ブクマつながり
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注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
外伝その四十【夜更けの出来事】のレン視点のエピソードになります。
また、外伝その三十九【家族の定義】のネタバレを含みますので、そこまでの話を読んでから、読むことを推奨します。
【心安らかなる時を】
夜、俺は居間で雑誌を読んでいた。...ロミオとシンデレラ 外伝その四十三【心安らかなる時を】
目白皐月
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思い余った私は、ガクトさんに電話をかけてしまった。といっても今は仕事中だから、「時間が空いたら少し話がしたい」とあらかじめメールをしてからにする。ガクトさんからはすぐ電話がかかってきた。
「どうした。ルカ、何かあったのか?」
「あ……その……今、時間いいの?」
「ちょうど一区切りついたところだ。心...ロミオとシンデレラ 外伝その四十八【嫉妬は愛の子供】その四
目白皐月
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あ、レン君の話はまだ途中だったんだ。わたしったら、自分のことにかまけてばっかり。
「ええ……ごめんなさい、遮ってしまって」
わたしがそう答えた後、レン君はまたしばらく黙っていた。言いにくい話みたい。安心したのに、また心の中に不安が広がっていく。
「……家族と話し合って決めたんだけど、俺、しばらく...ロミオとシンデレラ 第六十九話【まだ諦めてはいけない】後編
目白皐月
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レン君が演劇部の人たちに話をしたところ、異論を挟む人はいなかったとのことで、『ロミオとジュリエット』に決定した。グミちゃんも「あたし、悲劇のヒロインって一度やってみたかったんです!」と、役に積極的だったので、わたしはほっとした。
ミクオ君もマーキューシオ役に決定した。これでミクちゃんが喜んでくれ...ロミオとシンデレラ 第六十一話【死ではなく愛】
目白皐月
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もうリンをあっちに置いておけない。そう考えた俺は、姉貴にそう伝え、リンには、「心配している」という内容の手紙を書いて送った。ことは簡単に運ばないのはわかっていたが、何もせずにはいられなかったんだ。けど、リンからの返事は来なかった。手紙を書くこともできないほど、辛いらしい。
じりじりするうちに時間...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十九話【最悪の日々は終わりを告げて】
目白皐月
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月曜日。普段と同じように起きだした俺は、普段と同じように朝食を取り、学校へと出かけていった。いつもと同じ時刻に学校に着き、昇降口で靴を履き替えて、校舎に入って教室に行く。
教室に入った俺は、いつもの癖でリンの席を見てしまった。リンは大抵俺より先に来るので、俺が教室に入ると、自分の席で本を読んでい...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十二話【マネシツグミを殺すな】
目白皐月
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安心させたところにこんな話をして、大丈夫だろうか……。でも仕方がない。もともと、この話をするために来たんだ。
「……家族と話し合って決めたんだけど、俺、しばらく母さんとニューヨークに行くことにした」
俺の言葉を聞いたリンは、驚いた様子で顔を上げ、こっちを見つめた。
「そんなのおかしいわ。レン君は...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十五話【夜は恋人たちのものだから】後編
目白皐月
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言われた意味を理解するまで、またしばらくかかった。カードの文章は、ミミがロジャーに気持ちを告げるところのもの。ずっと愛していたって……。
それって……レン君がわたしを好きだってこと? ロジャーがミミを好きなように? いえ、台詞はミミだけど……いやだ、なんだか頭が上手く回らない。
心臓の鼓動が早...ロミオとシンデレラ 第五十四話【もつれた糸玉】後編
目白皐月
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帰宅すると、靴脱ぎに姉貴の靴があった。……あれ? 今日姉貴、仕事だよな? なんで家にいるんだ? 居間を覗いてみるが、誰もいない。
俺は買ってきたものをとりあえず冷蔵庫にしまうと、二階に上がっていった。姉貴の部屋のドアの前に立って、叩こうとした時、中から姉貴の声が聞こえて来た。
「ああ……まあ、そ...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十九話【心を決めて望むことを】
目白皐月
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俺が帰宅してからしばらくして、クオから携帯に電話がかかってきた。
「……もしもし」
取った電話の向こうで、クオが黙り込む。……おい、お前の方からかけてきたんだろ。
しばらく待っていると、ようやくクオが口を開いた。
「レン……今日のことは悪かったよ」
巡音さんにバカをけしかけたことを言ってんの...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十六話【どうかここにいて】
目白皐月
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わたしはどうして、生きているんだろう。
たまに、そう思ってしまう時がある。そういう風に考えるのはよくないのだろうけど、自分が生きているのが不思議に思えることがあるのだ。
部屋に閉じこもって、ミミを膝に抱いて撫でながら、ぼんやりとする。ソウイチさんに殴られてからというもの、わたしはそんな風にして...ロミオとシンデレラ 第七十七話【水晶の心が砕ける時】
目白皐月
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ホームシアタールームで、わたしたちは、ミクちゃんが選んだクリスマスが題材のラヴコメ映画を見た。ミクちゃん好みの、可愛くて楽しくて、そして少し心が温かくなるような、そんな映画だ。
映画が終わると、わたしたちは食堂に移動して、みんなで一緒にお昼を食べた。クリスマスだからなのか、食卓も綺麗に飾りつけて...ロミオとシンデレラ 第五十四話【もつれた糸玉】前編
目白皐月
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レン君とつきあうようになって、わたしの生活は多少変わった。今までミクちゃんと二人で食べていたお昼を、ミクちゃんとレン君とミクオ君と一緒に食べるようになった。たまに、グミちゃんと躍音君が混ざる時もある。
レン君とは今までどおり、朝や昼休みに話をする。放課後も話したかったけど、わたしは家に帰って勉強...ロミオとシンデレラ 第五十八話【子供の情景】
目白皐月
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朝、昇降口で、あの男の子に抱きつかれた時、わたしが感じたのは強い嫌悪感だけだった。ただひたすらに気持ち悪くて……正直、吐き気すら感じてしまったぐらい。今でも思い出すと気分が悪くなってくる。
でも……ミラーハウスの中で鏡音君がわたしを抱きしめてくれた時は、わたしが感じたのは強い安堵だった。もちろん...ロミオとシンデレラ 第三十七話【希望は羽根のある小鳥】
目白皐月
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廊下を走ってはいけない。それはわかっている。だが、今の俺にそんなことを気にしている余裕は無かった。校舎の出口に向かって走る。巡音さんの性格上、寄り道するとは考えにくいから、この途中にいるはずだ。校舎の外に出てしまっていたとしても、校門の辺りで迎えを待つだろう。
下駄箱のところまでいくと、見慣れた...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十七話【君は特別な人】
目白皐月
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その次の日。わたしは鬱々とした気分で目を覚ました。時計を見る。結構早いな……いつもより早いぐらい。学校の支度……あ、今日は第二土曜だから、学校は無いんだっけ。
あれ……? 意識に何か引っかかってるな……?
首を軽く横に振りながら、わたしは身体を起こした。いやだ、わたしったら服のままで寝ちゃった...ロミオとシンデレラ 第三十三話【どうしても影がほしいの】前編
目白皐月
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ルカ姉さんがわたしに助けを求める……そんなこと、あるんだろうか? ……あるはずがない。だってルカ姉さんにとってわたしは、いない方がいいんだから。
でも……鏡音君がかけてくれた言葉の中のわずかな希望に、わたしは縋ってしまった。縋らずにはいられなかった。それは一種の逃避に過ぎないのに、そんなことある...ロミオとシンデレラ 第四十三話【歌の翼に乗せて】後編
目白皐月
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その日の夕食前、わたしが階下に下りて行くと、神威さんが玄関ホールに立っていた。……珍しいな。今日は平日なのに。
「こんにちは」
わたしは立ち止まって、神威さんに丁寧に頭を下げた。
「確かルカの妹の……」
「下の妹のリンです」
答えながらふっと気づく。神威さんと喋ったのって、考えてみたらこれが初...ロミオとシンデレラ 第三十九話【それなら太陽を愛せばいい】
目白皐月
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その日の夜遅く、わたしは自分の部屋でぼんやりとしていた。頭の中には、色々な考えがとりとめもなく渦巻いている。その考えは、大きく分けると二つ。片方は、鏡音君のことだ。どうして、今日は態度が妙だったというのかということ。何かした憶えはないけれど、わたしは人の心の機微には疎いから、気がつかないうちに何か...
ロミオとシンデレラ 第四十二話【辛すぎる忍耐は心を石に】後編
目白皐月
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金曜の夜、なんだかよくわからない食事会の後で帰宅した俺は、自室のPCで柳影公園の場所を調べた。そこそこ距離があるな。巡音さんはよく知ってるみたいだから、彼女の家からすると行きやすいんだろう。
翌日、普通の時間に起きだした俺は、朝食を取って身支度をすると、ポケットに財布と家の鍵と携帯を突っ込んで、...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十話【折れた翼であの子は歌う】前編
目白皐月
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わたしは結局悩みを追い払うことができなくて、その日の目覚めもすっきりとはいかなかった。鏡を見て、ため息をつく。暗い表情ばっかりしていたら駄目なのに。他の人を心配させてしまう。
朝食を食べて――ルカ姉さんは、いつもと同じように「おはよう」ぐらいしか言わなかった――学校に向かう。自分の教室に入って席...ロミオとシンデレラ 第四十三話【歌の翼に乗せて】前編
目白皐月
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午後になって、ミクちゃんがやってきた。……けど、ミクちゃんだけじゃなかった。
「リン! 大丈夫なのか!?」
「……レン君!?」
わたしは呆然として、こっちに駆け寄ってきたレン君をみつめた。どうしてレン君が一緒なの?
「リン、怪我の具合は? そんなにひどいのか? 階段から落ちたって、どういうことな...ロミオとシンデレラ 第四十七話【無くし物をした少女】後編
目白皐月
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「ルカおねえちゃん、あそんで」
「今お勉強でいそがしいの」
「ルカおねえちゃん、なんでいつもおべんきょうなの?」
「大事なことだから。リン、あんたももっとお勉強しなさい」
「……リン、おべんきょうきらい」
「お勉強ができないと、パパにほめてもらえないわよ」
「いいもん、ほめてもらえなくたって。ママは...ロミオとシンデレラ 三十四話【やがて綺麗に澄んでゆるやかに】
目白皐月
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「ついでにさ、あの人は変なところでプライドが高いから、目の前にいるイライザのことをちゃんと認めてあげられないんだよ。イライザのことをいつまでも花売り娘ってバカにしてるけど、家のあれこれを任せてたってことは、本当は信頼してたってことだろうし」
ただの花売り娘だったら、あんな短時間でちゃんとした貴婦人...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十六話【望むのはどこかの部屋】後編
目白皐月
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下駄箱まで来て、靴を取り出そうとした時、わたしは運転手さんにメールを送っていないことに気がついた。あ……しまったな。しばらく、お迎えを待たないといけない。
わたしはため息をつくと、鞄を開けて携帯を探し、メールを送信した。その時だった。
「良かった……まだいたんだ」
「え……?」
わたしは驚いて...ロミオとシンデレラ 第三十話【ガラテアはピグマリオンに恋はしない】
目白皐月
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「……生きた人間が出てこないお芝居は演じにくい?」
ちょっとふざけて、わたしは鏡音君にそう訊いてみた。
「人生を描くには、あるがままでもいけなくて、かくあるべきでもいけなくて、自由な空想に現れる形じゃないといけないんだよ」
あ……わかるんだ。何だか嬉しい。
「お芝居には恋愛が必要なのよ」
そこ...ロミオとシンデレラ 第二十七話【お芝居には恋愛が必要】後編
目白皐月
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「だってフレディって、何の役にも立ちそうにないじゃないか。確か定職ついてなかっただろ、あいつ。そんな甲斐性なしと一緒になっても、幸せにはなれないんじゃないの?」
鏡音君はきつい口調でそう言った。役に立ちそうにないって……。確かにタクシー捕まえられなくて、母親と妹に呆れられたりしているけど……。どう...ロミオとシンデレラ 第二十九話【愛される権利】後編
目白皐月
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昨日見た夢が頭に引っかかっていたせいか、今朝の目覚めはすっきりしなかった。また、妙な夢を見なかったことだけが幸いかもしれない。夢の中とはいえ、巡音さんの翼を折るような真似はもうごめんだ。あんな風に泣いてほしくない。誰かが泣くのを見て楽しむなんて精神は、俺には理解不能だ。
学校に着いて教室に入ると...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十七話【それは普通でなくはない】
目白皐月
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その次の日、夫は遠出する必要があるとかで、朝早く起きてきた。そしてあわただしく朝食を食べると、ルカを連れて出かけてしまった。その前に、リンを今日と明日は外出禁止にしたので外へ出すなとだけは言っていったが。……そういうことだけは、いつも忘れない。娘の誕生日を憶えているかどうかすら、怪しいのに。
普...ロミオとシンデレラ 外伝その十一【ほんの少しの優しさを】後編
目白皐月
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すまん姉貴、説得にちょっと利用させてくれ。姉貴がどう考えているのかなんて、例によって知らないけど。
「わたし、どうしたらいいの?」
「巡音さんは、初音さんや俺と一緒にいたくないの?」
ちょっと意地悪な質問かな……いや、仕方がない。大事なのはどうしたいかなんだ。
「……一緒にいたいわ」
ようやく...アナザー:ロミオとシンデレラ 第四十話【ボーン・トゥ・フライ】後編
目白皐月
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「もういいこいつは埋める!」
「あ、手伝うわ」
「レン、落ち着けっ! 蜜音も煽るんじゃない!」
クオが俺の制服をつかんだ。なんで止めるんだよ。こいつは埋めた方が世の中のためだぞ。
「あのなあコウ、好きでもない男に抱きつかれて喜ぶ女の子なんかいないんだよ。グミがああ言うのは、グミが俺のことを好きだか...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十三話【見てもいいが触るのはいけない】後編
目白皐月
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日曜日、わたしは久しぶりに自分でクッキーを焼いた。三年くらい前までは、自分でクッキーやケーキを焼くこともあったんだけど、いつの間にかやらなくなっていた。
色々考えて、わたしは絞り出しクッキーとチーズを入れたパイクッキーを焼くことにした。どっちも前に――大分前だけど――作ったことがあるし、コツさえ...ロミオとシンデレラ 第三十六話【もう飛ぶまいぞ、この蝶々】前編
目白皐月
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日曜日を一日使って、俺は『ピグマリオン』をPCのテキストデータへと移した。かなり面倒だし時間がかかったが、ネットに公開されているフリーの訳とかが無いんだから仕方がない。これで、後はこのデータのどこに修正をかけるかを決めて、決定稿になったらプリントアウトしてからコピーしてみんなに配ればいい。
巡音...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十三話【見てもいいが触るのはいけない】前編
目白皐月
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以前クオの首が絞まったホームシアタールームにて、俺たちは初音さんお薦めのクリスマスのラヴコメ映画とやらを見ることになった。話は初音さんが好きそうな感じの可愛らしい話だったが、意外と面白かった。ハリウッド内幕物の要素が入っていたせいだろうか。舞台裏が映る作品って、昔から好きだったりする。
映画が終...アナザー:ロミオとシンデレラ 第四十九話【言わなくてはならないことがある】前編
目白皐月
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初音さんたちが戻ってきたので、俺たちは一緒にオペラ『チェネレントラ』を見た。リンの言うとおり、確かに喜劇だ。音楽は終始明るいし、歌もそう。出ている歌手の人たちもコミカルに動くし、ギャグも入っている。早口言葉みたいな歌の応酬も楽しい。……ところで、お菓子の箱に賄賂を隠すのって世界共通なのか?
話の...アナザー:ロミオとシンデレラ 第五十話【決して手を離すことはない】
目白皐月
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向こうに行く準備が整うまでの間、俺とリンは、俺の家で過ごすことになった。すぐにでも発ちたかったけど、やらなければならないことがある。姉貴も交えてどうしたらいいかを話し合い、次の日から行動を開始した。
俺と一緒に向こうで生活するとなると、当然、今の学校は辞めなくてはならない。相談の結果、リンは向こ...アナザー:ロミオとシンデレラ 最終話【この瞬間よ永遠なれ】
目白皐月
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俺は電車を乗り継いで、初音さんの家に向かった。前に来たから道は憶えている。インターホンを押すと、クオが出てきた。
「レン……どうしたんだその顔」
途中で確認したが、殴られたところは腫れていた。当分目立つだろうなあ、これ。
「初音さんは?」
「奥にいるぜ、入れよ」
クオに言われるまま、奥の部屋に...アナザー:ロミオとシンデレラ 第五十九話【アモール・プロイビード】後編
目白皐月
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ずっとリンと抱き合っていたかったけれど、そういうわけにも行かない。明るくなったら、誰かに見つかりやすくなってしまう。だから、俺は暗いうちにリンの家を出ることにした。
脱いだ服を身に着ける俺を、リンは泣きそうな表情で眺めていた。そんな顔しないでくれ。
「リン、俺はもう行くよ」
引き伸ばすと、余計...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十六話【分かれた道】
目白皐月
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リンは家のことがあるので、つきあうといってもあまり派手なことはできない。とはいえ、できる限りは一緒に過ごしたい。俺はリンと相談して、昼食を一緒に食べることにした。急に二人きりになるのにはクラスの目があるので、初音さんとクオも一緒だ。クオは当初むくれていたが、数回でなれた。それになんだかんだ言って、...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第五十三話【エンチャンテッド】
目白皐月
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巡音さんは同じクラスなわけだから、何かというとその姿は俺の視界に入る。授業を受けているところや、初音さんと話しているところ。俺は何度となく、その姿を目で追ってしまっていた。……いったい何をやっているんだ、俺は。下手をしたら俺の方が危ない奴だぞ。
そうこうするうちに放課後になった。初音さんが手を振...アナザー:ロミオとシンデレラ 第三十四話【馴染んだ君の姿に】
目白皐月
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クオと初音さんが昼食を薦めてくれたので、昼は初音さんのところでご馳走になった。二人とも、気が咎めているらしい。二人のせいじゃないんだが。って、今日はこんなことばかり考えているな。
昼を食べ終えると、俺は帰宅した。心の中にがらんどうの場所ができて、そこに風が吹き込んでいるような気分だ。……平たく言...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十一話【塔の中の姫君】
目白皐月
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演劇部の連中に、学祭は抽象的な演出で『ロミオとジュリエット』をやることにに決めたというと、反対意見もなく、あっさり決まった。一点を除いて。
まあ平たく言うと、部長が部を私物化するのはどうかという点だ。これは確かに言われても仕方がない。話し合った結果、文化祭は二日に亘るので、主役はダブルキャストに...アナザー:ロミオとシンデレラ 第五十六話【それは自然で不思議なもの】
目白皐月
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次の日、わたしは『ピグマリオン』を鞄に入れて登校した。鏡音君が登校してきたので、本を渡す。本を受け取った鏡音君が喜んでくれたので、わたしは少し安堵した。少なくとも、一つはいいことができた。
その日の昼休み、いつものようにミクちゃんとお弁当を食べていたわたしは、ふと思い立ってミクちゃんに訊いてみた...ロミオとシンデレラ 第二十八話【わたしには姉さんがわからない】
目白皐月
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姉貴との冷戦は、結局次の日にはなし崩しに無かったことになった。……いや、仕方がないよ。同じ屋根の下に住んでいるんだから、そうそういつまでも険悪ではいられない。色々と不都合も多いし。
とはいえ、あれ以来、二人の間で巡音さんの話題が出たことはない。要するに、お互いまた険悪になるのが嫌だから、意図的に...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十九話【自分の道を行けばいい】
目白皐月
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頭の中が真っ白な状態で、わたしは鏡音君と一緒に歩いていた。どれだけ歩いたのか、それすらもよくわからない。とにかく、しばらく歩くと、鏡音君が立ち止まり、わたしの肩を抱く腕を放してくれた。
「……ごめん、変なことに巻き込んじゃって」
「ね、ねえ……何だったの、今の? あの子たち、中学の同級生って言って...ロミオとシンデレラ 第二十三話【恋とはどんなものかしら】前編
目白皐月
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昼は初音さんとクオと合流して、四人で取った。二人とも午前中ずーっと絶叫マシンに乗っていたらしく、なんというか、ハイになっていた。人はあの手のものでもハイになれるらしい。
ついでなので、クオにグミヤたちと会った話もしておく。クオもあの二人がつきあっていたのは初耳らしく、驚いていた。
「へえ、グミヤ...アナザー:ロミオとシンデレラ 第二十一話【ここにいるよ忘れないで】
目白皐月
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この後、わたしと鏡音君は、ミクちゃんたちと合流して、一緒にお昼を食べた。ミクちゃんはすごくはしゃいでいた。午前中はミクオ君と一緒に、絶叫マシンにずっと乗っていたらしい。
「やっぱり遊園地の醍醐味って言ったら絶叫マシンよね。リンちゃんも怖がらずに乗ってみればいいのに」
「わ、わたしはちょっと……」
...ロミオとシンデレラ 第二十四話【二重になった物語】前編
目白皐月
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週末には、包帯が取れてわたしの足は元通りになった。そして週が開けると、中間テスト。特に難しいということもなく、簡単ということもなく、いつもどおり。
ハク姉さんとは、まだ話せずにいる。同じ家に住んでいるのに、二週間近く顔をあわせないというのは奇妙に思えるかもしれない。でも、ハク姉さんが自発的に部屋...ロミオとシンデレラ 第二十二話【わたしには何の取り得もない】
目白皐月
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「……ありがとう」
「急にどうしたの?」
「色々、してもらっちゃったから」
わたしの方がしてもらってばかりだから、どうしても申し訳ない気持ちになってしまう。
「そんな気にしなくていいよ。友達だろ?」
鏡音君がそう言った時だった。突然、室内の明かりが消えて、真っ暗になってしまった。
「え……? な...ロミオとシンデレラ 第二十四話【二重になった物語】後編
目白皐月
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駅までへの帰りの道。巡音さんは来た時よりは落ち着いた様子だった。行きはがちがちに緊張していたもんなあ。何にせよ、打ち解けてくれるのはやっぱり嬉しい。
「姉貴の言うことは、あんまり真に受けない方がいいと思うんだよね」
歩きながら、俺は巡音さんにそう言った。
「どうして?」
「ん~、滅茶苦茶言う人だ...アナザー:ロミオとシンデレラ 第十六話【トゥルー・カラーズ】
目白皐月