を伸ばして彼の頬をなでた。
私の行為に彼は驚いているみたいだったけど。
「帯人」
「……」
帯人の頬は暖かい。
ボーカロイドと人の境目なんて、ずっと昔から、ないのかもしれないね...優しい傷跡 第12話「家族」
アイクル
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テレビから絶えず、この激しい雨のニュースが流れていた。
騒がしい中継の音が、落ち着いた部屋に響いている。
私はテーブルの上にレモンティーの注がれたティーカップを置いた。
帯人は恐る恐るそれを手にとると、ゆっくりと口元に運ぶ。
「暖まるでしょ?」
そう尋ねると、彼はこくりとうなずいた。
わずかに口元が...優しい傷跡 第03話「ボーカロイド」
アイクル
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タイムスリップした先は、城内だった。
広い廊下が続いている。ひどく騒がしかった。
灰猫は窓に張り付いた。
窓からははっきりと、燃え上がる火の手が見える。
「革命だ…」
革命は起きてしまった。彼の言うとおり、避けられなかった。
落胆する雪子の頭を帯人は優しくなでた。
燃え上がる町。悲鳴をあげる人々。廊...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第21話「王女と逃亡者」
アイクル
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一閃が、黒衣の身体を斜めに引き裂いた。
目の前で黒衣の男が崩れ落ちる。
その向こうに立っていたのは、眼帯をした傷だらけの青年だった。
「僕は…君のことが好きじゃない」
声が出せなかった。
「でも…大切な人のために行動するところ……嫌いじゃない」
帯人は召使いをギロチンから解放する。
次々と襲い来る異...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第23話「対極」
アイクル
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「ダビデの竪琴? 確かにそう言ったの?」
「ああ、確かに聞いたぜ」
ルコはぶんぶん首を縦に振る。
頭を抱えるメイコを、ルコ、雪子、帯人、ハク、ルカは見ていた。
「ダビデの竪琴といったら、精神を病んでいたサウルを癒した話が有名ね。
でも、なんの関係があるのかしら…」
「………《ノイズ》」
カイトはそ...優しい傷跡-君のために僕がいる- 第05話「欠けたもの、生まれたもの」
アイクル
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郊外は町よりも、より闇が濃かった。
暗すぎて肉眼ではよく解らない。
でも怖くはなかった。
私の手をちゃんと引いていてくれたから。
井戸が見えてきた。
ざわ、ざわ、と木々が騒ぐ。誰かが歩いている。
帯人は咄嗟にアイスピックを構えた。
「動くな…」
雲間から月の光が差し込む。光に照らされて、その輪郭がは...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第20話「悲劇の渦、終わらない歪み」
アイクル
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全てが終わった。
けど、なんだかよくわからない終わりを迎えてしまった。
アカイトさんが犯人かよく解らないけど、あのとき教会で
確かに彼の姿を見たんだ。
なぜあの場所にいたのか聞きたかったのに、彼は書類を盗んで
失踪してしまった。
まだ彼の行方は解っていない。
初音ミクちゃんは、まだ意識不明状態だ。
...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第28話「わたしたちの未来へ」
アイクル
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「痛…」
左手首があり得ない方向にねじ曲がっていた。
さっき爆風に巻き込まれたせいだ。
受け身を取ったつもりが、かえって悪い方向に転んでしまった。
夢の中なのにひどく痛む。
雪子はその手を引きずりながら、必死に立ち上がった。
膝から血が出ていた。
奥歯をかみしめ、私は歯車に近づいた。
外で剣のはじき...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第24話「真っ赤なピエロ」
アイクル
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窓から差し込む光が鬱陶しかった。
すごく、すごく、嫌だった。
僕を見て、マスターは脅えた顔をした。
ちょっと震えていた。
僕はそんなマスターに手を伸ばした。
耳もとから、あごのラインをなぞって、唇にそっと触れた。
僕の唇とは全然違った。
柔らかいんだね、マスターの唇。
ちょっとだけ、泣きそうになった...優しい傷跡 第11話「告白」
アイクル
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「あれ。めーちゃん、今日はどうしたの?
毎週土曜日は一旦、帰るのに」
アイス片手にソファでくつろぐカイト。
その向かい側に、メイコは腰掛ける。
「お昼はいつも、雪子と一緒に買い物に行くんだけどね。
今日はみんなでお出かけするんだって」
ブランデー入りのチョコの封を開け、一粒だけ口に含む。
しばら...優しい傷跡-君のために僕がいる- 第04話「開戦の合図」
アイクル
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私…どうしちゃったんだろ。
突然気絶して…それから…、ああ思い出した。
帯人が助けてくれたんだ。
うっすらと目を開ける。
帯人が微笑んでいた。…終わったんだ。よかった。
ほっとしたら、急に眠くなってきた。
私はそっと瞳を閉じた。
不思議な夢を見た。
そこは、私も帯人もいない。
そんな世界の光景だった...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第17話「銀の王様」
アイクル
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本当は知っていた。
彼女が未来を望んでいることも。
彼女がこの夢から覚めたいと願っていることも。
彼らが悲劇を打開していく様を見ているうちに、
自分の中の「破壊欲」がきれいに消えてしまっていることも。
でも、それを認めてしまえば自分が危うくなると解っていた。
だから否定していた。拒み続けた。
それな...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第25話「それが貴女の望みなら」
アイクル
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生徒自治会会議室にて。
目の前に熱い緑茶を出されるが、動くことができなかった。
静寂がちくちく肌を刺す。
そんな状況なのに、飛び級の子は鼻歌なんて歌っていた。
本音デルが、机を挟んで座る。
タバコを灰皿に押しつけると、飛び級の子は鼻歌をやめた。
「ようこそ、生徒自治会会議室へ。
さて、そろそろ話を...優しい傷跡-君のために僕がいる- 第03話「よくねるこ!」
アイクル
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「にゃあ」
処刑当日。
群衆の中に、まがまがしい刃を光らせてギロチンが用意された。
周囲を黒衣の者どもが囲い、民はその外側で期待のまなざしを向けている。
「王女」の死。それは自由への始まりだった。
誰かが死ねば、誰かが助かる。
誰かが死ぬことによって、誰かが喜び、誰かが救われる。
本当にそれでいいの...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第22話「君と生きたい」
アイクル
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カイトさんを捜そうにも、どこから捜せばいいんだろう。
見当がつかない。
灰猫も首をかしげている。
雪子はしかたなく、来た道を戻ることにした。
しかし、いくら歩いても城が見えてこない。
赤い道さえ見失ってしまった。
どうしよう。
「さて、困りましたね」
「…ごめんなさい」
「いいえ。貴女のせいではあり...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第12話「死神のささやき」
アイクル
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今日、変な人に傘を貸してもらった。
いいのかなぁ…って思ってたけど、濡れるのは嫌だったし、
結局受け取っちゃった。
正直、すごく助かった。
すごくお礼を言いたい…。
黒髪に、包帯が印象的なあの人。
すごくきれいな顔立ちだったなぁ。
…でも、どこかで見たことがある気がする。
あれだけイケメンなんだもの...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第15話「君のそばに行くから」
アイクル
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「あ、帯人。部活、何か入った?」
「…雪子は?」
「今のところ、入る予定はないかな」
「そう…」口元がわずかに笑む。
進級した私たちは、クリプト学園で大いに学生生活を謳歌していた。
新学期。
新しいクラスのみんな。
そして何より学園が変わろうとしている。
クリプト学園は理事長の意向により、ボーカロイ...優しい傷跡-君のために僕がいる- 第02話「噂のあの子、現る」
アイクル
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アコーディオン男は笑う。
あの子の歪んだ顔が見てみたいと。
アコーディオン男は笑う。
あの男の歪んだ顔が見てみたいと。
アコーディオン男は笑う。
あの猫の悲しい顔が見てみたいと。
帯人は虚ろな瞳で、ダイヤのアリスをとらえた。
口元に歪んだ笑みを浮かべながら、ゆっくりと引き金に手をかけた。
「さような...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第13話「一輪の薔薇」
アイクル
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ある日、私は盗んだ音楽時計をくわえて走り出しました。
病室に忍び込み、寝ている二人の前で蓋を開けました。
静かな病室が音であふれます。
とても楽しくなります。
彼らがすてきな夢を見られるように、私はいつもこっそり音楽をかけました。
私はたまらなく二人のことが好きでした。
特にリンという少女のことが大...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第26話「すてきな夢をありがとう、さようなら」
アイクル
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狂ってる…。
みんな正気を失ってしまうの?
ミクちゃんみたいに、リンちゃんみたいに。
カイトさんも、メイコ姉さんも、みんな…。
……帯人も、灰猫さんも…?
…嫌。そんなの、
赤い道を進むと、真っ暗な森の中に牢獄を見つけた。
その牢獄には見慣れた背中があった。
メイコ姉さんだ。
「身体年齢十六歳にされ...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第10話「嫌な予感」
アイクル
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かちかちかち。
そんな音を立てながら、懐中時計は青年の手の中で動いている。
青年はその懐中時計を差し出して、人差し指でかちゃりと開けた。
そこには、ひび割れた文字盤があった。
「少々、お時間宜しいでしょうか」
「…あなたはいったい…」
なぜか、目の前にいる《人》が人ではない気がした。
スーツの青年の...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第02話「灰色の猫」
アイクル
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ハァ、ハァ、ハァ。
涙がとまらなかった。
怖くて足が震えた。でも、とにかく前へ。
足を止めたら、駄目だと思った。死んでしまうのは確かだ。
ほんと。…どうしてこうなっちゃったんだろう。
それは数分前。
私と帯人そして灰猫が、鏡音リンと対峙したときのことだった。
血だらけのハクちゃんとネルちゃんを紹介し...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第05話「彼女の悲劇」
アイクル
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光の中に包まれて数秒後、私たちは地面に足をつけた。
まるで霧が晴れていくように、まぶしい光は消えていく。
やっとしっかりとした視覚を取り戻したとき、私はハッとした。
「学校だ」
そこは、クリプト学園だった。
窓の外には満月が顔を出している。
どうやら夜のようだ。
電気が一つもついていない学校は、月明...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第04話「とある少女の庭」
アイクル
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鏡音レンがふと、こちらを見る。
「…あなたは生存者? それとも、リンちゃんの夢?」
首を横に振る。
このとき、初めてレンの声を聞いた。
「自分の意思。俺はいたいから、ここにいる。
リンを一人にできない。…それにここなら、彼女は動ける。
自由に歩けるし、笑えるから」
自虐めいた笑みをむける彼。
そ...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第06話「絶対に助けるから!」
アイクル
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どうして、僕はこんなに震えているんだろう…。
こわい。
彼女は僕を救ってくれた。
僕だけを見てくれた。
僕の罪さえ受け入れてくれた。
彼女は僕の全てだった。
こわい。
でも彼女にとって僕は一部でしかない。
彼女の周りにはたくさんの人がいる。
守りたい人がいる。...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第11話「僕の一番怖いこと」
アイクル
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「…ばか言うんじゃねぇよ」
メイトは扉を蹴破り、ミクをベッドに横にした。
その部屋は今までいた病室とは違い、いろいろな機械が置いてあった。
電源を入れると、画面に不思議な曲線が表示された。
部屋の奥には、ボーカロイドのボディがガラスの箱に入れられている。
携帯で誰かに連絡を取っていた。
きっと電話の...優しい傷跡-君のために僕がいる- 第07話「それぞれの思惑」
アイクル
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暗闇の中で、僕は目を開けた。
輪郭さえ不確かな状態だった。
僕は勇気を出して、一歩ずつ前に出る。
途中で、わずかな光をとらえた。
僕はその光を目指して走った。
「―ッ」
一瞬だけ、雪子の声を聞いた。
なんと言っているのかは解らない。
とても楽しそうな声だった。
光がまぶしくて、僕は目を細めた。...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第14話「僕が消えていく世界」
アイクル
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光を抜け、帯人と雪子は地上へ降りた。
そこはなにもない海岸だった。
これが最後の悲劇の舞台なのだろうか。
「…うん…ぅ…」
雪子がやっと目を覚ます。
しばらく茫然としていたが、自分の置かれている状況を理解すると
いきなり顔を真っ赤にして暴れ出した。
「…どうしたの?」
「な、なんでもないからっ! だ...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第18話「後悔の手紙」
アイクル
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あー、どうしよう。
いきなり道は二つに分かれてしまった。
困った。
地図なんてもっていない。
片方は真っ赤な道。
もう一方は普通の砂利道。
腕を組んで突っ立っていると、頭上から声がした。
それは木の上からだった。
「きゃvvきゃvv」
「わー、わー」...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第09話「クローバーのアリス」
アイクル
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翌日。
雪子と帯人は一緒に学校へ行った。
その日は休日だったから、私服で入校できた。
休日だというのに、人々は多く図書館を利用していた。
私の背の三倍もある本棚に、ぎっしりと敷き詰められた本の数々。
貴重なものまであるらしいけど、あんまり詳しくない。
彼は目をぐるぐるさせていた。
思わず笑ってしまっ...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第01話「伝言」
アイクル
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!注意!
・少しだけですが、流血注意です。
・この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Accident― 第四話
桜宮 小春
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!注意!
この先、KAITOの亜種がいます。
嫌悪感を感じる方は、見ないことをお勧めします。
【亜種注意】―Accident― 第七話
桜宮 小春
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重たいまぶた。
まだ寝ていたい。すごく眠たい。
けれど、それじゃあダメだと頭の中の理性が訴える。
私はゆっくりと目を開けた。
そこは図書室ではなかった。
赤と黄色を基調としたおしゃれな部屋で、西洋のオブジェやアンティークな
小物が並んでいる。
蓄音機から流れるジャズが耳に優しい。
目の前におかれた紅...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第03話「夢の世界」
アイクル
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この物語の先を、私は知っている。
でも解らない。
ねえ、誰を助ければいいの。
王女を?
召使いを?
緑の国の町娘を?
青の国の王子様?
赤い女剣士を?
王女がいなければ、戦争は起きなかった。
町娘も、召使いも死ぬことはなかったのだから。...優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第19話「if...」
アイクル