タグ:弱音ハク
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とある休み時間の事だった。
「たたたたた大変だああああああ!!」
次は自分の得意とする古文の時間なので上機嫌で机から教科書を掘り出していた我の耳に、その声は雷鳴のように響いた。即座に脳から発せられた信号に従い、ほぼ反射的に耳を手の平で覆う。キーンという音しか拾えなくなった耳を押さえながら、我は自分の...巡り会えたこの場所で 6
蘭 久音
第七章 戦争 パート11
ネル率いる緑の国最精鋭部隊である緑騎士団が全滅の憂き目にあった頃、距離にして数百キロ北方に位置する青の国の王宮から、カイト王自らが率いる緑の国の救援軍が総勢二万の兵士を連れての進軍を開始していた。青の国から緑の国へと移動するには、ただひたすら南へと延びるリンツ街道を...ハルジオン35 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
白ノ娘
「ああ、醜いわ!どうしてこの美しい村にこんな白い髪の娘が生まれたのかしら!」
どんなに耳を塞いでも飛び込んでくる。そのたびに涙が溢れそうになった。
ああ、醜い!どうして私はこんなに醜い白なの!
そんなこと、分かっているのに。分かって、いるのに・・・。
消えてしまえたなら、いなくなってしまえた...白ノ娘(派生小説)―①
りうの
緑の国が滅ぼされてから何ヶ月かが立った。
私は港町の教会で新たに暮らし始めた。
革命で王女が死んだと風の噂で聞いた。
彼女と出会ったのは教会の前。
礼拝に行く時に倒れている彼女を見つけた。
「大丈夫ですか」
「はい、おかげ様で。それで・・・」
「ああ、私はハクと言います」
「ハクさん、ありがとうござ...白ノ娘 ③
美花
私達は二人で村を飛び出して、街で暮らす事にした。
街には他の国から来ている人も居て、私のような白い髪でも皆普通に接してくれた。
私達の仕事は裕福な商人の婦人の使用人。
生きる為に選んだ、私達の仕事。
不慣れな生活や仕事でも一緒なら大丈夫。
色々な情報も手に入って、新鮮な暮らしだった。
ある日屋敷で見...白ノ娘 ②
美花
第七章 戦争 パート5
黄の国の軍勢が来襲。
その報告が緑の国のミク女王に届けられたのはそれから三日後のことであった。私室でいつもの様にハクが淹れた紅茶を嗜んでいたミク女王は、ミク女王直属の親衛隊であるウェッジからもたらされた報告に思わずティーカップを手から滑り落とし、床に落下した白磁のそれ...ハルジオン28 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
「生きていてごめんなさい」
いつの間にか人と出会うたび、嫌味を言われるたび言っていた。
口癖になっていた。
弱音ばかり吐いていた、私のちっぽけなつまらない人生。
彼女と出会う事で全てが変わった。
私が住んでいる村は皆綺麗な緑の髪で、髪色に男女の差は無い。
だけど私だけ仲間はずれの白い髪。
母だって父...白ノ娘 ①
美花
第六章 遊覧会 パート6
「アク殿、どちらまで向かわれる。」
リン達と離れ、一番巨大な王族専用の別荘から抜け出したガクポは、前をひたすらに歩むアクの背中に向けてそう声をかけた。近場で会話をするのかと考えていたが、アクは湖の湖畔までひたすらに歩くと、そこで方角を変えて湖畔に沿って歩き出したのである...ハルジオン21 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
「一秒でも早く」ハクの病院へとデルは走った。
病院とデルの働く会社は同じ市内にあると言えど、走るとなるとかなりの距離がある。
デルは複雑に交差する道を何度も曲がり、時につまずいた。だがそれでも痛みを感じている暇などない。というより、今のデルの心は「早くハクの病院に着く事」。ただそれだけだった。
空に...三月の雪 6 【終】
†B†
第六章 遊覧会 パート5
翌日、午前中の時間を使ってリン女王以下の黄の国の一行はオデッサ街道の支線であるパール湖街道を行進することになった。風光明媚なパール湖に到達する為に緑の国がパール湖周辺を覆う森を切り開いて造った街道であるから、その周りは深い森に覆われている。さんさんとその枝葉を伸ばす木々の...ハルジオン⑳ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
息を切らして電車に飛び乗る
遅刻はどうやら免れそうだ
視線を座席へ向けると
貴男が友達と話していた
一目惚れなんて過去にないから
最初は自分に半信半疑だった
今日は高校の入学式
春の暖かさが鬱陶しい四月初旬
貴男は別の高校だった
電車に乗っていても...白日夢
赫鴉 礫
AM4:00
ハクはその日、いつもよりも早く目が覚めた。
ふと窓に目を向けると、そこから見える外はどんよりとした灰色の雲が空一面を覆っている。昨日は雲一つもない晴天で、満月もよく見えたのに、今日は一体どうしたんだろう?
ハクはベッドに付属されている小さなテーブルに置いてある新聞を取った。昨日ハクが一...三月の雪 4
†B†
第六章 遊覧会 パート4
遊覧会は例年一週間の日程で開催される。その前日、事前に遊覧会の準備の全てを滞りなく完了させたミクはようやく公務から解放され、私室に戻るとソファーに座りこんで思いっきり身体を伸ばした。両方の掌を組んで、真上に伸ばしてそのまま背中を反らせる。いつの間にか凝り固まっていたのだろ...ハルジオン⑲ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
ハクが集中治療室に運ばれてから、もう2時間は経っただろうか?
自分では病室でずっと待っているつもりだったのに、デルの足は無意識に集中治療室へと赴いていた。
大きい鉄の扉の上には、『使用中』というランプが点滅している。という事は、まだハクは治療を受けている最中なのだろう。
気を紛らわそうと、近くの自動...三月の雪 3
†B†
翌日。
デルは会社勤めを終えると、急ぎ足でハクの病院へと来ていた。急いだとはいえ、もう時刻は夜の8時を回ってしまっている。
デルは今、ハクの病室の外まで来ていた。
「ハク?入るぞー?」
「うん。」
か細い返事が中から聞こえた。それを確認すると、デルは病室の扉を開けて中へと入った。
入ると、ハクは何や...三月の雪 2
†B†
「はぁ……。」
その盛大な溜息が、沈黙の薄暗い病室を満たした。
「どうしたんだ?溜息なんてついて?」
窓際に立って煙草を吸っていたデルは、そのまま傍らのベッドに向き直った。
そこには溜息をついた女性、弱音ハクがその上半身だけを起こして、何やらうつむいていた。
「ううん、なんでもないよ……」
「何でも...三月の雪 1
†B†
「アカイト…。そう、アカイト」
何度か繰り返して、笑う。
「何だよ、気味悪いな」
思い切り嫌な顔をして、アカイトは少し後ろへ下がった。
「ごめん。あなた、これからどうするの?このまま森にとどまるつもり?」
「とりあえず…。デルはここを出るつもりらしいし、さっきのみたいな人間が出ないとも限らないし...Fairy tale 19
リオン
「危ない、ハク、後ろッ」
「え――?」
赤い目に映る白の白い髪。その瞬間、ハクの目に恐怖が宿った。
「――っぶねぇッ」
二つの声が重なった。
ガンッと音が鳴って、影は下に落ちた。…三つの影が。
驚いて腰が抜けた様子のハクを助けつつ、アリスは影の正体を冷静に判断しようと、ハクの後ろから首を伸ば...Fairy tale 18
リオン
「す、す、すみません…。だから食べないで…」
「くわねぇよ」
気弱な少女に説教をする不機嫌な少年、その横で少女を弁護しようとしている、もう一人の少女…近くに一頭、銀の狼。
「混乱していたんだから、仕方ないんじゃない。無事だったんだから、許してあげてよ」
「うっさい」
「ごめんなさぁぁいぃ…」
こ...Fairy tale 17
リオン
第五章 緑の国 パート3
本来ならば国賓として迎え入れなければならないカイト王の突然の来訪ではあったものの、今回はお忍びという立場をとっている為に盛大な出迎えは控えることになった。それでも相手は大国の国王。無下に扱える訳もないというミクの判断により、自ら緑の国の王宮を囲む内壁正門まで出迎えることに...ハルジオン⑮ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第五章 緑の国 パート2
ミクの私室を退出したハクは、ミクの指示通りにネルとハクを呼び出す為に二階へと向かうことにした。緑の国の王宮の二階は高級官僚の私室や、官僚たちの為の執務室が並んでいるフロアとなっている。緑騎士団騎士団長であるネルも、緑の国唯一の魔術師でありかつ参謀であるグミも二階フロアに居...ハルジオン⑭ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第五章 緑の国 パート1
ハクがミク女王に仕えるようになってから、瞬く間に一カ月の時間が過ぎ去った。近頃はようやく周囲を観察するだけの余裕を持つようにはなっていたが、これまでビレッジの外へ出たことの無かったハクにとって緑の国の王宮は驚きの連続であった。ミクの統治する緑の国は、ミルドガルド大陸の南東...ハルジオン⑬ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
森はただひたすらに奥へと続く。
奥へ奥へと進んでいけばいくほど、次第にあたりは暗くなっていった。森の奥が暗いのか、それとも時間が過ぎて暗いのか、自分の気持ちで暗く思えているだけなのか、ハクには分からなかった。ただ、混乱していたのだ。
おばあさんが死んでしまった。
優しかったおばあさんが死んで...Fairy tale 16
リオン
「おばあさんの家は、こっち…」
道案内をしながら歩いていくハクは、いつのまにか息切れをしていて、横で歩いているアリスも段々と心配になってくるほどだ。元々体力のあるほうではないのだろう、無駄な贅肉がないぶん、筋肉もないように見える。
「大丈夫?」
「大丈夫です…。あ、こっちです」
随分と歩いてきた...Fairy tale 15
リオン
「ノイズ」
無音の筈の部屋、布団の中。左に目をやるとうっすら光るデジタル時計、23:56。
隣の部屋から番組のEDらしき音と「また来週」の声。続くタイミングの出来過ぎた拍手。
耳障りだが、騒音と呼べる程のデシベルではなく、抗議する気持ちもなく、ただ
「……」
というホワイトノイズのような気持ちが流れ...【超短編】ノイズ【小説】
揚げ餅P このもちさくや
ズキズキと頭が痛むのにも慣れてきた。三回目ともなれば、普通はそういうものなのかもしれないが。
辺りは双子のときよりもいくらか明るい森が見える、小さな家の横の茂みで、アリスは思い切り尻餅をついて、図らずして身を潜めるようにした。
「あれ、えっと…あの二人はどこだろう?」
大体過去に飛んだときのこ...Fairy tale 14
リオン
暗い森を抜けると、その先には白く長い髪を黒と青のリボンで結んだ、炎のような赤眼の女性がいた。辺りは草原、いくつかの道が分かれその道の真ん中でおろおろと落ち着きなく右往左往している女性の姿は異様といえば異様なのであった。
そして、女性はアリスに気がついて近寄ってくると、情け泣く眉を下げたままアリス...Fairy tale 13
リオン
第三章 千年樹 パート 4
ハクはその後、自宅に戻るまで結局一言も言葉を発しなかった。重たい沈黙を感じながらミクはハクに続いてハクの自宅に再び侵入し、そして自宅の扉を閉めた。ぱたん、という小気味の良い音がミクの耳朶を軽く打つ。そのままドアノブから手を話したミクは、うな垂れたままのハクの背中を見つめ...ハルジオン⑩ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第三章 千年樹 パート3
少し、寝坊したかしら。
そう思いながら、ミクは寝台から起き上がり、上半身を思い切り伸ばした。心地よく身体が伸び、それによってまだ目覚めていない細胞が活動を開始するシグナルを感じてからミクはベットから降りた。ハクと同じベットに寝ていたはずだが、ハクの姿はない。朝の準備に出...ハルジオン⑨ 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
「亜美達が人質とは…考えたわねぇ」
結衣は溜め息を吐く。
「唯一のサポート型だから…痛いな」
梓も溜め息を吐く。
「あの」
カイトが口を開く。
「どうした?」
梓はカイトを見る。
「俺を改造して下さい」
「…は?」...闇にレクイエムを___敵?
【梓】紫姫【花梅】