抹茶丸の投稿作品一覧
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戸惑っている手を貴女にかざすことを
いつもとても怖がっていて
知りたいのに何もできずにいる
僕はまるでもう馬鹿になったみたいだ
大切にしようとして失いたくないから
そんな綺麗事のせいにしていた
曇る窓の淵に背中を預けて
既に発とうとする足取りに見惚れ
続いている日々は平行を辿っていたんだ
きっと僕ら...窓光
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諦めかけの渡すはずだった言葉
未だに固まることのない意思
参照できないスペルに困っている
きっと気付いてないだけだろうか
自分へのこの回答は受け入れず
奥底に仕舞い込んだままにしてる
ただ時間を費やしても変わらない
それでも惹きつけられる仕草に
起きればいいと奇跡を願って
未だに決められずにいるけど...signal
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残された放物線を斜め後ろにかまえて
取り戻せやしない色付く景色に当てる
暗がりでも微かに灯る轍
楽しいかどうかは考えていない
そんなことどうだってよかったんだ
幻にも程遠いくらいに
やけに差し込んでいる光が
凝らす目に焼き付いて離れない
とてつもなく苦しくなって
覚えてさえもいない陽射しの下で...Jonathan
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結局誰もがいつかは離れ居なくなってしまうだなんて
そんなことを当たり前のように思ってる
おかしいくらいにそれを笑ってくれる
誰かが居てくれたらっていつも考えてた
みんながみんな同じ人じゃない
わかりきっていたようでわかっていなかった
そんなことは胸の奥に沢山抱いてたんだ
それなのに何にもできずにいる...みんなのうた
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「きっと誰も彼も恐らく同じさ」
堤防沿いに散る花火の残骸が
あの一瞬にして消えたなにかを
彷彿と思い起こさせるだけ
上書きされる新しい時間と
同時に差し替えられていく
段々と錆びついている微動が
いつまでも明けない夜を蝕む
古びた高架線の下で君に話す
実にこれといって他愛の無い話...夜陰
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不意に身体を背けたときに限って
あなたは恐らく眺めていただろう
ほんの微量の恍惚の眼の先
僕は少なからず感じていた
押し付けられている欠如した
分かり合えない興味を
いつものように片隅に追いやって
何回も脳裏の中で打ち消すばかりだ
それでも揺さぶり続けるあなたの
視線の届く先にあるその帯びた熱...熱源
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大人になった今でもそう とっくの昔に
錆びついた線路からはみ出して
ひしめき合う鮮やかな町に
酷く歩き疲れたあの三番線を背にして
もっと遠く向こうの方へ
煩わしいのはもう忘れよう
「今、君は何を感じているの?」
騒ぐ胸の内に秘めた焦燥がうねる
段々と冷める前に熱を帯びてく
木陰にどっと倒れ込んでいた...口枷
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赤裸々に頷き 手を取り合う
戻ってくる動揺が少し苦しい
問答無用に驚くまでもなく
進んでいく時間に抗えずにいて
「きっとこれは君がくれた真実
まるでそのもののようだ」と
少しは勘づいてはいたんだ
積もりに積もった昔日に
晴らしていく飛行機雲を割って
その間に君の背中が重なる時...coma
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胸につかえた肯定的な定律を
最もらしく丸ごと飲み込んでいく
交錯する純情の一欠片
幸福の在り方なんてものは
互いの価値観の相違だけで
簡単に崩れていくんでしょうか
至って知りもしない
居たって理解も出来ない
強いて言うなら人間なんて
そんなもんなのだろうかも...殺し文句
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降りしきる大きな銀の雨粒
抜け出せない二日酔いの青さ
うねる桟橋の上で踊るみたいな
ふらふらおぼつかない足元
断片的に隅に残していた
形のない記憶を呼び起こそう
消し炭になりかけた水晶体に
命を吹き込むように一閃差した
させてくれるくらいには
まだ甘い綿菓子のよう...apogee
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利己的な愛を追い求めていた
思想犯はいつも同じ感覚を
明滅するかのように繰り返す
いつしかひと欠片の情けを
花言葉になぞらえて願う日々
勝手に疲れてく曇る心像
意味を持たない駆け引きは
もう夕暮れ前に隠れた
ほんの少しの悪戯だった
目の前の視界が崩れていく...心像投影
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「今日だけはずっと一緒だね」
つかず離れずの部屋にいた
いくら自由を謳っていても
成れの果てにはまだサナギさ
それでも気にしてなんかないよ
これから少しだけ歌ってみせるから
だからどこまでだって行けるよ
笑って泣いて怒っていたんだ
伸びていく背丈が君を越えなくて
平行な日を繰り返したとしても...bathroom
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「もうなにも癒えやしないな」
無くなったせいで閉じゆく眼
「もうそれじゃあまたね」
青い雨粒はあの空に返ったね
足跡を辿ってもいつまで経っても
着けやしない君が手を振る景色
結んでも解けていく合間を
僕だけが呆けて見つめているんだ
きっと言わなくたっていいかな
きっと君は覚えていないんだろうな...まほろばの足跡
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何も見えない明日だとしても
顔を上げれば見えてくるだろう
こうして歩き続けるのに
確からしい理由なんていらない
二つのドアを両手で押し開ける
考えるよりもずっと早く
戸惑いさえも振り払って
そこにたどり着けると信じていたい
身体を震わせながらでもいいんだよ
きっとどこまでも行けるはずだから...walk on
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その手振りで指し示す弱さが
こめかみに当てた銃口を認めてる
静かに過ぎ去る言葉に貫かれ
膝を折り畳んだまま口を噤んだ
声をあげることも無く鳴いてた
息を詰まらせ彷徨い落ちた指針
思いの丈を片方の肺に流し込んで
小さく吐く息を白くした君は言う
「どうかこの季節を忘れないで
とても短いでしょうけれども...ディアスキアと古時計
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青い空の神さまのいない
誰でも当たり前につけるような
そんな単純なものじゃなかった
真実とは程遠い初めの嘘
時刻表に影法師が差し込んで
ふと胸の奥に痛みが走る
むせ返るような草花を
掻き分けて見えた黄色いぼんやり
下手に笑っても見抜かれて
上手に泣いても思慮されて...四月一日
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言葉のまやかしなんて効き目が無いさ
もう捨てるだけ捨てて行けばいい
指をくわえて待っていたとしても
その縫い目は粗いままで
癒えずにいた糸の酷い絡まりは
とても解ける気がしない
跡形も無く消え去ってしまうだろう
柔らかな飛び立った白い羽根
君の周りに佇む輝きに手を重ねたら
その美しさに戸惑うんだ...curtaincall
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こんなにも空っぽなのかと
中身の少ない頭を振る
東面は冴え渡ることはや十分
かかるまでには大丈夫かな
宙に反射してる身体が
ひとつになれば楽になれるさ
ただほんのちょっとばかし
不安な気持ちを抱くけれど
振り返ればたくさんのことが
覆い被さっていたんだ...矛先、波止場へ
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生きててそんなに滅相も無い存在定義は
段々なんとなくと気付いてはいる
止まったり歩いたりしてるせいか
歩幅も狭まって誰かの背中を追いかける
心の隙間をちょっとだけ穴埋めできないだけ
ほんの少し程度なら笑って終わってしまえよ
すり減らした昨日とそれさえも咎めた経年
それでも選んできた日々を諦めてはいな...経年
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別に誰に何を言われてもなにも
微塵も感じないくらいに麻痺してる
満たされない心の内に秘めた
乗り継ぎのハイウェイ
跳んで跳ねて取り戻せるかな
まだなんとも言えないけれども
きっとそう何処か似通って
出来ている形を持っているんだ
黄金に照りだした日差しの中
特に面白みの無い坂を下ってく...黄金
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段々と毒が身体を巡る頃に
君が視界から消えていくのは
赤く腫らした目に映るのは
きっと僕らがどこか他人だから
醒めた酔いの虚しさが胸につかえる
とても苦しくて辛いままだ
「大好きな人をほんのちょっとでも
救うことはできたのかな」
少しでも君が幸せになれるのならば
それでいいんだよ...ソラニン
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彼方に降り注ぐ星の数々
暗い夜空に泳ぐ光の束
後出しの素振りに欺かれて
君がしたいだろう駆け引きに望む
僕の抱えていた思いは
凍り付く夜に放たれていく
言葉に詰まり手を伸ばしても
愛がもつれて何もできない
終わったような嵯峨をいつまでも
追い求めているのは...カタストロフ
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欠けた花びらをなぞるしかない
掻き慣らした言葉さえ思い出せない
響いた声の青さを振り返りもせず
ただ舞い散る色を見つめていた
繰れるように時が経ち流れ続ける
静かに見上げる寂れた目に写る
あまりにも華美すぎたその横顔に
瞬きまでも許されなかった
まだ捉えることさえままならない
離れている貴女をよく知...四畳半
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暗くなった瓶の底を覗いてみたり
明るくなった窓硝子に身を寄せたりしていた
心療内科のいつもの場所で
何一つ考えもせずに吹かした煙草は
少しだけ甘い味がしたんだ
ふと突き刺すような胸の痛みに
瞬間的な哀楽を覚えていながらも
静かに音を立てている風に
なびく黒い髪と白い煙は
焦り繰り返す深化を緩めている...瓶の底と窓硝子
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微弱な寒さに微かに緩んだ眼
心の捩子が少し外れたままだった
風化する心の奥底にうごめく
あの標識記号を指し示すみたい
取りこぼした残像の影
つまらない遊びをしているかのよう
止まない風の匂いにつられても
まだ後ろは振り向けないけど
斜めに傾く身体は
いつもの通りに震えている...terren
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「もう一度、もう一度だけでいいから」
そんな言葉をこぼしていた
貴女の影を跨ぎたかった
ただそれだけだったんだ
失うことを頭の片隅のどこかに
そっと音も立てずに置いていた
ふっと吹いた髪を撫でるような
青い風で気が付いたんだ
すべてが空に舞ってしまう頃には
見えていた暮明も消えるだろう...零
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(Aメロ)
震えながら何度も振り切った真夜中に
終わりを告げる切ない鐘が鳴る
通り越したような気がした小さい
背中はとてもまだ幼いようだった
光を背にして歩みを進めていく
上書きされていく記憶の裏にある
さよならを言った夕陽は
どこかできっと顔を出すのかもしれない
(Bメロ)...鐘鳴く夜半
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とても重たいような眼の裏側
閉じゆく前に遠い影が写り
歪な体温だけを残してゆく
そんな瞬間に傾いていた
ずっとそれを放っておくのは
たぶんいけないだろう
そのままにしておいたらきっと
好きも嫌いも無くしてしまうから
終わりを迎えるだろうこの陽に
何度でも戸惑うんだ...セルマ
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追い越せないと嘆いた背中を合わせた
狂ったように手を振り下ろしてみても
何一つ拭い去ることはできないだろう
欠け始めていた夕景を見つめている
君にとっての昏い理由もいずれは
静かに沈んでいく心中のなかに
いつかまた来るはずだった陽射しも
同じようにうやむやになって
「朝になったら僕らは会えるのかな?...pareidolia
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(Aメロ)
冷たさがまだ肌を撫でるみたいに
絡まって離れずにいるその手を握った
未だに求め続けていただけなのに
こんな気持ちに巣食われてたんだ
一瞬柔いその表情で私は
ある夏の日の抜け殻を見つめた
(Bメロ)
ほんの些細な胸のむかつきに
小さく頷きながらも...アイシクル