ブクマつながり
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四人で遊園地に行った翌朝、俺は落ち着かない気分で目覚めた。今日は月曜だ……。そういや、『憂鬱な月曜日』って歌、あったなあ。断っとくけど、死にたいわけじゃないぞ。
ベッドから抜け出して一階に下りる。洗面所に行って顔を洗い、居間へ行く。台所では、姉貴が朝食の支度をしていた。
「おはよう、姉貴」
「お...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十三話【真実はいつも少し苦い】前編
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
レンの姉、メイコの視点で、外伝その八【あの子はカモメ】外伝その九【突然の連絡】の続きです。
この作品に関しては、『アナザー:ロミオとシンデレラ』を第二十三話【真実はいつも少し苦い】まで読んでから、読むことを推奨します。
【シンデレラ...ロミオとシンデレラ 外伝その十【シンデレラごっこ】前編
目白皐月
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巡音さんが言葉どおり『ピグマリオン』を貸してくれたので、俺は休み時間や、部活が始まるまでの短い時間に、最初の方を読んでみた。……映画を見た時はそこまで感じなかったけど、ヒギンズ教授って相当性格イタくないか? まあ、そこがギャグとして機能してるんだろうが……。お前はだだっ子かよ、と突っ込みたくなる部...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十五話【自分はありふれた人間】
目白皐月
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「巡音さん、ちょっといい?」
水曜日の放課後、俺は巡音さんにそう声をかけた。
「……鏡音君、どうしたの?」
とりあえず、また以前のように話せるようにはなっている。……これでいいんだよ、これで。……多分ね。
「実はちょっと相談に乗ってほしいことがあって」
「え……わたしに?」
心底驚いたといった...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十四話【ショウほど素敵な商売はない】
目白皐月
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普段より早く自宅を出たので、当然、学校に着いた時間も早かった。とはいえ、もう開いているので、教室に入って自分の席に着く。……まだ誰も来ていない。
わたしはがらんとした教室を見回した。……鏡音君の席が目に入る。途端、また、昨日のことを思い出してしまった。ああもう、いい加減にしないと。鏡音君と顔をあ...ロミオとシンデレラ 第二十六話【アングルド・ロード】後編
目白皐月
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姉貴に『エンダーのゲーム』を渡して、俺は学校へ向かった。学校に着いて教室に入ると、いつものように自分の席で本を読んでいる、巡音さんの姿が目に入った。……どうしたもんかなあ。向こうは本に集中しているので、俺のことには気づいてない。けど、ここで声をかけないのは、それはそれで「昨日のことを気にしてます」...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十三話【真実はいつも少し苦い】後編
目白皐月
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わたしの立てた作戦は、概ね成功したと言えるわ。リンちゃんも鏡音君も、遊園地に行くことをOKしてくれたし。クオは相変わらず「上手くいくわけないだろ」って態度だけど、それは教室の二人を見てないからよ。ちゃんと仲良くなってきてるんだから、後もうちょっとで、いい感じになれるわ。間違いない。
リンちゃんの...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十二話【遊園地でのミク】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの次姉、ハクの視点で、第十九話【死ぬ前に一度は生きてみたい】の直後の話です。 よってこの作品を読む際は、『ロミオとシンデレラ』第十九話【死ぬ前に一度は生きてみたい】までと、外伝その八【あの子はカモメ】を読んでから、読むことを推奨しま...ロミオとシンデレラ 外伝その九【突然の連絡】前編
目白皐月
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次の日、わたしは『ピグマリオン』を鞄に入れて登校した。鏡音君が登校してきたので、本を渡す。本を受け取った鏡音君が喜んでくれたので、わたしは少し安堵した。少なくとも、一つはいいことができた。
その日の昼休み、いつものようにミクちゃんとお弁当を食べていたわたしは、ふと思い立ってミクちゃんに訊いてみた...ロミオとシンデレラ 第二十八話【わたしには姉さんがわからない】
目白皐月
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「あ、あの……?」
思わず、そっちを見てしまうわたし。
「あ、ああ、ごめんごめん……気にしないで……」
言いながら、相変わらずお姉さんは笑っている。鏡音君が、ちょっと呆れた声をお姉さんにかけた。
「姉貴、何がそんなにおかしいわけ?」
「だって……この主人公、あまりにもわかりやすすぎるバカやってる...ロミオとシンデレラ 第十八話【何がわたしの心をひきつけるの】後編
目白皐月
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とまあ、そういうわけで、俺たちは四人で遊園地に行くことになった。巡音さんは四人で行くという話を全然聞いていなかったらしく――ミクの奴、絶対わざと伏せてたな――呆然としていた。更に俺の方はレンに妙なことを言われたが、真面目に相手をすると俺が精神的に疲れそうだったので、適当な返事だけしておく。
遊園...ロミオとシンデレラ 第二十五話【遊園地でのクオ】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ルカが小学校の時に、課題でつけていた日記を抜粋したもので、時期としては日記のつけはじめ~最初の継母が出て行くまで(ルカが三年生の春)となっています。
なお、ルカは小学生ですが、家庭教師について幼稚園の頃から勉強していたために、そこそこ...ロミオとシンデレラ 外伝その十二【ルカの日記】前編
目白皐月
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わたしはその日、授業を受けながらクオのことを考えていた。クオがあの男の子に「ミクにちょっかい出すな」と言ったのは、わたしのことを心配してのことだろう。それは間違いない。それ意外に、クオがそんなことをする理由、ないもの。
でもじゃあ、クオはどうしてあの男の子をけしかけるような真似をしたのかしら? ...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十五話【ミクのお茶会】後編
目白皐月
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自分の教室に入って席につくと、ようやくわたしは少しだけ落ち着いた。ミクちゃんは自分の席から椅子を引きずってきて、わたしの向かいに座っている。
「災難だったね、リンちゃん」
「……うん。ものすごく驚いたし……怖かった……」
一体何だったんだろう、さっきの人。思い出したらまた気分が悪くなってきた。
...ロミオとシンデレラ 第三十六話【もう飛ぶまいぞ、この蝶々】後編
目白皐月
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あれ以来、レン君はわたしに、CDや本を貸してくれるようになった。少し後ろめたい気持ちはあったけれど、わたしは好奇心に勝てず、そういったものを貸してもらった。今まであまり聞いたことのなかった音楽や、読んだことのなかったタイプの本。世の中には色々なものがあるのだと、改めて気づいた。
お返しというわけ...ロミオとシンデレラ 第五十一話【恋はハートが決めるもの】前編
目白皐月
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それからしばらく、俺たちは戯曲の話をしたり、公園を散歩したりして過ごした。巡音さんも午後になると多少は気分が上向いてきたらしく、笑ってくれるようになった。
三時になると、巡音さんは淋しげに「もう帰らなくちゃ。今日はありがとう」と言って、帰って行った。……本当のことを言うと家まで送って行ってあげた...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十二話【疑問は多くあれど答えは少ない】
目白皐月
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俺の計画は、あっさり破綻した。昼休みにミクからメールが届いたのだ。「鏡音君がリンちゃんに話してるのを聞いたんだけど、演劇部お休みなんだって? 一緒に帰れるね」と書かれている。レンの奴、巡音さんに部活が休みになったこと喋ったのかよ! あいつ、何てことしてくれたんだ! 意趣返しのつもりなのかっ!? き...
ロミオとシンデレラ 第三十八話【クオの後悔】後編
目白皐月
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わたしが幾ら悩んでいても、朝はいつもどおりやってくる。憂鬱な気分で起きだしたわたしは、洗面所で顔を洗うと、部屋に戻って制服に着替えた。鏡を見ながら髪を梳いて、リボンを結ぶ。学校……行ったら、鏡音君に会うわよね。同じクラスだもの。
どうしてわたしは、鏡音君に迷惑ばかりかけ倒しているんだろう? 事の...ロミオとシンデレラ 第二十六話【アングルド・ロード】前編
目白皐月
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結論から言うと、わたしの怪我は大したことはなかった。脳の映像を撮ってもらったりしたけれど、異常は何もないということで、一週間で家に帰れることになった。土曜日の午前中、お母さんが迎えに来てくれて、わたしは多少の怯えを感じながらも帰宅した。
お母さんは、ミクちゃんのお見舞いのことについては、特に何も...ロミオとシンデレラ 第四十八話【一人離れて行く者】
目白皐月
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年が明けた。わたしは、重たい気分で目を覚ました。今日は元旦だから、家にはお客さんが来る。毎年の恒例行事。
朝食を食べた後、わたしとルカ姉さんは、お母さんに着物を着せてもらった。ルカ姉さんは濃紺に梅の柄、わたしのは淡い緑に福寿草の柄だ。
正確に言えば、着せてもらったのはわたしだけで、ルカ姉さんは...ロミオとシンデレラ 第五十七話【こうもりワルツ】
目白皐月
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月曜の昼休み、俺はミクから、巡音さんが階段から落ちて、入院する羽目になったと聞かされた。
階段から落ちただけならドジだなあ、で、済むが、入院となると大事だ。何だってまた、と思ったが、ミクも細かい話は聞いていないらしい。
「そういうわけだから、わたし、放課後はリンちゃんのお見舞いに行ってくるわ」
...ロミオとシンデレラ 第四十九話【クオ、部活にて】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
『アナザー:ロミオとシンデレラ』の方に登場した、メイコのボス、マイコ先生の弟のカイトの視点です。
この作品に関しては、『アナザー:ロミオとシンデレラ』を第四十三話【君に出あってからは旋風のようで】まで読んでから、読むことを推奨します。
...ロミオとシンデレラ 外伝その十五【カイトの悩み】前編
目白皐月
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次の日、わたしはいつもと同じ時間に登校した。昇降口に入った時は、ちょっとだけ怖さを感じたけれど、もうあの男の子もいなかったし……。
教室に入って、本を開く。今日持ってきたのは、ジョルジュ・サンドの『愛の妖精』だ。フランスの農村を舞台にした、双子の兄弟と風変わりな少女の恋の話。
「おはよう、巡音さ...ロミオとシンデレラ 第四十話【空想の虹はすばやくかききえる】
目白皐月
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ハク姉さんとひと悶着あってから二日後。放課後に、鏡音君がわたしに声をかけてきた。
「巡音さん、ちょっといい?」
「……鏡音君、どうしたの?」
例の「好き」と「嫌いじゃない」の話のおかげか、わたしたちは、また普通に話せるようになっていた。……ミラーハウスでのことは事故だったと思って、忘れた方がいい...ロミオとシンデレラ 第二十七話【お芝居には恋愛が必要】前編
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの長姉、ルカ視点の短編で、彼女がまだ子供の時の話です。
ちなみに……ルカが相当アレですので、そういうのでも構わない、という方だけ読んでください。
【わたしはいい子】
ある日のことだった。わたしがお部屋でお勉強をしていると、パパが...ロミオとシンデレラ 外伝その一【わたしはいい子】
目白皐月
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月曜日、リンちゃんの席はまた空だった。またお休みかあ……心配になったので、メールを送っておく。ついでにクオにも、お昼のお誘いをかけておいた。
昼休み、わたしが携帯をチェックすると、リンちゃんからメールが入っていた。「ごめんね、ミクちゃん。実は階段から落ちて入院することになったの。でも大したことな...アナザー:ロミオとシンデレラ 第四十四話【ミクとお見舞い】
目白皐月
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火曜日。めまいは治まったので、学校に行こうとしたのだけれど、お母さんに止められてしまった。
「昨日倒れたのよ。リン、大事を取って今日も休みなさい」
「……もう平気よ」
「いいから、今日は家にいなさい。学校には連絡しておくから」
結局、わたしは休むことになってしまった。何だかちょっと後ろめたい。朝...ロミオとシンデレラ 第十三話【わたしの魂は空虚で】
目白皐月
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巡音さんと話をしたその日の夜、俺は姉貴に日曜の予定について訊いてみた。
「日曜? 出かける用事も無いし、家にいるつもりだけど」
それが、姉貴の返事だった。
「じゃ、その日は家にいるんだ。俺、日曜に学校の友達を家に呼ぼうと思ってて」
「邪魔だから出かけててほしいってこと?」
「逆。家にいてくれ」
...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十三話【来て一緒に歩こう】
目白皐月
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月曜の朝、わたしが教室に入ると、リンちゃんが鏡音君と話をしていた。見た感じだと、前よりもリンちゃんは打ち解けてきているみたい。……やったわ! クオにはお前の作戦全然効果なかったじゃないかとか言われたけど、なんだかんだで距離は縮まっていたのね。
わたしがリンちゃんにおはようと声をかけると、鏡音君は...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十八話【ミクの奔走】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
外伝その二『ママ、かえってきて』から、三年後のハクを書いたもので、こちらもハク視点となっています。
三年生になったので、少し漢字が増えました。
【やさしいうそと、むごいうそ】
あたしたちの、新しいママだという、カエさんという人が来て...ロミオとシンデレラ 外伝その三【やさしいうそと、むごいうそ】
目白皐月
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「……生きた人間が出てこないお芝居は演じにくい?」
ちょっとふざけて、わたしは鏡音君にそう訊いてみた。
「人生を描くには、あるがままでもいけなくて、かくあるべきでもいけなくて、自由な空想に現れる形じゃないといけないんだよ」
あ……わかるんだ。何だか嬉しい。
「お芝居には恋愛が必要なのよ」
そこ...ロミオとシンデレラ 第二十七話【お芝居には恋愛が必要】後編
目白皐月
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お母さんはまだ心配そうだったけれど、わたしはもう大丈夫と何度も言って、この日は学校に行った。
学校に着いて教室に入ると、わたしはいつものように持ってきた本を広げた。そう言えば、この本は何だったっけ……。思わず本の表紙を確認してしまう。ガルシンの短編集だった。……なんでこんな本、持って来ちゃったん...ロミオとシンデレラ 第十五話【その耳に届くただ一つの調べがあれば】
目白皐月
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの次姉、ハクの視点で、彼女の実母が出て行く前~出て行った後のエピソードです。
年齢を考えてひらがなばかりにしたので、読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。
【ママ、かえってきて】
さいきん、ママがなにかおかしい。ぜんぜん...ロミオとシンデレラ 外伝その二【ママ、かえってきて】
目白皐月
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その日の夜、俺は晩飯の後で、姉貴に訊いてみた。
「今日、クオから映画のDVD借りてきたんだけど、姉貴も見る?」
「何借りたの?」
「『ブレインデッド』ゾンビ映画。ピーター・ジャクソン監督」
ちなみに、姉貴は変な映画が結構好きだったりする。弟の俺でも、姉貴の映画の趣味をはっきりとは把握していない。...アナザー:ロミオとシンデレラ 第五話【ブレインデッド】
目白皐月
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リンの抱えた問題を話し込んでいたせいで、この日は戯曲の話を進めることができなかった。リンは例によって散々恐縮していたが、原因の一端は俺にあったわけだし、それにリンが安定していないと作業どころじゃない。
さてと、どうしたもんかな……明日また部活休むか。とはいえ、リンの方の都合もあるよな。それを聞い...アナザー:ロミオとシンデレラ 第四十一話【君のための歌】
目白皐月
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わたしが立てた作戦は完璧だった。まず、わたしがリンちゃんを「映画でも見ない?」と言って家に呼ぶ。そして同じ日に、クオがやっぱり映画を口実にして、鏡音君を連れてくる。後はわたしとクオが喧嘩をする振りをして、二人だけ部屋に残して出て行ってしまうのだ。これで、リンちゃんと鏡音君が部屋の中で二人っきり、と...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第四話【ミクの不満】
目白皐月
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「だってフレディって、何の役にも立ちそうにないじゃないか。確か定職ついてなかっただろ、あいつ。そんな甲斐性なしと一緒になっても、幸せにはなれないんじゃないの?」
鏡音君はきつい口調でそう言った。役に立ちそうにないって……。確かにタクシー捕まえられなくて、母親と妹に呆れられたりしているけど……。どう...ロミオとシンデレラ 第二十九話【愛される権利】後編
目白皐月
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折角巡音さんとまともに話せたと思ったのに、帰宅後に姉貴が余計なことを言い出したせいで気分がぶち壊しだ。その日の夕食の際、俺は姉貴と全くといっていいほど口をきかなかった。大体、この状況で話せることなんかあるわけない。姉貴も一言も喋らなかったので、おそろしく寒々しい食卓となった。
そして翌日。姉貴の...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十七話【暗い表情の君を見たくない】
目白皐月
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「ついでにさ、あの人は変なところでプライドが高いから、目の前にいるイライザのことをちゃんと認めてあげられないんだよ。イライザのことをいつまでも花売り娘ってバカにしてるけど、家のあれこれを任せてたってことは、本当は信頼してたってことだろうし」
ただの花売り娘だったら、あんな短時間でちゃんとした貴婦人...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十六話【望むのはどこかの部屋】後編
目白皐月
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例のしつこい子も、それ以上後を追いかけてくるようなことはなかった。まともな感性の持ち主なら、この後はむしろ逆方向へ行くだろう。しつこい子はともかく、ユイとチカはまともなはずだし。
充分距離を取った辺りで、俺は巡音さんの肩を抱いた腕を外した。巡音さんはまだ顔が赤い。
「……ごめん、変なことに巻き込...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十話【青春の光と影】前編
目白皐月
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その数日後の部室で、私はハクちゃんとたまたま二人になった。
「そう言えばハクちゃんのお母さん、珍しいわね。普通、レギュラー陣でもなかなか応援に来ないのに」
スポーツに力を入れているエリート校なら親も気合いが入るだろうけど、うちのような平均レベルの高校では、レギュラーでも応援に来るのは少数派だ。レ...ロミオとシンデレラ 外伝その八【あの子はカモメ】後編
目白皐月
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クオの家で映画を見てから、数日が経過したある日。俺は学校の図書室で『RENT』のサントラを聞きながら、歌詞をチェックしていた。この前見た舞台は字幕がいいかげんで、話の意味を取りづらかったんだよな。そんなわけでネット通販でサントラを購入したんだが、歌詞カードがついていなかった。幸い、歌詞を全部載せて...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第六話【檻の虎に太陽を見せて】
目白皐月
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その日の夜遅く、わたしは自分の部屋でぼんやりとしていた。頭の中には、色々な考えがとりとめもなく渦巻いている。その考えは、大きく分けると二つ。片方は、鏡音君のことだ。どうして、今日は態度が妙だったというのかということ。何かした憶えはないけれど、わたしは人の心の機微には疎いから、気がつかないうちに何か...
ロミオとシンデレラ 第四十二話【辛すぎる忍耐は心を石に】後編
目白皐月
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昨日リンちゃんはわたしに電話をかけてきて、今日、鏡音君と作業の続きをしたいので部活を休んでもいいかと訊いてきた。もちろんOKに決まっている。無理して出なくてもいい部活だしね。わたしとリンちゃんは、どっちも英会話部に所属していて、わたしが部長、リンちゃんが副部長を務めている。他の部員のうち、半分ぐら...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十八話【ミクの見解】
目白皐月
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帰宅すると、家庭教師の先生はもう来ていた。制服を脱いで私服に着替え、勉強道具を持って学習室に移動する。
学習室はそこそこの広さがある。何年か前までは、姉妹三人でここで揃って勉強していた。今は、ここで勉強するのはわたし一人だけ。ルカ姉さんはもう社会人だし、ハク姉さんは部屋から出てこない。
……だ...ロミオとシンデレラ 第九話【ロウソクに火をください】
目白皐月
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俺の肩にもたれて眠っていた巡音さんが、不意に身動きした。……あ、目が覚めたのかな? 見守っていると、巡音さんが目を開けて身体を起こした。二、三度まばたきをして、ぼんやりと辺りを見ている。寝起きで頭がはっきりしていないらしい。
「あ……巡音さん、起きた?」
声をかけると、向こうは弾かれたみたいにこ...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十一話【全て同じというわけではないけれど】
目白皐月
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土曜日の夕方。俺が自分の部屋で課題を片付けていると、携帯が鳴った。かけてきたのは……クオか。
「もしもし」
「よう」
「どうした?」
「ああ……えっと、お前、明日暇か?」
なんか歯切れ悪いな。いつもならもっと立て板に水みたいに話すのに。
「暇だよ。晩飯作らないといけないから、それまでだけど」
...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三話【何故ならそれこそが恐怖だから】前編
目白皐月
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月曜の朝、学校に行く前にハク姉さんに声をかけてみようかと思ったけれど、誰かに見咎められるのが嫌で、声をかけることはできなかった。お父さんやルカ姉さんとばったり会って、何をやっているのか訊かれたら答えづらいし……。
ちょっと暗い気分でわたしは朝食を食べ、学校に向かった。教室に入り、自分の席に座る。...ロミオとシンデレラ 第二十話【どうか扉を開けさせて】
目白皐月
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いいものなのか、嫌なものなのか。作品ごとに褒めてあったりそうでなかったりで、わたしには余計にわからない。
「うーん……俺とユイは中三の時に委員会が一緒で、それで仲良くなって、秋頃にユイが『好きでした』って言ってきて、それでつきあおうかって話になったんだけど、何せ中三の秋だろ。受験に追われてろくにデ...ロミオとシンデレラ 第二十三話【恋とはどんなものかしら】後編
目白皐月
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期末が終わると、わたしは家中をクリスマス仕様にする仕事に取り掛かった。もちろん全部の部屋じゃないけれど、お客様が入る可能性のあるところはできるだけ飾り付ける。当然、クオにも手伝ってもらった。努力の甲斐あって、とても素敵な出来栄え。お父さんとお母さんも「ミク、今年はすごいわね」と褒めてくれた。
そ...アナザー・ロミオとシンデレラ 第五十一話【ミクとミスルトゥ】
目白皐月